2024
小さき良き思ひ出はあり稲の花
捨てられし造花秋立つ風の中
昼顔が咲いてこの道行き止まり
神の指にて彫られたる睡蓮か
立ち尽すのみ浅沙咲く眩しさに
子をのせしことなき膝や鹿の子百合
廃船に漣の寄る晩夏かな
颯々と葉柳の影われを撫づ
空蝉の眼一途に透きにけり