《東京理科大》久喜キャンパス全面移転問題について | 《久喜市議会議員》新井 兼オフィシャルブログ Powered by Ameba

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こんにちは、新井けんです。

各新聞紙面では既報のとおり、東京理科大が去る7月9日の理事会にて、経営学部を置く久喜キャンパスを神楽坂キャンパスへ全面移転することを決定しました。
ここ数年間にわたり市民、行政および議会は、その動きを注視すると共に当局と協議を重ねてきましたが、この機会にある程度の情報と状況が出揃いましたので、これまでの動きを振返ると共に検討・課題事項を提議したいと思います。

りか
*「東京理科大学 経営学部 デジタルパンフレット」より抜粋


1.はじめに

東京理科大学経営学部は、「東京理科大学における経営学部は経営学と科学技術を結び、数量的・実証的に教育研究を進めることが目的であり、この学部の存在は既存の理工系学部を補完し、東京理科大学を理工系総合大学ならしめるために必要である、というのが設立の趣旨」(平成24年度版「理大白書-データを中心として-」より引用)として、先代市長時代の旧久喜市の誘致活動もあって、平成5年4月に久喜市下清久に同大学の一学部(経営学部)を開校しました。

近隣自治体では、宮代町に日本工業大学が開学(昭和42年)、加須市に平成国際大学が開学(平成8年)等の総合大学が、幸手市に日本保健医療大学が開校(平成22年)等の単科大学が設置されています(それぞれ外から誘致または専門学校からの変更等の背景はありますが…)。

また少子化の影響により受験生、学生を集める大学間競争が激しくなっており、郊外にキャンパスを設けてきた大学が、都心回帰に舵を切り出したことは事実です。
(私もここ数年、都心、郊外を問わず総合大学、女子大学等にお邪魔してお話を聞く機会も多かったのですが、少子化に対する危機意識は相当なものです)

2.久喜市と東京理科大久喜キャンパスに係る発生事案

今般の久喜キャンパス全面移転の決定に伴い、東京理科大から
7月16日付「東京理科大学 経営学部の久喜キャンパスの跡地利用について(提案)」により、以下の提案を頂戴しています。
市は、平成26年9月末までに回答を求められています。

① 土地の用途変更

物流会社より久喜キャンパス跡地購入の申し出があり、学校用地のままでは売却することができないので、用途変更の検討をお願いしたい。

[久喜市のメリット]
総投資金額 : 約450億円(含む土地代、建築費等)
雇用の創出 : 地元に1,500人~1,800人の新規雇用
固定資産税 : 
固定資産税約3億2千万円(年間)
その他   : 飲食店、コンビニ等の商業施設のニーズが発生
        公開公園の設置(緑地化) 等

<解説コメント>
■ これまで支出した経費を回収したいとの東京理科大側の意向がある
→ 東京理科大から土地建物への投資及び教育研究経費の累計額、約124億円を出資しているため。
■ 同大学側から久喜市のメリットをあげていますが、具体的な計画が現段階で決まっている訳ではないので、金額、数字ともこれを鵜呑みにしてはいけない。むしろ疑ってみるべし。
ただし、金額は別として教育機関として非課税扱いになっていた固定資産税が民間企業に今後課税できることは検討材料か。


② 教育基金の設置

物流会社に売却できた場合には、売却代金の一部5億円を教育基金として久喜市に寄附する。

<解説コメント>
■ 
久喜市から補助金30億円(用地取得費、校舎建設費等)、周辺整備費約10億円(道路・水路・上下水道等)の計約40億円の支出をしてきたことを忘れてはいけない。
■ 基金の活用&東京理科大と継続連携により理数教育の先進地化や、基金は医師不足対策として医学生・看護学生育成にも活用できるのでは?

これまでの[久喜市支出 約40億円] ⇄ これからの[教育基金5億円+固定資産税+α]


3.これまでの経緯

(1)時系列

<合併前の旧久喜市時代>
(平成元年3月)
東京理科大学の久喜市進出について当時の市長に協力依頼
(平成2年7月)
久喜市大学誘致推進協議会を設立
(平成3年1月)
旧久喜市課長補佐職を中心に、専従体制による7人の東京理科大誘致プロジェクトチームの立ち上げ
(平成3年3月)
「東京理科大学新学部設置に伴う土地取得費及び校舎建設費等に対する補助に関する協定書」を締結
(平成3年10月)
下清久にて造成工事開始
(平成5年4月)
東京理科大学経営学部の開校

(平成19年)
★女性議会に東京理科大生が参加開始(以後毎年度)

<合併後の新久喜市時代>
(平成23年)
★自治基本条例の市民ワークショップへ東京理科大生9名が参加

<<事案発生①>>

(平成23年7月29日)
【東京理科大】久喜市に対して、経営学部を久喜キャンパスから神楽坂キャンパスに全面移転(全面撤退)の申し出(提案)

 * この間の期間に東京理科大と久喜市の間で事務折衝を行う

(平成23年11月16日)
★東京理科大久喜キャンパスにおいて都市計画マスタープラン全体構想(部門別構想)についての特別講義、意見交換
(平成24年4月1日)
★久喜市産学共同研究費補助制度の運用開始(2件の事前相談があったが活用実績は無し)
(平成24年6月6日)
【東京理科大 常務理事会】1年生のみを久喜キャンパスに残し、2年~4年生を神楽坂キャンパスに移転することを決定
(平成24年6月13日)
【東京理科大 理事会】1年生のみを久喜キャンパスに残し、2年~4年生を神楽坂キャンパスに移転することを決定
(平成24年6月21日)
【東京理科大】経営学部の一部移転の内容を対外的に公表
(平成24年6月26日)
【久喜市議会】「東京理科大学経営学部久喜キャンパスの存続を求める決議」を採択(6月29日東京理科大に持参)
(平成24年9月29日)
★第1期子ども大学くき開校(以後毎年度)

<<事案発生②>>

(平成26年4月)
【東京理科大】理事長が来市し、1年生のみを久喜キャンパスに残すことの難しさへの理解を求めると共に、流通系企業の施設としての活用を提案
(平成26年6月17日)
【東京理科大】理事長が来市し、理事会常務理事会にて平成28年3月に経営学部を久喜キャンパスから全面撤退するという決定をした旨の説明と要望書の持参(市はこの要望書を受け取らず)
(平成26年6月25日)
【久喜市】市が全面移転の白紙撤回を求める要望書を提出
(平成26年6月27日)
【東京理科大】6月25日付「東京理科大学 経営学部(久喜キャンパス)に関する要望書」を提出
(平成26年6月26日)
【久喜市議会】「東京理科大学経営学部久喜キャンパスの全面移転の白紙撤回を求める決議を」採択(7月7日PM東京理科大に持参)
(平成26年7月9日)
【東京理科大 理事会】平成28年4月より久喜キャンパスにある経営学部を神楽坂キャンパスに全面移転することを理事会にて決定
(平成26年7月16日)
【東京理科大】理事長及び理事が来市し、7月10日付「東京理科大学 経営学部の久喜キャンパスからの全面移転について(報告)」及び7月16日付「東京理科大学 経営学部の久喜キャンパスの跡地利用について(提案)」を持参
(平成26年9月末まで)
【久喜市】「東京理科大学 経営学部の久喜キャンパスの跡地利用について(提案)」を受けて、東京理科大あてに回答しなければならない。


凡例)★は、東京理科大との連携事業、その他審議会委員として同大学の教員を招致等の実績もあり

(2)現在の適用条件

・税制面については、地方税法の規定に基づき、直接教育の用に供する固定資産については非課税扱い
・学校用地としての開発許可がされていることから、ほかの用途としての活用は難しいとの市側のスタンス

4.開校から事案発生前までの議会対応(参考)
~市政に対する質問で議員が東京理科大との連携に係る内容を質問した人数~

平成 5年~7年    (不明 データ無し)
平成 8年       (0名)
平成 9年       (1名)
平成10年       (0名)
平成11年       (1名)
平成12年       (1名)
平成13年       (0名)
平成14年       (0名)
平成15年       (2名)
平成16年       (0名)
平成17年       (1名)
平成18年       (1名)
平成19年       (1名)
平成20年       (1名)
平成21年       (0名)
平成22年       (1名)
平成23年       (1名)

* 最近はデータベース化された「会議録検索システム」により簡単に調査可能。
http://www.kaigiroku.net/kensaku/kuki/kuki.html


5.選択すべき対応の検討・課題

確かに旧久喜市時代の誘致活動において、約40億円の公費を投入したことは事実であり、約20年間で全面移転されてしまうことは市民感情としても納得できないところです。

また誘致することには成功しましたが、その後の地域と大学の連携が密に、強固に出来ていなかった部分もあったのだと思います(議員の一般質問数も。。。)。

しかし、少子化の流れの中で受験生、学生を増やすための大学間競争も激しさをさらに増しており、国から助成を受けているとはいえ、学校法人経営の健全化という立場も理解するところです。

市民を含めて関係者の間では「こうしたほうがいい」、「こうすべきだ」という意見はそれぞれお持ちかとは思いますが、行政(市長)は、それぞれの意見(案)についてメリット、デメリットを比較検討のうえ、市民の方に丁寧に説明し、納得いただける結論を導き出さなければいけないと考えます。
また議会も協力しなければいけない部分もあるでしょう。

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◎ 行政として検討する項目(案)~自分が行政マンならば~

<基本方針>

・利活用後のキャンパス跡地が地域と共生できるように関係機関と調整を図る。
・新たな経費の発生を抑制する。
・投入した約40億円の経費相当分を回収できる方法を検討する。
 企業誘致…課税、雇用、周辺波及効果

(A案) 民間企業に土地・建物を売却
 → 物流企業(東京理科大提案)、民間企業の研究所、老人福祉施設など
* 進出したい民間企業の新規情報はあるか?相談先は?
(B案) 高等教育機関、公立試験研究機関、国際化のモデル学校?、オリンピック関連?等を再誘致
 → 他大学、高校、中学(一貫校を含む)、東京理科大の継続利用(当面の間)、公立試験研究機関(理化学研究所、農業試験研究所
(農林総合研究センター園芸研究所連携)など

* 学校法人、公的試験研究機関の情報はあるか?国の補正予算は?相談先は?
(C案) 市が土地・建物を買い取り利活用
 → 箱ものを取得する緊急性があるか?公共施設アセットマネジメントの関係、予算(ランニングコストを含む)の問題

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6.おわりに


今後の対応を選択するにあたっては、案それぞれにメリット、デメリットがあり、比較検討のうえ、選択をしていかなければなりません。

そして今後数十年単位での利活用を考えたとき、何が久喜市とって「いい選択」なのかを考えなければなりません。

9月末が回答期限とのことなので、行政の事務方さんは情報収集、検討等に大変な努力が必要かとは存じますが、市の執行責任者である市長が決断するための判断材料の提供をお願いします。
その判断は、市民に対して説明責任をちゃんと果たさなければいけませんし、議会もその内容を精査していかなければいけません。


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