Netflixでシリアルキラー物の
ドキュメンタリーを観ていたのだが、
彼らは可愛らしいものだ。
精々頑張っても30人、
恐らく100人でさすがに精一杯。
米国最悪と言われる薬害、
オピオイド危機の番組を観たら、
つくづくそう思った。
パーデュー・ファーマ社開発の
オピオイド「オキシコンチン」
麻薬系鎮痛剤の被害者は、
中毒死者40万人以上、
離脱症状に堪えられず違法薬物に
手を出してしまう人が続出、
今も数百万人以上が薬害で
苦しんでいるという。
番組はこちら。
精神科医が製薬に興味を持ち、
広告・マーケティング力があったら最悪だ。
このパーデュー社の初代アーサーは、
ジアゼパムのバリウムを米国で
販売し大儲けをした人物だった。
3人兄弟全員が精神科医で、
長男のアーサーはロボトミー手術時代、
精神科医だった。
薬に目を付けたアーサーは
新薬を「飲むロボトミー」と言い、
培った広告・営業センスで
バリウムを米国中に流行らせた。
(どぎつい、毒々しい、グロテスクな広告、
「依存しない」と医師に嘘の通告、
営業が直接医師に売り込むビジネスモデル)
この「悪魔のDNA」は
甥である二代目(リチャード)
に「帝王学」として引き継がれた。
ベンゾ薬害とオピオイド薬害は
非常に似ているのだが、
まさか「発生源」(ルーツ)まで同じだとは
思わなかった。
モルヒネとヘロインの親戚、アヘン系の
鎮痛剤オピオイドを敢えて「処方薬」
として販売した。
注目点としては、
1.患者の医師への絶対的信頼を利用出来る
(医師が処方することに安心感を持つ、
被害者は、まさか処方薬で・・・と愕然とする、
患者の心理を知り尽くしている悪知恵を悪用)
2.営業担当は歩合制、
売れば売るほど報酬アップ
3.ピルビル(カネ儲けのために
処方する医師)に目を付け「共犯」処方
4.「依存は1%以下」と嘘をつく
副作用は便秘くらい、安全な薬と説明
5.治験は酷い結果だったにも関わらず
無視、ごまかし
6.FDAの審査員を懐柔、丸め込む
(審査員は後にパーディー社に就職)
7.「知らなかった!」と議会で偽証
8.「依存は薬が悪いのではなく、
元の依存的な性格から来るもの、
悪いのは乱用者、
元からの疾患が悪化しただけ
依存症にはならない」と主張
「偽依存」という言葉まで生み出した
(どっかで聞いたセリフ!?)
9.ピルビル医師への行政介入の
難しさ
10.最初の通院で飲んでくれれば、
耐性がつき一生飲んでくれる
11.不必要に軽い症状にも
連用処方
12.本人の人生も家族も崩壊
13.製薬会社を引っ張り出すことの
困難さ
これらが、日本のベンゾ薬害に
そのまま当てはまるのが怖ろしい。
パーデュー社のオーナーが
一体誰なのか、これまで余り知られて
来なかった。
通常は家名を社名にするものだが、
パーデュー社は違い、敢えて表に
出ないようにしていた。
慈善事業を行い、美術コレクター、
寄付を行い、一体その資金はどこから
生まれるのか、長く謎でもあったらしい。
実は一族は製薬会社だったのだ。
(慈善事業は評判洗浄の狙い)
サックラー家は東欧系ユダヤ人の移民で、
アメリカンドリームを地で行った。
(サックラーとは聞いたことがない)
初代アーサー(精神科医)が
ジアゼパム(バリウム)を売り、
二代目リチャード(医師)が
オピオイド(オキシコンチン)を売る。
何ともまぁ、悪魔のサックラー家。
パーデュー社のビジネスモデルは、
精神医療、向精神薬の「闇」そのものだ。
初代アーサーは何よりも家名を大事に
したそうだ。
それが二代目リチャードにより
血塗られ呪われた家名になった。
「悪魔の家名」サックラー家。
訴訟が起こされ、会社は信頼を
失墜した。
しかし誰も刑務所に入っていない。
米国のオピオイド危機は、
何もパーデュー社だけが悪いのでは
ない。
パーデュー社に関わる「利権」
(議会、行政、警察、メディア、学会、
医師、薬剤師など)構造全体に責任がある。
(唐突だが)ジャニー喜多川問題も
ベンゾ薬害問題も
そしてこのオピオイド・クライシスも
複雑な社会構造(利権)が生んだ悲劇であり、
被害がこれだけ広がってしまう前に
手を打たなかったことが共通している。
最終的には国がパーデュー社を訴える形となり、
会社は和解金を支払うこととなった。
その和解金は被害者支援・サポートに
使われるという。
しかし日本がする訳ない。
それにしてもたった一人の人間から、
これだけ被害が生まれるのか・・・
と改めてゾッとする事件。
マイルド・サイコパスと権力と悪は
三位一体。
どこの国でも、いつの時代も。