松本歯科大で科学研究費補助金の不適正な経理処理
4月7日(木)
 松本歯科大(塩尻市)で2004~08年度、文部科学省の科学研究費補助金(科研費)計1082万円余について不適正な経理処理があり、同大が研究者1人を諭旨退職、4人を1段階の降職としたことが6日、分かった。

 同大によると、研究者らは年度内に使うべき費用計765万円余について、業者に架空の納品書を出させた上で「預け金」として保管させ、翌年度以降の研究物品購入に使ったという。全額を国に返還する。

 このうち、ほかの研究者の「預け金」を翌年度に引き継ぎ、自分の研究費に使った1人は、悪質だとして諭旨退職とした。残る317万円余は物品の納入が翌年度にずれ込んだ例などで、返還は不要という。同大は「全額が研究に使われ、私的流用はなかった」と説明している。

 09年11月に会計検査院が一部の事例について指摘し、学内の調査委員会が調べていた。宇田川信之副学長は取材に「税金を本来とは違う使い方をし、申し訳ない。教職員の意識の向上と啓発に努めていく」としている。研究者の氏名などは「文科省から明らかにする必要がないと指導されている」などとし、公表していない。

http://www.shinmai.co.jp/news/20110407/KT110406GUI090015000022.htm


文科省補助金を不正処理…松本歯科大、研究者5人処分

 松本歯科大(長野県塩尻市)の複数の研究者が、2004~08年度に文部科学省から受けた科学研究費補助金約1082万円について不適正な経理処理をしたとして、同省から約765万円の返還を請求されたことが7日、わかった。

 同大は先月18日付で、研究者のうち1人を諭旨退職、4人を降職とする懲戒処分をした。

 同大によると、不適正処理のうち12件、約765万円分は、年度内に使い切れなかった補助金について、試薬や器具などの納入業者に架空納品書を出させて、支払額を「預け金」としてプールさせ、翌年度以降の物品購入費に充てていた。

 また、4件、約317万円分は、物品発注の遅れなどで年度内に納品が間に合わず、翌年度になっていた。

 文科省は、納品書と異なる物品を購入した765万円分を「不正な支出」として返還を求め、かかわった研究者を2~4年間の補助金申請停止処分とした。

 同大は、諭旨退職の1人は別の研究者の預け金を引き継いで自分の研究費に使ったため、「より悪質」と判断。ただ、いずれも「研究費に充てられ、私的流用はなかった」として、研究者名は公表していない。

 宇田川信之副学長は「学内の事務部門も見抜けなかったので、チェックを厳しくした」としている。

 不適正処理は09年11月の会計検査院の検査で発覚し、学内に公的研究費調査委員会を設置して調べていた。

(2011年4月8日 読売新聞)

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20110408-OYT8T00382.htm


公的研究費にかかる不適正な経理処理について

平成23年3月18日

学校法人松本歯科大学
理事長・学長 矢ケ﨑 雅

1. 経緯
 平成21年11月11日から13日に実施された会計検査院の会計検査により、科学研究費補助金において本学研究者が不適切な会計処理を行っているとの指摘を受け、本学は、公的研究費調査委員会を設置し、過去5年間(平成16年度から平成20年度)にわたる公的研究費補助金について、厳正で網羅的な調査を実施いたしました。その結果、不適正な経理処理の事実が判明いたしました。

2. 概要
(1)委員会による調査の結果、判明した不適正な支出額
     不正な支出    7,655,390円 (12件)
     不適切な支出  3,171,262円 ( 4件)
(2)不適正な経理処理の内容
 ・取引業者宛の支払額のうち、取引業者の架空納品書により当該請求に対応した支払の結果生じた
  実質預け金を、翌期以降の研究遂行のために使用した。
 ・他の研究者から預け金を引き継ぎ、これを申告せずこれを用いて必要な研究用物品の購入に充当した。
 ・納期が遅れ注文の翌期に注文どおりの物品の納入はあったが、先行払いとなった。
 ・継続研究課題案件において、期末納入品を翌期の納品として処理した。
 しかし、これらはいずれも研究遂行のために使用されており私的流用は一切認められませんでした。

3.不適正支出を行った研究者に対する処分
 預け金による不正な経理処理を行ったことが判明した学内研究者に対し、研究者1名に「諭旨退職」、同4名に「降職」の懲戒処分を行いました。

4.今後の対応
 本学は、従来から法令遵守について鋭意努力してまいりましたが、このたびの公的研究費の不適正使用の発生を深く反省し、公的研究費の適正使用に関する教職員の意識の向上・啓発に努め、公的研究費執行のいっそうの適正化を図ってまいります。

http://www.mdu.ac.jp/about/top/003828.html