共同親権推進派の中に、選択的共同親権にすれば、共同親権が強制されるわけではないということを言う人がいますが何も安心できません。
選択的夫婦別姓の場合は、別姓か同姓かを婚姻しようとする2人が選択するということになり、もし協議が整わなければ婚姻できないということになりますが、選択的共同親権の場合はどうでしょう?
単独親権か共同親権かを離婚しようとする2人が選択して合意ができるのであればそうすればよいのですが、共同監護・共同養育は現行制度でも妨げられていませんので、共同親権を導入したからといって大して変化はありません。
問題は、協議が整わなかった場合です。
協議が整わなければ離婚できないとすると、DVや虐待があり、本来は、面会交流をするべき事案でないが、面会交流に応じないと離婚してくれないので、やむを得ず応じるという、現在も日々量産れている事態におすみつきが与えられることになってしまいます。
協議が整わない場合に、裁判所が決めるとすれば、単独親権を原則とするのか、共同親権を原則とするのかという問題が生じ、万が一共同親権が原則とされるならば、精神的DVの無理解が甚だしく遅れている日本の現状において、離婚後も配偶者に対して干渉・支配をしようとするストーカーじみた元配偶者と、子どもの監護・養育についてずっと話し合い続けなければならないという地獄が待ち受けることになります。
女性は、DVや虐待があるから、夫に言わずに家を出ます。そして、DV家庭に育った子どもにとって、「どんな親でも親は親」という考え方は当たりません。DV被害者支援をしている弁護士の大半が問題だと思っているのは、この国の面会交流宗教にとりつかれたとしか思えない面会交流の押し付けと、精神的DVに対する無理解です。
精神的DVに対する無理解については、次の機会にお話しさせていただきます。
ありがとうございました。