・抗HER2薬のパージェタ、カドサイラ、
(補足1~3)
・殺細胞性抗がん剤のカルボプラチン
(プラチナ系薬剤) (補足4~6)
・殺細胞性抗がん剤のハラヴェン
(補足4、7)
の臨床試験の動向を再掲しました。
ステージ4のHER2陽性乳癌患者の
標準治療は、今のところ、
・1stライン
ハーセプチン+パージェタ
+タキサン(ドセまたはパクリ)
・2ndライン カドサイラ
3rdライン以降でのパージェタ併用
(ハーセプチン+パージェタ+
殺細胞性抗がん剤)
の有効性の臨床試験も実施中です。
こちらは、
解析終了予定日: 2020/3/31
来年ではありますが、
きちんと臨床研究されている、
ということも、お伝えしたく、
再掲いたします。
補足8です。
※ステージ4ですから、実臨床では、
既に使われていることが多いと
思いますが…。
ー◆ー◆ー◆ー
(元投稿:2018年3月7日)
HER2のまま再発転移した場合、
現時点の標準治療は
・1stライン
ハーセプチン+パージェタ+タキサン
※ハーセプチン、パージェタはご存知の
通り、抗HER2モノクローナル抗体。
副作用は従来の殺細胞毒性抗がん剤に
比べて、かなり軽い。
※タキサンは殺細胞毒性抗がん剤。
ナブパクリタキセル=アブラキサン。
アンスラサイクリンは不可逆性の
心毒性があり(さんくるさんの記事参照)
可逆性ではあるが心毒性発症率が
それなりに高いハーセプチンと
併用されることはなく、
タキサンが併用される。
※一般的にタキサンより副作用が軽いと
言われているハラヴェン(エリブリン)が
タキサン代替になるかどうかの臨床試験
は、直前の記事をご参照下さい。
・2ndライン
カドサイラ(T-DM1)
※カドサイラは、ハーセプチンに
強力な殺細胞毒性抗がん剤エムタンシン
をくっつけた、抗体薬物複合体。
※カドサイラ+パージェタは
H+P+タキサンに非劣性を示せず
標準治療にならなかった
※タイケルブ(ラパチニブ)+ゼローダ
(カペシタビン)に対して優位性を示し
(EMILIA 臨床試験)。
2ndラインで推奨されている。
その後の、3rdライン以降で、
ハーセプチン+殺細胞毒性抗がん剤
とするのと
ハーセプチン+パージェタ+
殺細胞毒性抗がん剤
とするのと、どちらが有用かを比較する
臨床試験が実施中で、
そちらの動向もウォッチしています。
結果が出るのは2020年。
※理論的には、パージェタを足した方が
効果が高く、副作用はパージェタの分
若干多くなる、と思いますが…。
=====
2015/8/1~2019/7/31
UMIN000018202
PRECIOUS(JBCRG-M05)試験
・HER2陽性進行・再発乳癌
※ステージ4ってこと
・ハーセプチン+殺細胞毒性抗がん剤
と
ハーセプチン+パージェタ+
殺細胞毒性抗がん剤
殺細胞毒性抗がん剤は、
ドセ、パクリ、ナブパク(アブラキサン)、
ハラヴェン、ゼローダ、ジェムザール
のいずれか
・第3相/並行群間/ランダム化/非盲検
※選べるってことかな。
・結果は診療ガイドラインで推奨記述
されることになる。
評価項目
(主)
・PFS(無憎悪生存期間) 担当医師判定
(副)
・PFS(無憎悪生存期間) 中央判定
・直前のT-DM1施工例のPFS、奏効率、
奏効期間、OS(全奏効期間)、患者報告
・安全性、バイオマーカー 等
参加条件
・原発巣or転移巣でHER2陽性 確認済
・進行・再発治療として化学療法治療歴
2又は3レジメンを有する
直前の治療にパージェタを含まない
・LVEF(左室駆出率)50%以上
⬆私、これギリギリ。多分FECにより…
・PS 0~2
・少なくとも3ヶ月以上の生存が期待できる
除外条件
・進行・再発乳癌に対する抗がん剤治療歴
4レジメン以上
※ホルモン治療、ホルモン治療+抗HER2
抗HER2単独はカウントしない
・アンスラサイクリンの累積投与量
ドキソルビシン(A)>360 mg/m2
エピルビシン(E)>720
ミトキサントロン>100
2剤以上の投与歴がある場合は、
ドキソルビシン相当量>360 mg/m2
⬆ハーセプチン(心毒性あり)を使うので
アンスラサイクリンの不可逆性の
心毒性に上乗せされるから…
上記量を超えて治療出来た人って心臓
強いか、副作用が軽いかだと思う…。
その他の詳細条件は、直接、UMIN-CTRを
ご参照下さい。
責任研究者
・岩田広治先生:愛知県がんセンター中央
・山本豊先生:熊本大学医学部付属
※岩田先生は、HER2陽性患者は
ご存知の方も多かろうと思いますが、
ちょくちょく、過去記事でも
ご紹介させていただいてます。
読んだ本など』で
「セカンドオピニオンから学ぶ
乳がん診療」 岩田広治著
のご一読もお勧めしました。
試験実施施設
・上記2箇所
・杏林大学病院(東京)
⬆センチネルリンパ節生検を標準治療化
した井本滋先生のところ。
研究費提供は、勿論、中外製薬。
※私は中外製薬の回し者ではありません。
解析終了予定日: 2020/3/31
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