6月27日(金)乳腺外科主治医のT先生診療、
確定診断で、強く勧められた術前化学療法
(でも、手術が先でもよいとも言っては
いただいた)。
『手術が先か、
抗ガン剤が先か』、う~ん、
即決できず、回された、
6月30日(月)腫瘍内科A先生の、
セカンドオピニオンという名の
術前化学療法の説明。
しかし、そこでも答えは出せず、
出した結論は、A先生は私には合わない、
T先生に戻していただく、ということだけ。
そして迎えた7月1日(火)T先生診療。
私:
手術するとして、転移してるリンパ節を
全部取って もらえますか?
T先生:
昔、僕が研修医の頃は、肋骨をはずして
全部取ったことはあるけど、
今はそういう手術はやらない。
レベル3までは、
ご要望とあらば頑張りますけど、
胸骨傍は勘弁して下さい。
リンパ浮腫になると大変だよ。
そんなに頑張って取っても、
全身にフワフワ回ってる
微小転移が育って、
遠隔転移したら意味がない
しね。
T先生:
手術日決めますか?7月16日か、
23日。 30日は私が夏休み。
抗がん剤をするなら、明日からでも。
私:・・・
T先生:
もう、私から話せることは他にないよ。
ここで 迷われても、他の患者さんも
待っているから、外で考えを整理して、
結論が出てから、 もう一度来て。
一旦、診療室の外に出た私、ノートに、
pro-con(メリット、デメリット)表を書き、
15分ほど、最後に考えました。
迷っている時間の余裕がないことだけは、
触って分かる、乳房、腋の下のリンパ節の
状態から、明らかでした。
(当時のノートの表より転記)
▼術前抗がん剤のメリット
・効けば手術は楽になる?
(外科医のメリット←腫瘍内科A先生の話。
外科医T先生は、「変わらないかな、
いずれにせよ全摘だし。」)
★抗がん剤の効果が分かる
(見える)。
▼術前抗がん剤のデメリット
・効かない場合、癌が増殖して、
手術前に皮膚を突き破るかも。
(効かない場合、すぐ手術に切り替えて
くれると、T先生は言ってくれた、、)
・癌オリジナルの状態は確認できなくなる。
▼手術を先にするメリット
・皮膚を突き破る前に、癌を取り除ける。
(抗がん剤が効けば、
術前抗がん剤でも同じだが。)
・オリジナルの癌の状態が分かる。
▼手術を先にするデメリット
★抗がん剤が遅れた間に遠隔転移するかも。
(抗がん剤が効かなければ、
術前抗がん剤でも同じだが。)
★抗がん剤の効果が分からなくなる。
ステージⅢCまで進んでいて、
遠隔転移間際だし、
抗がん剤の効果が分かる、
術前化学療法をする決断
をしました。
再び診療室。
私:
抗がん剤が効かなかったら、
すぐに手術に切り替えて
もらえますよね?
絶対、手術してもらえます
よね? (念押し確認)
T先生:
しますよ。
私:
毎回、エコーで効いているかどうか、
診てもらえますよね?
T先生:
自分で触って分かるんじゃない?
私:
ここまで進行させちゃった自分の感覚は
全く自信がないんで、そこは
専門家の先生に、診ていただけますか❗
T先生:
(笑)普通はしないけど、
特別大サービスで、
僕が毎回診て
測ってあげますよ。
それで決心ついた?
私:
はい。では、
術前化学療法をする、
ということで、お願いします。
T先生:
一緒に頑張りましょう(握手)
★結果的に、抗がん剤は、それなりに
効いて、皮膚を突き破る心配は遠のき、
手術も出来たので、私にとっては、
よい選択でした。
★それは結果論であって、
私にとって、選択のポイントは、
希望通りの
結果にならなかった時に、
(すぐに遠隔転移した時に、あるいは、
皮膚を突き破った時に)、
『自分で納得がいく』選択
かどうか でした。
抗がん剤治療をせずに遠隔転移したら、
しとけばよかった、と後悔するだろう、
抗がん剤が効かずに遠隔転移しても、
やるだけのことはやったのだから、
ときっと思える。
抗がん剤が効かずに、手術も間に合わ
なくて、皮膚を突き破ったら、
先に手術しなかったことを後悔する
だろうか、
後悔することはするだろうな。
QOLは著しく下がるよね。
抗がん剤を1回はやってみよう。
効かなかったら、すぐ手術してもらおう❗
間に合わなかったら、諦めよう。
ここまで進行させちゃった自分が悪い、と。
乳癌、特にHER2タイプの抗がん剤や
ハーセプチン奏効率の高さに後押し
されたのもあったでしょうか。
効くような気持ちの方が
強かったかな。
(希望とも言うかも)。
やるだけやってみなければ気が済まない、
やってみての敗北の方が納得感がある。
元来の闘う性分。
そして、
一人で育てている、
まだまだ不安定な
中1娘を残して、
今死ぬわけにはいかない、
何としてでも生き延びねば。 根底にある感情は、ただ、それだけ。
順序だけを迷い悩み、
手術や抗がん剤治療を受けること
そのものを迷い悩まなかったのは、
切迫した進行度合い、という癌の状態
だけじゃなく、
闘う性分と、家庭の状況も大きかった
のだと思います。
私が納得いく決断をするまで
待って、大サービス?もして
下さったT先生に
大感謝❗❗しています。
※より本質的には、術前化学療法する患者は
毎回、エコー検査で効果測定してくれるのを
病院としてスタンダードにした方がよいと、
私は思うのですが、、。
そう思う患者さんは少ないんですかね?

2018年末にpCRと予後の相関の
メタ解析結果が出され、
(HER2陽性、特にHER2タイプ、
トリネガはpCRすれば予後がよい)
ザンクトガレン2019で、
pCRしなかった患者への
・HER2陽性の場合、術後カドサイラの追加
・トリネガへのゼローダの追加
のコンセンサスが形成され
予後の悪いHER2陽性やトリネガは
術前化学療法が、よりスタンダードに
なってきたと思います。
私としては、やっぱりね、の一言。
後輩患者さんたちのために、喜ばしい方向
だと感じています。
(2019/10/27 紫字追記)