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左からジョンスク、スナ、チュニャン。
以前、友人のイラストの制作過程はお話いたしましたが、なんて言ったって「一番難しい」のは下描きです。
意外かと思われるでしょうが、絵の素体づくりの根幹をなす下描きというのは、その資料集め(素材集め)だったり、何かと苦労することが多く、俗にこの作業を、ネットで有名なアニメ私塾流で言えば『ポーズ創作』としています。
それは模写ではなく、リアルやネット上にある「無数の素材(資料)」を、自分の手や足から始まって、日常のある椅子やテーブル、他の生活用具など、さらには映画や絵画、有名作家の漫画のカット、それらを効率的に探せるネットの画像検索などなど、ありとあらゆる手段を使って、自分が制作するイラストの完成度を高めるために、これらの行為は絶対にやらなくてはいけなりません。
さもなければ、あっという間に自分の「思い込み」だけのショボい絵になり、とても人様に耐えうる内容とはいきません。
準備段階として、そうした無数に蓄積する「素材」を、適宜に摘み取れる能力を養うために、人々は「模写」練習を重ねるのであり、またその「画風」を憑依させるために、有名漫画家やイラストレーターの絵を勉強し、「線画」の流れを何度も脳に焼き付けて、ゆくゆくは自らの技術の基礎としていきます。
もちろん、その「目指したい作家」の絵を選ぶ上では、各人の「個性」が表れ、まったくバラエティに富んだもので、それ自体眺めるのも非常に楽しいものです。
こちらは、全体の素体です。
朝鮮学校の女の子たち3人を一枚の絵に収める構図ですが、慣れないと、絵が「膨張」して、すぐ枠外にはみ出してしまいます。
しっかりと「枠内のおさめる」のも、実は大変なことなのです。
これは制作途中のものですが、以前にもお話したように、トレース台(光る台)を使って、原稿用紙の裏返して、デッサンの狂いがないかチェックして、一度「表に描いた線」をなぞり、その修正を加えていく作業を終え、改めて表にもどしています。
そして不要になった表の線(デッサンの狂いあり)を消して、狂っていない線だけを残します。もちろん、この間も裏面にある「狂っていない線」が見えるように、トレース台の光はついたままです。
一応これが反転したやつです。
実はここでポイントなのが、左手の椅子に座っている女の子の、チマチョゴリの「チマ(スカート)」部分に隠れて見えない足の部分まで、しっかり描くことによって、立体感を意識し、後にポーズの修正を加えたりしています。もちろん、ペン入れの際は、当然ながらこの「見えない内部」は描きません。
そして時と場合によりますが、下描きを完全に完成させない段階で、ペン入れをすることがあります。これは、すべて鉛筆かシャーペンの下描きをしてしまうと、描く途中で手があたって原稿を汚してしまったり、また友人はそれを防ぐ上で、描く右手の下にティッシュペーパーを引いていますが、極力リスクを減らすために、インクで完全に線を確定してしまったほうが安全だからです。
ペン入れ終了。
まだ消しゴム掛けが完璧に終わっていなく、左の女の子の靴に微妙な下描き線(シャーペン)が残っています。
あと顔の表情もまだありません。
これは好き好きですが、友人は個人的に表情が一番大切だと思っているので、今回のイラストでは、そのバランスを重要視するために、体がすべて完成した段階で、最後に描こうとしています。
また具体的な着彩に入っていきますが、こちらは肌色の影部分を塗るコピックだと思います。
色合いも複雑になってくるので、多様なコピックを使っていきます。
完成です。
ちなみに、今回のイラストに使用した一部のコピックをお話すると、以下の通りになります。
椅子の腰掛部分→YR‐31①/E‐31②
椅子のパイプ部分→E‐43①/YG‐91②
椅子の足部分→(パイプ部分の色をベース①②に)W‐3①/W‐5②
椅子に座る女の子のカーディガン→C‐2①/C‐4②/BV‐23③/C‐2④
カーディガンのボタン→W‐3①/W‐5②/W‐3③
左の女の子の髪→C‐2①/BV‐31②/W‐2③/W‐2④(陰のみ)
女子用ジャージ(襟部分&白線ライン)→BG‐000①/E‐40②
同(青い布部分)→BG‐01①/B‐02②/B‐05③/B‐21④
これはあくまでも一部分であり、それぞれ作り手によって色彩構成はさまざまです。ゆえに、自分自身で納得した色で、各人がイラストを制作していけば良いと思います。
・漫画イラスト倉庫 https://strongpaperline.tumblr.com/
<参考資料>
・アニメ私塾講師の室井康雄氏の知見
・友人の監修
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