『林鐘』えなまなえ | 黒猫なつくかな?

『林鐘』えなまなえ

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高校生の時に読んだマンガで、ずっと印象に残り続けているものがありました。

マンガの内容は、以下の通り。

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舞台は人里離れた由緒ある学校の寄宿舎。
登場人物は女子高生2人だけ。
穏やかな日常の寄宿舎生活をおくっています。
淡々と交わされる会話から、
彼女達が人類のわずかな生き残りのうちの
2人であることがわかります。
原因はパンデミック。
それでも2人は思春期少女特有の割り切りで
普段通りの生活を続けます。
時に恋の話をしたり、何気ない瑣末な疑問に興味を持ったり。

ある日、彼女達の前に猫が迷い込んできました…。

※※※※※※

それは読み切りの話で、何かの賞をとった作品で、作者もその時は無名だったので、マンガの内容しか覚えていませんでした。

今でこそ、デストピアの作品は溢れていますが、当時は珍しく、何より、大変な状況にも関わらず普段通りの生活を送る、という点が、新しかったのです。

やがて訪れるであろう破滅もうすうす匂わせてあり、余韻の残る優れた短編でした。



ある日、ふと気になって、その作品が何であるか探したところ、さすが未来のインターネッツ!
1990年別冊花とゆめ  掲載  えなまなえ作『林鐘(はやしのかね)』であることがわかりました。
その判明した情報も2002年!同人誌活動をされていることがわかったので、その情報から15年(!)経ってはいましたが、今年に入ってファンレターを出してみたのです。

すると、一緒に活動しておられる代理の方から返信があり、覚えていることを大変喜んで下さっている、とのことでした。

先日、メールをまたいただきました。
そこには、今回『マンガ図書館Z』に作品が収められることになったと!
しかも無料で読めると!
舞い上がりましたね〜。
実に27年ぶり!
胸を躍らせて再読すると、画もセリフの1つ1つも鮮やかに記憶が蘇ってきます。
昨日読んだかのような気持ちになるのが不思議です。
作品の完成度はもちろんですが、きっと、マンガを読んだ時がピュアであったからこそ、心の深いところに保管してあり色褪せなかったのだと思います。

作品はこちらから読めます。ぜひ。