2024/4/24(水)  23:07

 

 

 

先日、サコフェスで痛ましい事件があった。詳細は省くが、完全な人災である。

 

別に筆者はどこかのアイドル運営というわけでもないし、さらに言ってしまえば、特定のアイドルを推しているわけでもない。

昨年を振り返ってみれば、1年中、様々な風俗を渡り歩いたほどに、今やドルヲタとも呼べないレベルだと自己分析する。

 

しかしそれでも、昔、あの良質な地下アイドル現場を幾多と経験した身としては、今の時代、嗚呼、本当に民度の低い空間へと、アイドル現場は成り下がってしまった、いや厳密に言えば、成り下がり得る、のだと、ひどく残念に思ってしまう。

 

あえて部分的な修飾を施したのは、すべてのアイドル現場が無法地帯なわけでもないし、個々人のレベルで言えばすべてのヲタクが人間失格だと批判できるわけでもない。ただそれでも、たとえ100良かったとしても1つでも悪いものが見えてしまっては、後者のイメージが迅速なスピードで伝播し得るものだ。だからこそ、今回の件で改めて、アイドルヲタクというのは馬鹿げている、人を外れた生き物なのだと、悪しきイメージが蔓延ってしまっても、正直、致し方ないと感じるところだ。

 

これは決して、ヲタク側だけの信用失墜ではない。そんな者たちを商売材料として経営する各種運営、そして某頂き少女の如きヲタクを誑かすアイドルもまた、確かな被害者である。あえて雑な言葉で表現したが、これほどに書いた方が、如何に今回の件がアイドル界全体への悪影響を悲観できるかが理解いただけたに違いない。もっとも、周囲にまともなアイドル/運営/ヲタクのいずれかがいれば、そんな身近な存在によってただの被害妄想でしかないことは容易に解るだろう。

 

しかし、特に、コロナ禍によって、現場の多様化に伴って、良質な地下現場から離れざるを得なくなり、アイドルの情報を追うことをも孤独を感じ得るようになり、人生の悦びを見失ってしまった、中年男性な方々を、筆者としてはひどく憐れんでしまうものだ。ヲタクとして過ごした半生というのは、恋愛や結婚などの一般人的感覚を取り戻すには十分に手遅れであって、本当に孤独をどうにか遣り過ごすか、風俗等で孤独を紛らわせて財産ゼロで死ぬか、という道が描けてしまう。

 

そう考えてしまうのも、未だ28な筆者とて、同様の念を抱いているからだ。決して他人事ではない。

 

 

 

さて、そろそろ本題に移りたいが、では、一層と在り様を変えたアイドル現場、そんな場を前にするというのは、決してヲタクだけに限らない。ステージに立たされるアイドルたちもまた、目の当たりにするわけである。いやむしろ、最前管理ほどに前方であれば、後方のヲタクなどと比べても壇上のアイドルの方がより近く、その光景に直面することになるだろう。

 

悲惨なアイドル現場に遭遇する可能性がある。それでも果たして、アイドルはTIFに出たいものなのだろうか。

 

ここからはライブアイドルを主軸に議論するが、やはりTIFに出れるメリットとしては、普段出る対バンとは違った層の客がライブを観てくれるということ、そして特典会においても同様である。今後長く推してもらえる可能性のある者の獲得、とまではいかなくても種蒔き程度には十分な効果があるだろう。しかしその一方で、普段とは違うイベントに出演する、ということに着目すれば、会場だけでなく前室も含め、不慣れな中での活動を強いられること、そしてTIFという高額チケットイベントである、普段来てくれる者がその敷居の高さ故に已む無く行けないこと、これによるアイドル側の精神疲弊も相当に違いない。

 

頻度高くライブを行い、まさにライブアイドルと呼ばれるに値する者のTIF出演決定が目立ったこの頃である。確かに定期的なライブ活動では間違いないが、前述のリスクもある中で、果たして大丈夫だろうか。ひどく心配である。

 

なんだか過保護にも思えてしまうが、少なくとも運営を務める者に関しては、これぐらいの覚悟、リスク想定を抱いた状態で臨んでほしいと筆者は考える。アイドルだけでなく、運営側も心身共にコンディションを万全の上で、万が一のことが起こっても冷静に対処できるように、念を入れて準備する必要がある。そう考えると、本当に大変な夏だ。TIF以外でも有名なイベントは数多く、決して東京に限ったものでもない。長時間移動による疲労もそうだが、熱中症特別警戒アラートなるものが、この4月末でもニュースに出てくるぐらいには、夏本番、過酷な暑さが想定される。普通に外出るだけでも大変であり、コロナ禍などと比べればすっかり解放的な夏だ、野外ライブも数多いだろうが、冷房装置がまともに設置されていないもしくは十分に機能していない環境下でライブを強いられるアイドルも出てくるだろう。もうこれ以上、人災は増やしたくない。

 

最後に改めて、サコフェスの一件があろうと、アイドルという文化は続いていく。もし引き続き、応援という行動も含めてアイドルに携わる者は、再び何らかの災害が訪れる覚悟も併せ持った上で、愛し続けていただきたい所存である。(2087字)