季語の入っていない無季作品。
ただし、林業の伐採作業は樹木が水を吸上げない秋冬に行うそうだから、冬を想定しても少なくとも間違いとは言えないだろう。
本句は中句6音の字足らずという珍しい作品。
一音の空白はたんなる空白ではなく、「愚直」を強調する役割をしている。
最も短い定型詩である俳句は「虚飾」の入り込む余地が少なく自ずから「愚直」たらざるをえないが、五七五という整った音数律さえ「虚飾」と見なして、さながら斧で一音削り取ったかのようだ。
その削り取られた無音の一音にこそ、作者の裂帛の気合が込められている。