前回は、末端精神科医の小手先の
ハイエナビジネスの暗躍を指摘した。
では彼らだけを批判して改善命令を
出せば済む問題なのだろうか?
「政治家でもないくせに、偉そうな
ことを言うな!」と思われることも
承知の上だが、触れない訳にはいかない。
これは、構造的な問題である。
日本のあらゆる構造が制度疲労を起こして、
今の「ダメダメ日本」がある。
被害者だからこそ、考えるのだ。
国として精神医療は、「薬物療法が不可欠」だと
いうスタンスを取っている。
ここ、これがそもそも問題である。
必要な人もいるが(本当の精神病の人)、
不必要な人は8割と言われている。
その不必要な人にまで処方するから、
こんなことになってしまっている。
もし「薬物療法ありき」ではない
政策転換をしたら、どれだけ薬害は
減らせるだろう。
こちらに興味深い動画があった。
2007年の情報なので、今は
どうなっているのかは分からない。
が、英国は議会で精神医療の政策を
薬物療法から大転換した。
予算をつけセラピストを養成、
心に苦痛を抱える人はまず
セラピーを受ける流れになった。
「最初はセラピー」なのである。
振り返れば、英国は60~70年代、
ベンゾがキャンディーの如く
ばら撒かれ薬害が社会問題になった。
GSK(パキシル)はもう英国では
国民が懲りて向精神薬は売れないと
判断し、当時KAROUSHI(過労死)や
RISUTORA(リストラ)が吹き荒れる
日本に目を付けた。
これから先の日本の流れは、もう
皆さんよくご存じだろう。
その戦後処理がまだまだ出来ていないのが、
日本の現在。
「減薬クリニック」ビジネスも胡散臭く
暗躍中。
一度拡大してしまった既得権益(利権構造)を
崩すのは、相当難しい。
しかしその閉塞感を現状維持していくことは、
国民にとって不幸である。
悪い例のアメリカに追従していては、
お先真っ暗だ。
少なくとも「英国モデル」に目を向け、
政策の舵を切るべきだ。
そのための勉強に政治家が研修旅行に
行くのなら、税金を使って貰うのは
全然構わないと国民は考えるだろう。
しかし現状はこれだから。
私の事例で説明すると、
確かに私は気持が重く葛藤を抱えていた。
しかし精神病でもないし、神経症ですら
なかった。
こういうレベルの人達をどうするかが
問われている。
切羽詰まった人はセラピーを受け心の葛藤を
解きほぐすことは、国民のメンタルヘルスに
非常に効果がある。
私は多分10回も要らなかったと思う。
数回受ければ心の問題は解決出来たと
断言さえ出来る。
(要は考え方、認知の歪みを修整するだけで、
脳機能そのものが問題ではないから)
心の問題を抱える人達は、大なり小なり
トラウマが原因。
トラウマは向精神薬では解決しない。
しかしこういった人達を「規制なく」広告
する業界が呼び込み、10人中10人に
騙くらかして投薬し薬漬けにして利益を
上げるシステムの放置はどう見積もっても問題。
(私はこれを「飲め飲め詐欺」と呼んでいる)
処方規制も一向に進まない。
病院でのセラピーも、精神科医がセラピストに
「発注」する形でなければ受けることが出来ない、
即ち「向精神薬を服用する通過儀礼」を
受けなければ、セラピストに到達出来ない。
(随分と「国家資格化」で戦って来た
臨床心理士会も、国家資格と引き換えに
医師の傘下に入る「公認心理師」を
誕生させた。
精神科医がセラピストに仕事を
取られたくないという思惑が見え隠れする)
これらを利権(票)でもって放置している
政治も大問題。
宿敵:松本俊彦医師の発言で一つだけ
評価出来る点は、
「国がケチ」と言ったことだ。
要するに予算を付けない、現状の
薬物療法で短期的に手っ取り早く
安く上げようとしている点だ。
(構造的問題を指摘している)
しかし長期的にみれば、
薬害の健康被害が国に蔓延し、
かえってコスト増だ。
「今だけ カネだけ 自分だけ」
の日本の精神医療の薬物療法。
政策の大元の大元の方向転換の
議論さえ、まだ日本は触れられていない。
精神科に通院する10人中8人は
薬が不要だった人達という驚愕すべき現実。
この8人を「セラピー」に最初から乗せ、
「セラピーで終結する」という道筋、
これこそが「医療」だ。
私のケースで恐縮だが、
まずは向精神薬で「不調」にして、
初めてセラピストに「発注」するという
順番とプロセス(構造)とは全然違う。
「そんな理想論言ったって、日本では
無理だよ」
「権力者達が利権を手放す訳がない」
「夢みたいなことを言うな!」
「それは所詮綺麗事だ!」
と声も聞こえて来そうだが、
理想を捨ててはならないと思う。
目標設定は大事だ。
日本の精神医療の制度疲労の弊害は、
最も弱い人に来る。
いつ誰が何時巻き込まれるか分からない。
長いものに巻かれたりせず、
他人事と思わず、
一人一人が考え声をあげることが
大事だ、私はそう思いたい。