元検察官さんから投稿して頂きました。
専門的な立場で意見を頂いています。
皆さん読んでみてください。
石丸市長は、未払いとなっている選挙用ポスター等の請負代金の一部を請負業者の印刷会社に支払うように命じた一審判決を支持した控訴審判決(市長の控訴を棄却した。)を不服として、12月15日、最高裁判所に上告受理申立の手続をしました。
本日、ネットでこの情報に接し、びっくりして、開いた口が塞がりませんでした。
市長は、民事訴訟法を読み、そこに規定してある上告理由をしっかり検討したのでしょうか。
皆さん、民事訴訟法312条を読んでみてください。
ザックリまとめると、上告理由は、
①原判決(控訴審判決)に、憲法解釈の誤りがあること
②法律に定められた重大な訴訟手続の違反事由があること
てす。
他にも、判例違反や重大な事実誤認を理由として上告する場合もあるようです。
さて、控訴審の判決文(tbsデジタル版を参考)を見てみましょう。
裁判官は、印刷会社が、市長から、ポスター等の印刷を依頼されてそれを納品するまでの経緯を、両当事者の供述やその間のメールの遣り取り、納品書(の記載内容)などの証拠をつぶさに検討した上で、印刷会社が「公費負担の上限額34万円余りを代金とする」意思を示していた(市長の主張)とは認め難いと指摘し、また、「契約の確定から納品まで極めて短期間だった上、両者の間で以前に同様の取引が行われたことはなく、代金を決める際に公費負担額を重視すべきとは言えない」などとして、市長に残額72万円余りの支払いを命じた1審判決を支持して、市長の控訴を棄却したのです。
この証拠を検討した上で下された判決を見て、前記民訴312条が規定する上告理由①②、或いは「判例違反」や「重大な事実誤認」があったと言えるでしょうか(本件は、憲法や法律の解釈を問題としていないし、事実は、証拠に基づいて認定されている。)。
最高裁は、法律審であり、控訴審が適法に行った事実認定に拘束されます。
これを思うと、市長から上告事務を委任された弁護人は、上告受理申立書等になんと書くんでしょうか。
ところで、この民事訴訟の最大のポイントは、言うまでもなく、どのような契約が締結されていたのか、その際、公費負担額の上限で請け負うという約束は明確な合意内容であったのか、ということでしたが、一審も控訴審も、前述のとおり、証拠に基づいてこれを否定したのです。
以上のことから思うに、市長は、残額支払いを免れようと、両当事者間で、公費負担の上限額とすることで代金額の合意があったとする虚偽の「物語」を作出(後付け)したのです(ほかの事例からも分かるように、作出した虚偽の物語を後付けして、さもそれが真実であるかのように宣伝して、気に食わない相手を攻撃するやり方は、市長がこれまで見せてきた常套手段です。)。
裁判官は、証拠をつぶさに検討して、この小学生レベルの物語の虚偽性を容易に見抜き、市長敗訴の判断を下したのです。
民訴の上告は、上告理由を見てもおおよそ分かりますが、その理由に該当する場合は中々なく、簡単に認められるものではありません。
本件上告の行方を占うと、数か月後に、紙切れ一枚に書かれた上告不受理の決定、或いは上告棄却決定が、市長のもとに届けられることでしょう。
専門的な立場で意見を頂いています。
皆さん読んでみてください。
石丸市長は、未払いとなっている選挙用ポスター等の請負代金の一部を請負業者の印刷会社に支払うように命じた一審判決を支持した控訴審判決(市長の控訴を棄却した。)を不服として、12月15日、最高裁判所に上告受理申立の手続をしました。
本日、ネットでこの情報に接し、びっくりして、開いた口が塞がりませんでした。
市長は、民事訴訟法を読み、そこに規定してある上告理由をしっかり検討したのでしょうか。
皆さん、民事訴訟法312条を読んでみてください。
ザックリまとめると、上告理由は、
①原判決(控訴審判決)に、憲法解釈の誤りがあること
②法律に定められた重大な訴訟手続の違反事由があること
てす。
他にも、判例違反や重大な事実誤認を理由として上告する場合もあるようです。
さて、控訴審の判決文(tbsデジタル版を参考)を見てみましょう。
裁判官は、印刷会社が、市長から、ポスター等の印刷を依頼されてそれを納品するまでの経緯を、両当事者の供述やその間のメールの遣り取り、納品書(の記載内容)などの証拠をつぶさに検討した上で、印刷会社が「公費負担の上限額34万円余りを代金とする」意思を示していた(市長の主張)とは認め難いと指摘し、また、「契約の確定から納品まで極めて短期間だった上、両者の間で以前に同様の取引が行われたことはなく、代金を決める際に公費負担額を重視すべきとは言えない」などとして、市長に残額72万円余りの支払いを命じた1審判決を支持して、市長の控訴を棄却したのです。
この証拠を検討した上で下された判決を見て、前記民訴312条が規定する上告理由①②、或いは「判例違反」や「重大な事実誤認」があったと言えるでしょうか(本件は、憲法や法律の解釈を問題としていないし、事実は、証拠に基づいて認定されている。)。
最高裁は、法律審であり、控訴審が適法に行った事実認定に拘束されます。
これを思うと、市長から上告事務を委任された弁護人は、上告受理申立書等になんと書くんでしょうか。
ところで、この民事訴訟の最大のポイントは、言うまでもなく、どのような契約が締結されていたのか、その際、公費負担額の上限で請け負うという約束は明確な合意内容であったのか、ということでしたが、一審も控訴審も、前述のとおり、証拠に基づいてこれを否定したのです。
以上のことから思うに、市長は、残額支払いを免れようと、両当事者間で、公費負担の上限額とすることで代金額の合意があったとする虚偽の「物語」を作出(後付け)したのです(ほかの事例からも分かるように、作出した虚偽の物語を後付けして、さもそれが真実であるかのように宣伝して、気に食わない相手を攻撃するやり方は、市長がこれまで見せてきた常套手段です。)。
裁判官は、証拠をつぶさに検討して、この小学生レベルの物語の虚偽性を容易に見抜き、市長敗訴の判断を下したのです。
民訴の上告は、上告理由を見てもおおよそ分かりますが、その理由に該当する場合は中々なく、簡単に認められるものではありません。
本件上告の行方を占うと、数か月後に、紙切れ一枚に書かれた上告不受理の決定、或いは上告棄却決定が、市長のもとに届けられることでしょう。