10月19日と22日に吉田町のクリスタルアージョで財政説明会が行われました。

22日午後2時からの説明会を覗いてみると、40人余りの参加者を前に市長が熱弁を振るっていました。

ちなみに、この日は他の5町では中心施設で放送中継をしていましたが、甲田町のミューズでは一人の参加者もいませんでした。



市長就任1年後の2021年7月には、6町でそれぞれ財政説明会が行われ、市長の政治姿勢や見えない政策に苛立ちの声も上がっていましたが、それなりの市民が参加をしていたことを思えば、当然のこととはいえ大きな落差を感じざるを得ません。



さて、今回の財政説明会の特徴は、配布された資料の変化に現れています。


① 今年度削除された図表(都合の悪い資料は削除しています)

 ○ 財政規模の推移

(* 直近5年間の財政規模は増加しており、市長の主張と真逆の傾向を示してい
る)

 ○ インフラ資産の更新費用

(* 昨年、本通信で直近の推計値が実態と全く異なるずさんさを指摘)


② 今年度の新規の図表

 ○ 公共施設の廃止に向けた取り組み

   施設ごとの詳細な廃止時期を明示して、計画的な実施をアピール。

 ○ 施設の廃止スケジュール

   2023から2034年度までの廃止施設を5ページの一覧表で提示

 ○ 2024年度には施設の廃止目標を達成

   2024年度には公共施設を37%削減できる見込み。

 ○ 公共施設の削減で維持管理費用も4割削減

   公共施設の削減によって、維持管理費用の年平均7.2億円まで抑制が可能。

この資料の変化からも、今回の財政説明会は「公共施設廃止のための説明会」であることがよくわかります。



さて、20年後の危機の根拠にしているのは、交付税の減少と扶助費の増加及び公共施設の更新費用の急増です。

まず、交付税についての推計を検討します。



1.過去10年間の地方交付税の推移を示して、「人口減少に伴って直近10年間で19億円ほど減小」と説明していますが、合併による特例措置が2014年度から2018年度にかけて段階的に解消されたことに伴う影響で約19億円減少したもので、完全な虚偽説明です。



しかも、2020年の国勢調査による人口減小の影響をみると(2021年度及び2022年度は新型コロナ対策等で例外的に増加)、新型コロナ対策が無くなった2023年度予算でも80億6千万円を計上しています。

つまり、2020年の国勢調査人口を使う2025年度までの交付税は、例外的な要因がなければ、80億円前後で推移することが推定できます。



ところが、2025年度の交付税は77億円しか見込んでいません。

昨年の資料の推計値と同額で、訂正すらしていません。

余りにもいい加減です。



機械的に推計した20年先を推計した交付税60億円は何ら意味がないことがわかります。

20年先の為替相場を具体的な数字で示すことに意味がないのと同じことです。