2024/5/18(土)  18:29

 

 

 

今、あの瞬間を思い出しても、やはり感動が込み上げてくるものだ。

 

「少年といつも 心熱く この瞬間分かち合うぞ」

 

リリースは2013年、既に10年以上も前の曲だというのに、あのセントラルステージで表現されたら、どうして当時と何ら変わらない鮮やかさを帯びるのだろうか。一旦曲が終わったかと思った瞬間の静寂を、上記メロディーが破った、ただあの瞬間だけでも、嗚呼、確かに音楽は、今日も生きたのだと、胸が熱くなってくるものだ。

 

でんぱ組.incというアイドルグループは、AKB48やモー娘などとは違う。じゃあ具体的にどう違うのかは要素化して比べてみてもらえればいいので割愛するが、筆者の所感としては、前者は王道キラキラ&初手からアイドル道のど真ん中を闊歩でき、後者は地道に一つずつ積み上げて自分たちだってアイドルになれる、なるんだという強い意志を感じるものだ。

 

ざっくり言えば、ファン層というか、好きになる人の層みたいなものが大きく違う気がする。だからこそ、AKB48『僕たちは戦わない』やNMB48『ナギイチ』とは違った、彼女たちなりのメッセージを感じ得てしまうものだ。

 

 

 

誰よりも楽しくコミカルにパフォーマンスして、楽曲特有の世界観を表現する。

 

歌唱無しのパフォーマンスとはいえ、歌もダンスも無理矢理こなして、本当にライブ音楽が好きでやっているのか、それともただのレッテルで用いたくてとりあえず続けてるか、よくわからないレベルで安易にステージに立っている、そこらへんの地下アイドルと比べたら、今回の五月祭での東大娘のパフォーマンスは、本当に素晴らしかった。

 

堅い議論にはなるが、楽曲を表現するというのは、アイドルの本質だと筆者は考える。楽曲表現を伴いたくないのであれば、SNSインフルエンサーやモデルや、さらに広く言えば各種水商売や風俗など、要は、ファンを得て売れるというのは、今の時代、年頃の少女たちにおいては、本当に様々な選択肢がある。さらに言ってしまえば、アイドルというのは依然として、軽蔑され得る職業である。転職においても確実に不利だ。だからこそ、アイドルとは決して得できる職業ではない。

 

それでも、アイドルを務める。何故なのか。などと考えれば、やはり上記の理由に尽きてくるのである。今の時代、経験など関係無く「やりたい」という想いを非常に尊重してくれる時代にはなったが、逆に言えば、想いが無ければ価値として認めてくれない時代になったとも言える。などと考えてみれば、ライブアイドルと呼ばれ得るほどに場数多くステージに立っている地下アイドル各位、本当にその悦びを表現できているか。観客に伝えられているだろうか。今一度考えてみてほしい。

 

 

 

東大娘以外にも、STEP、そしてLutella!のライブも観た。こちらも本当に素晴らしかった。

 

STEPについては、K-POP楽曲をダンスパフォーマンス、炎天下の中、本当によく頑張ったと思う。入れ替わりで全体大人数でというのは同じだが、4曲程度観ただけでも、パフォーマンスが特に素晴らしかった者が4名程度視認でき、もし筆者がアイドル運営だったらスカウトしたくなるぐらいには、あの瞬間で良いパフォーマンスだったのではと思う。なお、多々アイドルを観た身として対東大生ということでかなり厳しめに評価してこの割合の高さである。なので普通に観れば十分全員上手かった。

 

Lutella!、全身で悦びを表現する点で間違い無く最高だった。もっとラブライブについて予習などしていればもっと没入や感動などあったのかもしれないので、正直他2組との正当な比較でないことはご容赦いただきたい。アイドル界全体を見ても、メン地下などという言葉が度々トレンド入りするように、どのような楽曲を誰が表現するのか、というのはボーダーレスな時代になったと筆者は考えたく、だからこそ、上記の議論再び、その表現に積極性や悦びがあるかを評価したく考える。後半の20分程度しか観れなかったのは惜しいところではあるが、楽曲やステージ、そしてライブへの向き合い方というのを、改めて学ばされた時間だ。

 

ハロ研のライブも観たかった。J-POPな3次元女性アイドルをほぼ全て認知している筆者からすればハロプロも十分いける、と思って執筆中にセトリ出てたので確認したが、甘かった。半分弱がメロディー浮かんでこないぐらいに、選曲がディープというか秀逸じゃないか。しかも初手にバラライカは反則的だ。とはいえもし実際に観ていたら相当テンション上がっていたはずだから、セトリで確認するぐらいで丁度良かった気がしてきた。また次回、リベンジしたいところだ。

 

 

 

最後にはなるが、PIGGSのライブについては、家族都合でハロ研同様、時間が合わなかったのもあるが、サコフェスなどでの有名アイドル現場での治安などを踏まえ、仮に時間あっても勇んで観ることはしなかっただろう。

 

上記3組のライブを観ていながらも、ちょうど人出がピークになるような時間帯ということもあって、セントラルステージ付近にはかなりの人が集まっていた。中には動線を塞ぐような形で観る者もいた。それに最高気温30℃という暑さである。そんな状況でも、学生スタッフが良く動き、場を良く管理できていたと、スタッフについても称賛したく思う。ただ逆に言えば、この後に有名アイドルを呼ぶ割には少なくないか、と正直思ってしまった。実際どうだったのか、調べるのも怖いぐらいだ。

 

いわゆる対バンであれば、屈強なスタッフを雇って怪しい行動があれば声掛けして緩和や解消させるものだ。今回のあのセントラルステージの人の多さからすれば同程度の警備を施すべきだと筆者は考えるために、学生だけでよく成立させるものだとつい感心してしまう。もしかしたらPIGGS出番の時だけ警備を増やしたのかもしれないが、もし筆者が主催側であれば、コアな地下アイドルを3組程度呼んで、STEPや東大娘やハロ研などと交互出演かコラボなどして、より親和的に盛り上げたいものだ。

 

 

 

父親が東大OBということで誘われて渋々の参戦ではあったが、本当に、本当に、参戦して良かった。

 

だからこそ心配してしまう。来る翌日、日曜日には、某対バンへの参戦予定である。普段SNSでよく見かけるから、程度で行くようなものだし、他のアイドルはTwitterフォロワー3桁程度の無名アイドルばかりだ。そんなアイドルたちは経験上、今回特に重視した観点である、楽曲表現の悦びを見失っている者が本当に多い。だからこそチケット代に見合わない。ただの時間と金銭の浪費でしかないのだが、それでも投資してしまうあたり、まだどこかでアイドルを信じてしまっている。大馬鹿者だ。

 

とりあえず、参戦直前は仕事のタスク整理に充てて有効活用するし、対バン参戦は目当ての物販回収程度に留めるが、何度想像してみても、今回の東大娘のパフォーマンスを超えられるイメージが湧かない。

 

しかし、ステージに立つ者というのは元来、そうやって魅力で勝負し合うべきなのだ。その活動形態、場数頻度や出演機会など、補足事項でしかない。偶然連日でどうぶつかって、対戦相手が決まるかで、今回は上記の通りの対戦カードになっただけだが、さて、現役アイドルよ、この勝負に打ち勝つことはできるのだろうか。もし敗北に至った場合、いよいよ、地下アイドル応援からさらに足を遠ざける形になるに違いない。魅せてほしい。まだ私は彼女たちも愛し続けていたいから。(3063字)