「問責決議」について、議会を念頭に記述したことを、反省しています。

市民からご指摘をいただきましたが、説明が十分でなかったようです。

そこで、再度整理しました。



市長に、辞職を求めたり責任を問う議会の決議は、次のものがあります。

不信任決議、辞職勧告決議、問責決議です。以下、それを解説します。



① 不信任決議


地方自治法に基づき、議員数の2/3以上の議員の出席で、3/4以上の議員の賛成で決議された場合、首長は、10日以内に議会を解散することが出来ますが、解散しなければ、10日を過ぎた時点で、自動的に失職します。



首長が議会の解散をした場合、選挙後の議会で、首長の不信任案が出され、出席議員の過半数の賛成で成立すれば、首長は失職します。



不信任決議は、首長に辞職を突きつける一方、議員の首をかけた決議です。

最も重い決議だといえます。



② 辞職勧告決議


地方自治法に基づいた決議ではないので、出席議員の過半数の賛成で決議できます。

この決議は、首長に辞職を「勧告」するもので、「議会の強い意思」を示すことになります。

しかし、不信任決議のような法的効果を持つものではありません。



しかし、昭和27年和歌山地裁判決や昭和33年青森地裁判決では、決議案に「不信任の決議と同じような議会の意思」が認められ、不信任決議と同様に、議員数の2/3以上の議員の出席で、3/4以上の議員が賛成した場合、「決議」という用語が用いられていても、「不信任決議としての効果」が発生するとされています。

したがって、首長は、不信任決議の場合と同様の行動に出ることが出来ます。



この決議の提出には、議決状況によって、「首長による議会の解散」という思わぬ事態が生じる可能性があり、注意が必要です。



③ 問責決議


問責決議は、「首長の責任を問う」決議です。

出席議員の過半数の賛成で決議され、「議会の意思」を示すことになります。

この場合も、不信任決議のような法的効果は持ちません。



しかし、和歌山地裁判決では、議員数の2/3以上の議員の出席で、3/4以上の議員が賛成した「客観的に首長に対する不信任の意思を表明すると認められる決議」は、「不信任の決議に含まれる」としています。(wikipedia引用)



この解釈ですと、首長は、不信任決議の場合と同様の行動が出来ることになります。



一方で、昭和33年青森地裁判決では、「辞職勧告決議は『不信任決議』に含まれるが、それ以外の議決は含まれない」としています。

つまり、「問責決議」は除外されていますので、首長は、不信任決議の場合と同様の行動に出ることは出来ません。



つまり、問責決議の法的効果については、二つの相反する判決があることになります。



[問題の所在]


市長は、「法に触れなければ、何でもできる」という考え方を持っており、行動にも移しています。

仮に、「問責決議案」が提出されたとき、市長は、和歌山地裁判決を根拠に、「市長寄りの議員に働きかけ、議員数の2/3以上の議員を出席させ、3/4以上の議員が賛成するよう細工をして、『問責決議案』を議決させ、一気に議会の解散を仕掛ける」ことが危惧されます。

清志会が「問責決議」の提出に躊躇するのは、ここに原因があります。



[対応策]


和歌山地裁判決の「要件」には、「客観的に首長に対する不信任の意思を表明すると認められる決議」である必要があります。

この「不信任の意思」とは、「信任に値しない、辞職を明確に求めることの明記」と考えられます。



つまり、「問責決議案」に「不信任の意思を出さない」ことによって、「不信任に値しない問責決議案」にすることが出来ます。

この問責決議案は、議員数の2/3以上の議員の出席で、3/4以上の議員が賛成して議決しても、「不信任決議」とは見なされません。



[最後に]


6月議会における市長の不適切な言動に対して、議会の意思を示さなかったことは、議会の監視機能の喪失と言われても仕方ありません。



市長は、「政策はおいて置いても、1丁目1番地の議会改革(議会攻撃)をする」と宣言しています。

すでに実施した「市民モニターへの議員評価アンケート」の結果も8月下旬には出してくるでしょう。

9月議会も混乱が想定され、議会の意思を示す場面が必ず出て来ます。

議会の毅然たる態度を期待します。