あんなに達成感溢れた里緒菜を見たのは、本当に久々な気がする。
スイアレの中で笹木は、バランサーな役割だと考えている。個性豊かなメンバーからスタンダードでベースとなるパフォーマンスを安定にこなす者まで、スイアレもまた幅広く人財を揃えている。そんなグループを1つにまとめて、軸がブレないように軌道修正する役割を担っていると考える。
気付けば彼女もまた、アイドル人生が長い部類になったと思うところだ。対バンに出れば、その対バンが事務所内外など関係無く、安定した動員を獲得して、物販でも手堅い人気を得ている。運営側からしても安定して稼働できるアイドルグループというのは、有難いことだ。
片手間にアイドルに従事しているような者からすれば、これで十分なのかもしれないが、アイドルに専念というか、人生を懸けているような者からすれば、安定というのはむしろ恐れるべきだ。アイドル界、特に移り変わりの激しいライブアイドル界というのは、事務所単位、グループ単位においても日々変化があり、掘れば何かしら話題性は出てくるほどだ。そんな世界で安定というのは、相対的に見ればマイナスとも言えるわけだ。TDCワンマン、それに向けた一つのイベント程度だったのかもしれないが、ただ筆者としては、主催対バンを開くこと、それが如何にアイドルを成長させるかというのを、透色ドロップというアイドルグループから学び取ったものだ。
今でも、竹芝でのワンマンは素晴らしかったと思い返すところだが、今年4月に開催された「#透色優色」では、主催ということで複数回の出番はあったが、アイマイやテラテラ、メイビーMEやなみけしなど、対バン常連なライブアイドルも数多く出演していた。それに出番時間が25分と長尺なために、15分や20分などとは違ったセトリ戦術も学び取れる、良い機会であった。主催である以上、各出演者への挨拶やライブ観賞、さらにはフライヤー配りなど、とても充実した1日にできる。昨今では、どのアイドルグループも個性幅広く人財を揃えるからには、主催対バンという形でも、どう行動しどう学ばせるか、その選択を委ねるというのもまた、大事な工夫なのかもしれない。
話を戻せば、今回のSWEET PARTY、出番時間以外でのフライヤー配りが献身的で素晴らしかったと思うところだが、そういえば偶然、濱越から声を掛けられた。一応初見なので目線合わせないようにしてみたが、それでも勇みよく声を掛けてくれたのは評価高い。彼女もまた初期メンバーとしてグループを支えるメンバーの一人だ。TDCという大きな会場でのワンマン、正確な活動年数までは憶えていなかった筆者だが、本当に長かったですね、と、労ったのは蛇足だっただろうか。いずれにしろ、そんなワンマンでチケット千円というのは破格すぎると感じ、即購入に至った。
昔の話にはなるが、筆者、ライブアイドルのワンマンライブというのは、頭ごなしに参戦価値の無いものだと見做していた。やることなんて結局、会場貸し切って、ワンマンということでいつもより持ち時間長めにMCも複数回やって軽く企画やる程度で、そこに果たして”ワンマン”と称して行うだけの特別感はあるのだろうか、と、地下アイドルのワンマンにいくつか参戦して、そう結論するに至ったものだ。ただ、今日の筆者は、透色ドロップのワンマンに参戦した身だ。あれほどに価値あるワンマンを知った以上、ライブアイドルが謳うワンマンライブというものの見え方が大きく変わった。
どちらのグループも、ある程度動員が手堅い、つまりは固定ファンが十分いる以上、仮に、あくまで仮の話だが、もしも先程述べた対バン出演の延長程度のワンマンでしかなかったとしたら、それは固定ファンからの満足度、応援における幸福度までも損ねてしまうことになりかねない。要は、下手な手は打てないということだ。そう考えてみれば、里緒菜含めスイアレ総じて、今回のワンマンに懸ける想いというのは相当なものに違いない、と筆者は考えるわけだ。まあただ、100%期待できるかというと、それはリスキーだ。事務所が違えばワンマンへの向き合い方も違って当然だし、もっとわかりやすく言えば、ワンマンという言葉の定義が違うという可能性がある。なので念には念を入れて、来月頭に参戦に臨むわけだ。ちなみに有休は既に申請済みである。
さて、スイアレのワンマン考察についてはこれぐらいにして、今回参戦したSWEET PARTY、今思えば#透色優色と出演者が割と近いようにも思うが、それはさておき、やはりハイライトとして挙げるなら、終演後物販を控えた強力な4組だろう。個々人が知名度高く天音りくの加入により全体的に陽な雰囲気が増し一層と好循環化した虹色の飛行少女、新旧楽曲織り交ぜて新たな体制の確立そして若年層からの支持が強くヒロインズ加入により一層と活動の幅が広がったアキシブproject、古参メンバー卒業前ながらも新メンバーの表現力がグループ特有の楽曲の世界観と見事に合致しているなんキニ!、そして今回主催でトリを飾ったSweet Alleyである。こんなに強い4組だからこそ、もしライブ会場が横浜ランドマークホールじゃなかったら、相当カオスに混み合った物販様相と化していたに違いない。今回筆者が終演後物販に残れたのは、そんな理由もある。今日での4組の知名度、同日イベントによる動員減、反して予想される化学反応による物販残存率の上昇、これらを加味して若干増でまあ回収いけるだろうと踏んだが、そんな筆者の予想をも上回った物販の賑わいであった。これほど長くドルヲタを続けていても、未だに完璧な予想ができないというのがまた、ライブアイドル界の面白いところだ。これだからドルヲタはやめられないものだ。
様々なアイドルの物販へ足を運べば、ファン層というか、ファンの雰囲気の違いたるものを感じれるのもまた趣深いポイントの一つである。上に挙げた4組に限っても、全然違う。ただやはり今回も嬉しく感じたのが、女子動員が多かったことだ。これについては対バン序盤に出演していたRiNCENT#も動員率は高かったが、やはり男女隔て無く、女性アイドルの魅力を知るだけでなく、実際に会って話せるような世界と化したこと、いろいろとプラス要素はあるが、やはり一番はアイドルにとって大きなモチベーションアップになるということだ。本当に有難いことだ。こういう議論をしていると、いつも目頭が熱くなってくるあたり、筆者ももう歳なのだと痛感させられるものだ。
ちなみに、今回の対バン、MVPを決めるとしたら、と考えてみたが、今回ばかりは優劣決められないものだ。締めに完璧とも言える4組を揃えてきて、しかもライブでのミスも無かったし現場での活気不足も無かったし、アイドルもファンも、今できる限りの実力や熱量が十二分に発揮されていたように思えてならない。特筆するとしたら、アキシブウェイ、なないろダイアリー、Appreciateあたりだろうか。完成度高く仕上げてきたステージングと現場の融合、新メンバーの重要パートでの歌割りもすっかり似合ってきた未来を連想させる楽曲、メンバーの想いを込めた普段とは違う一曲。どれも誠心誠意、向き合ったものだ。MIX兼振りコピ、振りコピ、MIX兼メンバーコール、といった感じで立ち回り変えたが、こうしていろんな楽しみ方ができるというのもまた、贅沢なことだ。
さて、ここからは、トリ4組以外のアイドルについて、雑記していこう。まずはRiNCENT#だが、なんと前回ライブを観たのは約1年半前、しかもグループ名が「RiNCENT.」だった頃だ。当時は正直、音程合わせて歌えているぐらいの歌唱力で、グループとしてのまとまりも微妙だった。それでも、めげずにSNS頑張っているメンバーだっていたし、ダチョウでバズっているメンバーだっていたし(これは超最近)、ひょっとしたら期待できるんじゃないかという想いで賭けてみたが、大勝ちだった。持ち時間は十分あったが、その中でも円になる瞬間、あの一瞬だけでも、皆が同じ方向を向いてアイドルできているのだと、RiNCENT#というアイドルグループを成しているのだと、強く納得できた。それに、どのメンバーも確かに歌が上手くなってた。歌唱に余裕が出ていたし、個性を乗せて歌えてもいた。だからといって、大人アイドルならではの武器を喪ったわけでもない。あの戦い方というのは、他のグループも真似できないと思う。こういう収穫があるからこそ、ヲタク続けててよかったと思える。
BABY-CRAYONに関しては、3人体制で観たのは初めてだったが、未だに根強い人気だ。やはり歌が強い。歌に感情を、想いを乗せることができるのは強い。声量も間違いないので、観賞だけでも全然楽しめるのだが、彼女たちのライブを前にするとどうしても、手拍子や振りコピなどで応えたくなってしまうものだ。魂、などと雑にまとめたくはないが、彼女たちのライブを観ていたアイドルは果たしてどんな想いで見詰めていたのだろうか。ファンであれば純粋に、歌上手い、かわいい、かっこいい、などとハッピーな感じで片付くのだが、同業者となれば著しい刺激と化すに違いない。ただ、ライブアイドル界は、互いに高め合ってこそ、成り立つ世界だとも感じている。知名度も動員数も地上と比べれば全然劣る世界だ、だからこそ常に、日々前進するようなエネルギーが欲しい。その師こそまさに、同じステージに立つ者たちではないかと、筆者は考えるところだ。
NiLUNLOCKについては今回初見だったが、急遽物販開拓してしまうぐらい、素晴らしいステージングだった。爆発的なエネルギーを有していながらも、楽曲の世界観を壊さないように良い塩梅で発揮できていたように感じた。あの眩しいほどのエネルギーというのは、ライブアイドル界に染まって慣れてしまっては出せない味だ。簡潔に言えばフレッシュという言葉に尽きるのだろうが、それはあまりにも無機質に感じられてしまうほどに、ライブに込める熱量の大きさ、そして相乗効果で滲み出る人間味、これらを筆者としては高く評価したいと考えている。この空気感というのを筆者はマイディアの初期体制と重ね合わせたが、その連想に欠かせない存在こそ、梅原エレナというメンバーである。彼女は本当に、マイディア初期の櫻井優衣と良く似ているように感じた。ただ誤解の無いよう補足しておくが、あくまで初期の頃と、というところだ。今日の櫻井優衣は完成されている存在だ。さすがにそこまでではないが、原石として近しいものを感じた。新規無料チェキはできれば彼女と話してみたかったが、視認できずに他メンバーで済ませてしまった。のらくら物販回収の最中、早々に物販終了している様子を見て後悔強く抱いたのを今でも思い出すぐらいだ。まあこれはこれで、楽しみを次へ残しておくというのは悪くないことだ。ぜひまたライブを観たいものだ。
そして、こうして執筆している最中、急遽体制終了というニュースが入ったので、ハープスターもまた書き残しておこう。ヒカルと話すのはすっかり鉄板となってきたが、健康面とか本当に何気ない話をしただけなので、まさか卒業発表するとは思ってもいなかった。もちろん寂しい想いもあるが、どちらかというと安堵の方が大きい。このままハープスターを支える人生も十分素晴らしいが、彼女のことを思えば、普通の女性として幸せな人生を歩んでほしい、という想いの方が強い。これまで幾度と、苦しい状況でもグループを支えて、ステージに立ち続けた功労者だからこそ、幸せになってほしいと、切に願う次第である。本当に長い間、よく頑張ってくれた。卒業までの間は、より一層と幸せなアイドル人生を歩んでほしいと願うばかりである。ライブアイドルとして生きた玄人、感謝が尽きない。
対バンライブというのは、その瞬間、アイドルとして生きる者がステージに立ちライブを行い、仮に直接言葉など交わさずとも、アイドルはアイドルとして、そしてヲタクはヲタクとして、入れ替わり同じ空間に居する。筆者のように広くアイドル界を見る者からすれば、そんな入れ替わりたるものもまた、どこか趣深く感じられるものだ。そして、前述に沿うならば、いずれアイドルは卒業を迎え、そしてまた新たにアイドルを始める者が現れる。時が経つにつれて、世界を成す者というのは、移り変わっていくものである。筆者がここで言いたいのは、いずれ終わりが来る存在を応援することの虚しさや儚さではない。その逆とも言えるだろう。この瞬間、アイドルとして生きる者を認め、敬い、一つの偶像として必死に応援する。熱量たるものを、その瞬間にぶつける、この熱さというのが、何度参戦してもやはり、眩しく、美しいものだと感じてしまう。そんな魅力に憑りつかれて、今日もまた、筆者はドルヲタとして生きてしまう。ただ改めて、締めとして言うなれば、そう快楽を享受できるのはやはり、アイドルに就き日々精進する者がいてこそ、初めて成り立つものだ。
Sweet AlleyのTDCワンマンについても、この一つである。本当に有難いことだ。
フライヤー配りのあの瞬間、声を掛けられることが無かったら、ここまでスイアレワンマンを軸に執筆することはできなかっただろう。改めて濱越氏に感謝して、本執筆を終えるとしよう。
日時:2024年8月18日(日)、13時半~19時半
会場:横浜ランドマークホール
タイトル:SWEET PARTY
出演組数:16組
2024/8/21(水) 23:55
最新話の『推しの子』を観たが、嗚呼、十二分に彼の気持ちに寄り添えないのが、とても虚しく感じられてしまう。
と同時に、激しい罪悪感、演技を楽しむことができないということ、これらに対しては共感が働き、上とはまた違った虚無感に襲われている。自分は何故、生きているのか。何のために、誰のために。其処に意義はあるのだろうか。
ただ、さすがに平日の真っ只中だ。明けて木曜、本記事がアップロードされる頃はまさに、課の垣根を越えた飲み会か、あるいはその二次会にでも明け暮れているのだろうか。仕事についても、明日はいろいろと動きがありそうだ。決して気は抜けないし、うまいこと噛み合わされば、夏季休暇消化の金曜、そして土日、見事な時間外労働にも発展しそうだ。
そうだな、結局は自分自身に関心が向いてしまっている。彼が母親を強く想うことに反し、筆者よ、執念を覚え得ないほどに平坦な情感の日々というのは、如何に退屈なものではないだろうか。そのあたりの議論も次回、含めるとしよう。
情感を乗せようとすれば、自ずと溜め息が零れる。悪癖が後味苦い、某夏夜であった。(6000字)