2024/8/1(木) 00:36
平日の真っ只中ではあるが、与えられた業務内容、そして優先度、さらには期日。様々な要素を勘案して、今、この瞬間、何に己を捧げるべきか、と考えた際、翌日の仕事のための睡眠確保よりも、今し方、観測してアイドル番組について記す方が有益だと判断し、こうして筆を執った次第である。課内状況は一層と険悪と化すであろうが、それを機に思考を巡らせ、改善へと動いてほしいという意図もある。一方、今回の主題とする内容で、アイドル界を改める切り口となればという想いもある。
その番組こそ『くりぃむナンタラ』だが、櫻坂46が出る回については大方、見苦しいことの無い認識である。若干の推し補正も否めないところだが、やはり、冠番組で芸人に鍛えられていることが大きい。それで言えば乃木坂46や日向坂46も十分成立し得ると言えそうだが、やはりMCがコンビで確立されていると、そこで笑いというバラエティー要素が成立してしまい、アイドルというのはあくまで参加者に留まりかねない。となれば、何らかの企画性を持たせてそこで勝負させる、強制的にアイドルを前面へ出す、といった工夫が必要になってくるが、では、これによってアイドルは本当にバラエティー力を身に着けるに至るのか、と考えてみれば、まだ議論の余地はあるが、本筋とは外れるため、こちらについては今回は割愛するとしよう。
話を戻せば、今回の放送内容としては、アイドルの事前アンケートや打ち合わせにあたって、どの程度エピソードトークを生み、展開させられるのか、を問うものであった。出演アイドルとしては、AKB48メンバー1人と超ときめき♡宣伝部メンバー2人であった。AKBについては、現時点でも一般的なアイドルグループほどにメンバーが減ったわけではないこともあり、誰を出すかというのは肝心ではあるが、上記企画を成立させるためか、話の上手い子が選抜されていた。一方でとき宣については、対照的とも言えるメンバーの選定であった。場に沿って話を合わせるような柔軟性の高い子は普通にいるので、あえて選り抜いたといったところだろうか。だとしても、難易度の高いトークテーマが設けられる→関するエピソードは無いと回答→打ち合わせで追及→エピソードをでっち上げるか嘘吐かずに話を膨らませるか、という展開は、さすがにあの回数やれば尺が持たない。なので結果としては、AKBから単独で出演していたメンバーを中心に、くりぃむしちゅーがイイ感じに引き出してどうにか成立させた、といった感じだ。
AKB側としては、やはり知名度を上げるためにバラエティー出演させたいというのは解る。具体的に言えば、グループ名ではなく個人としての知名度である。上記の努力の結果、工藤華純という名前はTwitterことXのトレンドに浮上し、たとえ一夜限りのバズりだとしても、十分、目的は果たせたようなものだ。なお、彼女については、研究生ながらも既に19歳、ライブアイドルのフィールドで考えればギリギリ未経験者採用で戦力として数えられるかぐらいに、遅咲きな歳だと筆者は感じる。昨今では、ライブアイドルに関しても経験者採用は増えており、経験を積むとなればどうしても若いうちに業界へ参入する必要が出てくる。そんな長い目で愛される、売れることを考えれば、19歳ながらも未だに研究生、必死になるのも当然といったところだろう。
じゃあ逆に言えば、今回出演したとき宣メンバーは若いのかというと、正直そうでもない。22歳と25歳、もしとき宣に居なかったらと考えればアイドル人生を送ることすら叶わなかったのではと思うぐらいではあるが、歳に関係無く、彼女たちは既に十分売れているし、現AKBが欲している、個人での知名度という点でも十分なレベルだろう。それに、音楽番組出演や雑誌掲載など、バラエティー出演以外でもメディア出演は充実しているため、アンケートを書く気力以前に、充てられる時間が無かった、というのも可能性の一つとして考えられるだろう。と妄想してみれば、エピソードトークが無い、と多く空欄を作ってしまった彼女たちに責があるのか、と考えれば、そこだけに責を求めるべきではないと筆者は考える。
これまで筆者が記した記事など踏まえればもう自明かもしれないが、端的に言えば、プロデュース側の問題である。どうして今回、上記の企画主旨を把握した上で、バラエティー出演を決したのであろうか。充てたメンバーからして対照的に設けて発展を図るとしても、それならMC側で展開がワンパターンにならないように工夫するか、出演アイドルを増やしてパターンの繰り返しにならずに済むよう回避するか、など、やれることはいろいろあったはずだ。結果として、出演したとき宣メンバーは相槌打つことをも困惑を隠せない様子であったし、中には泣き出す場面すらあった。これで結果、バラエティーとして本当に美味しくなったと思うのか。相乗効果で盛り上がって泣く泣くカットするシーンばかり、なぐらいに盛り上がった方が良いのではないだろうか。
くりぃむナンタラへのアイドル出演については、少し遡れば、日向坂46が怪談テーマでのインストール企画でも、MCがキレる、怪談芸人がただただ困惑する、などで、もはや放送事故に近い有様であった。これに限らず、出演したアイドルは他の出演者と比べてあまり美味しくない形で尺だけ使われてバラエティー的には微妙な感じになるので、筆者からすれば、ライブアイドル各位、捨て身覚悟でチャレンジできかつアイドル出演が積極的であるバラエティー番組は他に無いんじゃないか、一つの活路として捉えることも可能では、と考える次第である。しかしこれはこれで、30分枠で果たして視聴率が採れるのか、出演者内訳含む企画採用の時点で上層部の承認を得られないのではないか、という懸念も色濃いが、じゃあこのまま、アイドルを出演させると高確率で事故る、ということが続いていいのか。その天秤が傾いた一瞬、機を逃さずにライブアイドル業界が挑んでほしい。
とはいえ、ライブアイドルもすっかり、夏真っ盛り、イベント大小や都内遠征など問わず、多面的にライブ展開できている昨今であり、今更、テレビ番組に出演するメリットというのは、ライブ出演するほどのメリットは無い、というのが実情だろう。バラエティー番組については、chuLaの冠番組は終盤到底観ていられなかったし、ガルボムについては続いてはいるが初め数分だけ観てそこから一切観ていない。ライブアイドルは地上アイドル以上にバラエティー番組との相性が悪い、という傾向にはあるが、筆者が思うに、くりぃむナンタラが求めるアイドル出演というのは、化学反応のようなものも期待しているんじゃないかと、つい考えてしまうものだ。断言はできないし、議論もグダってきたのでこれぐらいにするが、いずれにしろ、今回、とき宣の運営方々には今一度、バラエティー番組出演にあたっての有効性、メリットたるものを再考していただきたく、執筆した所存である。