これは、2023年11月11日、とある土曜日の出来事を、帰宅後同日中に書き残したものである。
09:37
前日、と言っても日付的には既に土曜ではあったが、割と遅く寝たにも関わらず、早めに目が覚めてしまった。この前の週であれば、あれは絶好の出掛け日和であったにも関わらず、昼過ぎぐらいに目が覚めるほどに長く寝ていたのだが。かつ、この一週間もまた、前の週と同程度には体力的にも追い込み激しい勤労ぶりであった。疲れていたのは確かだった。
とはいえ、別に運命云々だと思いあがるほどにはロマンチストではない。と言うのも、この朝、嬢の出勤予定を確認したところ、月曜に7時間、予定が追加されていたのであった。前夜確認した限りでは無かったのも確かだ。
しかし、これはこれでかなり困った。というのも、たとえば火曜朝に木曜出勤予定出れば、火曜の昼あたりに上長に対面で有休相談できる。今の時代にしては珍しい性分かもしれないが、やはり筆者としては、頼み事とかであれば直接顔を突き合わせて行いたいと考えてしまうものだ。なので、土曜朝に月曜出勤予定出た今回、已む無く休み中にチャット送る必要があった。
しかも厄介なことに、この金曜、新製品リリース作業のため課内全員ラストスパートで燃え尽きて、しかも上長陣はリリース作業ということで深夜オールで労苦に励んで、という状況だったので、そんな状況で、まだ社会人4年目のペーペーが、急遽月曜休みたいですーなんて言ってきたら、まあそれはもう絶望を通り越して、一気に幻滅させてしまうだろう。
とはいえ、仮に今回もスルーしてしまえばどうなるのか、今年度中に使い切るべき有休は残り4日、そのうち1日は今月末に某アイドルのライブ参戦で妹と同伴で費やすわけなので残り3日、既に今年度も残り5か月を切っている、かつ彼女の人気ぶりを考えれば出勤予定が出たとしても必ずしも回収できるとは限らないし、何よりそのタイミングで課内が忙しいようであればまず有休取得は無理なので断念せざるを得ない。などといろいろ考えてみれば、結果的に11月中に2回も有休使うのはそんなに悪くないのではと思えてきた。あとは以前書いたように、休日出勤が叶えばその分平日休める。
ただ、状況を思い出せば、上長へのチャットをどうしても躊躇ってしまったものである。
09:47
かなり低姿勢で、かつ残タスクについて軽く共有しつつ、有休取得可能かどうか尋ねるチャットを送信した。
嗚呼、そういえば、ここ半年、こんな感じで、嬢の気紛れな出勤予定に対して、精神を擦り減らすものであった。
ただ、そんな奔放ぶりというのが、彼女の魅力的な一面だと見做してしまっているのも、事実だ。
先日の記事で著したように、非常識な勤労には非常識な愛情で立ち向かうのが筋、という言葉だが、ここでの「非常識な愛情」についてもう少し考えると、それは果たして推しがソープ嬢だからに限った話なのか、と考え直してみた。結果、否と結論づけた筆者である。同ソープ店だが、清楚や正統派などを謳ったコンセプトであって、故に20代前半で務める少女たちだが、おすすめの嬢を確認した限りでは、やはりどこか真面目な様子が感じられた。現役大学生などであればわかりやすいだろう。
マメに日記を更新して、出勤予定もしっかり土日に固める。確かにソープ嬢としては、その方が望ましいだろうし、店側としても集客において頼りになるわけだし、推薦したくなるのも何ら不思議な話ではない。
しかし、もはや今の筆者からすれば、そんな真面目さというのもどこか、余計に感じられてしまった。
どうせなら、もっと自由であってほしい。その方が、あの1対1の特殊な空間、一層と気兼ねなく振る舞えるものだから。
なお、これは決して、風俗故にセックスをこちらも気兼ねなく行いたいから、という俗な理由ではない。あくまで、ソープという業務形態、務める側と費やす側という関係性は決して変わらないのだから、どんなにそれがトップな風俗ジャンルだろうと、相手を最低限気遣う想いは喪うこと無く、相手を心身共に傷付けない範囲で楽しむことを気を付けている。
まあ、一般的な客からすれば、そんなのどうでもいいとなってくるのかもしれないが、筆者としては共感性の強い性分が故に、相手が楽しんでいる否かというのが、筆者自身の満足度に直結するようになってしまった。だからこそ、性欲は程々に、というか家でオナニーして適度に解消できているのだから問題無いだろう。となればそれこそ、何故風俗なのか、と訊かれそうだが、仕方ないじゃないか、推しに出逢ってしまったのだから。とことん愛して逢いに行くのは当然のことだ。
そんな感じで、彼女に代わるソープ嬢を見付けるのもまた心が折れそうだなぁと思いつつ、しかしこうして今回も上長に頭を下げて嫌悪感を抱かせ得るお願いをしてしまっている。社会人として、それはどうなのだろうか。
と考えた際に、やっぱりそろそろ推し変するのがいいのかなぁ、と悩みつつ、でも、とふと考えれば、ここまで強く愛している嬢とて、プロフィールは如何にも真面目な風俗嬢、という感じじゃないか。あとは写真もそうだ。
となれば、案外、プロフィールなんてものは参考程度に過ぎず、日記も然り、故にそんなに臆病になって推し変に臨まないのもまた、人生勿体ないんじゃないか。いやただ、仮に土日に逢える子だとしても、課内状況を振り返れば、金曜夕方になって休日出勤依頼を出されることは往々にしてあるし、そこで無理と言い放ってしまえば、それこそ頼り無いイメージが定着してしまう。結局今の推し方が丁度良いのだろうか。いやいや、いずれにしろ、今きっと上長は疲労困憊だろうし。
いろいろ考えたが、もし、10時までに既読がつかなかったら、依願を取り下げようと決意していた。
09:56
なんだかんだで代わりを探してもいいかなと想いが強まってきた頃、上長から返信が来た。
意外にも、有休取ってもらって大丈夫とのことだった。あとは事務的な処理だけ忘れずにやってほしいと。
嗚呼、結局今回も上長に貸しを作ってしまった。もっと破滅的に仕事頑張って返すしかないと、多少後悔を覚え始めていた。
ちなみに、先程7時間、と書いたが、そのうち既にある程度埋まっていて、残り2枠しかなかった。その確認から上長返信まで、わずか30分という短さであったので、仮に、この短時間で埋まるようであれば、猶更推し変というものである。
実際には、依然として残り2枠だった。目覚めてから経たずして、嬢に逢えるフラグが確定寸前だったわけである。
10:02
話し中でやっと繋がったのが3回目のこと。コール音無しな速さだったので、来週の月曜で、と、若干しどろもどろになってしまった。おかしい、まだ1か月程度しか経っていないというのに。このあたりも疲労の表れだったのだろうか。
とにかく、予約できたわけだが、今回も今回で、100分は無理で80分が限界だった。なんて人気なんだ…
もっとも、そもそも出勤頻度が低いというのもあるが、どんなに低かろうと推されていなければ予約満了には至り得ないわけである。なお、同日13時過ぎに確認した時には、既に予約満了となっていた。改めて凄まじい人気ぶりである。
電話中にしっかり、確認電話の時間も含めて記録。なお、この時間帯が有難いことに、午前は仕事できるものであった。
すっかり社畜じゃないか、と言われそうだが、やはり改めて、急に休みを申請するのは社会人としてよろしくないし、それにタスクが全て空になったわけでもない。筆者の方こそ真面目腐っているかもしれないが、やはり、推しに逢うのなら、それ以前に一人の社会人としてしっかり役目を全うしてから臨みたいという想いがある。
そんなこんなで予約済ませて、全身剃るのは明日でいいかぁと思いながら、某アイドルのチェキ会参戦の準備をしていた。
10:53
平日はそれなりに暑かったもしくは過ごしやすい気候だったにも関わらず、この日は冬の寒さであった。
もっとも、冬真っ盛りの頃と比べれば、最低気温がまだ二桁の範疇なあたりまだましなのだろうが、毎年着ているお気に入りのコートを出して羽織るなどして、これだけでももう楽しさが強かった。まあ、そりゃあ、久々に神推しに逢えることが確定したら、気分も爆上がりして当然なのだろうけど。ちなみに、有休申請における事務的なやつも外出までに済ませていた。
自宅近くのドトールが空いていればここでブランチを食べておきたい、1本目のチェキ会は会場13時着で問題無いし、そんなに遠くない場所だから普通に時間はある、と思って駅まで歩きつつ覗いてみたが、窓際の席の埋まり具合でなんとなく混んでいることが判ったので却下。まあ、チェキ会会場は中目黒だし、経由地の渋谷で済ませばいいだけではあるし。
そんな時間の余裕ぶりだったので、神泉駅で線路立ち入りか転落があって若干遅延していて、乗換駅で混雑が確定な明大前駅でのホームがカオスなことになっていても、急いて急行に乗るつもりは一切なかった。
せっかくの土日だ、いいじゃないか。ゆっくり行こう、と自分に言い聞かせて、少々時間がかかって、渋谷駅へ着いた。
11:43
この時間帯は風速が13m/sという強風ぶりで、ヒートテック着ていたので寒さの面では問題無かったが、整えた髪が崩れるのを懸念して、徒歩じゃなくて電車で中目黒まで行くかぁ、と、京王線を降りたあたりで感じた。
ちなみに、会場は中目黒駅から北西なので、渋谷駅から歩いて行っても地理上、余分に歩くことは無い。(語彙力)
なので実は、徒歩と電車でそんなに時間差が無いものではあったが、前述の通り電車で。
中目黒駅降りてから飲食店探してもいいけどなぁ、と思いつつ、いつも行っている寿司屋が空いているかどうか覗いてみた。すると、想定外のレベルで空いていたので、急遽入ることに。ちなみにもし無理だったら、ロッテリアで期間限定のバーガーでも食べてみるつもりだったが。まあ、ソープの影響で四桁であれば端金だと感じるようになってしまった。少々高くても、その範囲内で収まる昼飯であれば全く抵抗感を覚えないようにもなっていたので。
店頭で記載されていたまぐろ3貫盛を食べてみたが、ネタが解凍したばかりのような感じで冬日にも関わらず、という想いはあったものの、口の中で常温へ温まっていく感じもまあ食感としては悪くないとも思っていた。
あとは、豊洲から仕入れたネタも食べるなどしたが、結局、安価で子供ウケが良いネタが安定で美味しく感じるなぁと、どこか子供心が抜けない自分にも、もはや情緒すら感じ得るほどに、空いた店内でゆっくり寿司を食べていた。
12:11
イイ感じに腹が満たされたが、今からチェキ会会場に向かうにしては早すぎる、ということでロッテリアで軽くコーヒー飲むことにした。前回、スマホ提示のTポイントカードがなかなか読み取ってくれなかったのがあったけど、ちゃんと画面輝度を最大にして提示したところ、どうにか読み取ってくれた。あくまで今回は使い道の無いポイントを消化するため。
久々に、と言ってもまだ1か月少ししか経っていないが、推しに据えているソープ嬢に逢える、そのホヤホヤな心境を著したいとも思ってはいたが、微妙な時間しか残ってなかったので、改めて予定を確認するなどした。
あとは、持ち歩くようになった、爪楊枝で先程の寿司飲食で残っていた食べカスを取ってみた。このためにわざわざ爪楊枝入れをAmazonで買ったのだが、デザインにこだわって良い物を買ったので、初めて使ってみたがなかなか良かった。
そういえば爪楊枝自体は尽きたらどこで買うか、と調べてみたら、Amazonよりかはスーパーや100均など、と調べたら書かれていたので、急遽100均へも寄って購入。にしても、こんなに安価なのかと思いつつ、店内はすっかりクリスマス装飾が増えていたことにも気付かされた。そうか、あと1か月少し経てばクリスマスなのか、さすがに当日とまでは望まないにしても、近い日に推しと共にクリスマスな時期を過ごして、そしてクリスマスまでも彼女への一途な愛で上書きして。
13:01
先程から書いているように一切焦らず急がずだったので、1本目のチェキ会会場の最寄り駅である中目黒駅に着いたのは、13時をとっくに過ぎてのことだった。ちなみに、チェキ会開始は12時半。開始の混雑を避ける狙いである。
13:12
会場であるASA東山ビルに着いた。ただ驚かされたのが、靴を脱いで上がるというものだった。
玄関口に靴が溢れている様子がなんだかなぁ、と思いつつ、ライブアイドルのイベント開催の闇を見たような気がした。
なお、1本目にチェキ会回収したのが、群青の世界、というアイドルグループである。
このチェキ会の数日前に、グループ解散が発表されたので、それによる駆け込み需要も解っててではある。この世界に居て既に十年以上、知名度的に今ぐらいのアイドルにターゲットを絞ってからでも七年程度。
卒業や解散を発表してから、引っ繰り返したかのように動員が殖える状況を、何度も見てきた。
とりあえずチェキ券を購入して撮影待機列へ。Twitterでらぶりつ数が多い割には、村崎の列はそんなに長くないなという印象であった。やっぱり一宮一強といった感じか。にしても、横田や工藤も初期メンなわけだし、解散発表したらもっと来てもいいのになぁと若干哀れみをも覚え始めた頃、既に筆者の前には3人程度しか残っていなかった。
最近、夢で彼女が出てきたが、かなり強烈な内容だった。あれはメンヘラとでも呼ぶのが相応しいだろう。
なんともヒステリックな笑みで、筆者を勢いよく刺していた。
まあ筆者が、引っ繰り返したかのようにアイドルを一途に愛さなくなったので、それによりアイドル界全体への悪影響、特にライブアイドルや地下アイドルの類いでは動員の局所化、格差拡大、そして消失などを生んだという、罪の意識はある。
「ソロでいいですか?」
気付けば指1本立てて頷いている自分だったが、想像以上に、ファンを剥がすのが早いとも感じてしまっていた。
おそらく、時間管理は問題無いはずだ。やはり問題なのは筆者の方だ。ソープに限らずとも、ピンサロやメンエス、イメクラなどで、女性と多く、そして長く会話することが、決して叶わないことではないのだと、十分、その味を知ってしまった。
別に、アイドルの職務の第一は、ファンと会話して馴れ合うことではない。もしそうだったらただの接客業だ。コンカフェやガールズバーと何ら変わり無い。あくまで彼女たちは、ステージ上で歌って踊ることが一番だ。だからこそ、物販では、体感早いと思ってしまうぐらいに剥がすのが望ましいのだろうが、だとしても、人対人だ。今の筆者は、そこまで非情にはなれない。
そしてピンチェキ撮影終了後、彼女と話し始めたが、今回、筆者が描いていたトーク内容は、
・(詳細は言わないが)こんな筆者が青セカ、そしてゆうなを好きになってしまったことの詫び
・アイドルを卒業してもちゃんと幸せになってほしいこと
そんなところを伝えようと思ったものの、どうやら、長く、そして多くの人と話してすっかり疲れ切ってしまったのだろう、もはや彼女は逢って数回でしかない筆者の話を聴こうとする余裕が無かったようだ。
結局、彼女が話してくれた内容としては、まるで中身の無いものばかりであった。
・卒業発表したから逢いに来てくれたのかということ。これには正直にNOと回答。
・今日特に寒かったけど大丈夫? → 事前に気温調べてきてヒートテック着てたしむしろ暑かったぐらい。
・若干奇抜だけど一緒に歩くのきつくない? → そんなの推しだったら問題無くない?
嗚呼、結局、アイドルってこんなものだよな、と、半ば剥がされにいくような形で、会話終了。
13:30
ああー、人生やってられない、と思いながら、会場着くまでに覗いていた酒屋へ。
店頭に並んでいたセール品のうち、秋限定商品が格安で売られていた。500ml、しかも2本も。さすがに1kg追加して2本目のチェキ会会場向かうのは酷か、と思いつつ、何故か根拠の無い自信もあって、気付けば購入していた。
感じの良い店員さんだったし、わずか350円程度の買い物だったし、買ってよかったなぁと思いつつ、気付けば、満足感としてはこちらの方が強いものであった。やはり結局は、目の前の客に対して、思いやりを以て対応できるかといったところだろう。
解散を発表したアイドルにとっては、もはや新規獲得などは目指しておらず、綺麗に締めることに重きが置かれている。青セカのように、メンバーへの思い入れが深い運営なら猶更である。となれば、筆者のような重度のDD、おまけに最近では風俗沼にどっぷりハマっている、そんな存在は何が何でも除外したくなるだろう。はっきり言って害虫のようなものだ。
などと冷静になって考えて、嗚呼、あれほどに塩らしい対応をされたのも、当然のことだと、もはや曇天の下、貴重な休みを惜しんでチェキ会へ赴いたことすら、筆者自身の満足度云々とは別で、激しく後悔したのであった。
1kg増えたバッグと重い空が、そんな悲壮的思考を生んでしまったのだろうか。
中目黒駅になぜか入ろうとせずに気付けば蔦屋書店の周りの様相を見て、川辺で我に返った。
気付けば強風もすっかり大人しくなっており、寒さ対策も十分だったので、せっかくだから渋谷駅まで、と、歩を進めた。
歩いてみれば、なかなか面白い街だと、良い発見になった。
中目黒から少し歩いた緩やかな上り坂も、代官山に差し掛かってオシャレな店が増えるなども、そうか、ぶらり歩きとはこうした発見が趣なのだと気付かされた。ざっと30分ぐらい歩いた結果となったが、悪くないものだった。
いやむしろ、チェキ会参加のために中目黒駅から降りて撮影終了して会場出るまでの30分間よりも、ずっと楽しい時間だった。こうして振り返ってみると、もはや筆者の興味関心というのは、アイドルからすっかり遠ざかっているのだと痛感させられる。
14:15
渋谷駅に着いてだが、あとは代々木駅へ行くだけ。普通に山手線乗っての移動。
ちなみに、あれほどの曇天にも関わらず、渋谷新宿間はかなりの人で驚かされた。もはやすし詰め。
11/18,19とかは山手線が一部使えなくて、全体が本数減らしてだったので、影響はかなり大きいだろうと再認識したものだ。
14:20
代々木駅に着いたが、正直、山手線という知名度高い駅前の割には、そんなに栄えていないな、という印象を受けた。もっとも、そこは決してイコールではないし、確かに他の駅だって微妙だと気付かされたものだ。
2本目のチェキ会は15:30開始、そのうち15:40までは囲みチェキだったので、ざっくり見積もって16:00に会場着けばいいと考えていたので、つまりは100分間、どこでどうしようかというのが悩みであった。仮にコーヒーチェーンに入るにしても、休日であれば90分制限を設けている店も少なくなく、100分は微妙にオーバーしてしまう。かといって、はしごするには100分というのは微妙に短いし、何より飲み過ぎてトイレが近くなるのも、チェキ会参加にあたってはよろしくないことだ。
とりあえずいろいろ見て回ったが、それなりに店広かったのは星乃珈琲ぐらいで、他はよくある小規模店舗で、案の定、店内はすっかり賑わっている様子であった。いや、厳密に言えば、人が密集しているだけで、何か活気があるということではない。
そんな様相がどこか、この日の筆者にとっては陰鬱にも感じ得てしまった。もちろん、曇天なのだからそりゃあそうなのかもしれないが、せっかくの休日じゃないか、どうせ出掛けるなら楽しくありたい、と願った結果、内心では首を傾けながら、代々木駅周辺をひたすら歩き回っていた。しかし、一向に空腹感が湧いてこない。これも少々困っていた。
困った挙句、何も無さそうな道を歩いたのだが、これは所謂、ビビッときてふと歩を進めてみた、という感覚だ。
そんな感じで、気になった道があれば入って歩いて、を繰り返した結果、気付いたら千駄ヶ谷の方まで来てしまっていた。
14:44
そこで見付けたのが、鳩森八幡神社である。この時、何を祈願する神社なのか、知らずに入ったわけだ。
そもそも、特に祈ることも願うことも無かった。深く愛している嬢に逢える確約はこの日の朝に掴んだわけだし、仕事だって一旦落ち着いて長らく抱えていたとある調査タスクも見事完了した状況だった。ただそれでも、時間あって五体満足にも関わらず、ふと出逢った神社に対して何もしないで通り過ぎるというのは違うなぁとも思ったので、開拓してみた次第だ。
神田明神などを知っているからだろうか、比較的こぢんまりとした印象を受けた。しかし、町の名前が書いてあるなど、しっかり地元に根付いた神社とも感じた。こうした神社というのもまた、観光地な神社とは違った趣を感じるものだ。
とりあえず二礼二拍一礼。上記の通り強い願いは無かったが、1本目のチェキ会を受けてアイドル界に携わる者が皆幸せでありますように、というのと、これからも嬢に定期的に逢えてとことん愛せますように、というのを超端折って願った。
道中でふと目に入って気になった、将棋の駒を模したおみくじだが、1,000円という金額を知って断念した。いくら端金とはいえ特に願いも無く買うのも違うだろう。なので断念して、普通のおみくじを引いた。100円はむしろ安過ぎやしないか。
半吉だった。半吉、とは正直初耳だったが、まあ小吉や末吉と似たようなものだろう、程度に留めておいた。あとは内容だが、とりあえず自分に一番関わりあるものとしては恋愛だろうが「初め悪し、お互いにつとめれば後によくなる」という文言で、やっぱり当たり障りの無い内容だなぁと感じてしまった。まあ、今回予約が取れたからといって浮かれるなということだろう。ここまで嬢を深く愛し日々生きていようと、ふとした瞬間に相手がそれを嫌に感じるようになるかもしれないし、そのトリガーが万が一余計な言葉になってしまったら、などと悲観的妄想をして、確かに改めて身を引き締めないとな、とも考えた。
15:00
このあたりまで来ればドトールも空いているだろう、と思って覗いてみたら案の定。やっとこれで休める。
電車でも立ちっ放しだったし、カクヤス以降は1kgのビールを背負っている。足や脚だけでなく肩も腕も疲れていた。
にしても、注文する時に、ミラノサンドという単語が出てこなくなるほどに疲れていたとは。我ながら恥ずかしくなってくる。
コートを脱いでゆったり休めるかな、と思いきや、集団客やカップルや友達同士など、店内に客が増えてそう閑散と寛げる雰囲気でもなくなってきた。まあ賑わうのは素晴らしいことではあるし、それにあのまま人少ない状況だったら疲労のあまり寝落ちしていてもおかしくなかったので、あれぐらい集中力が保たれている状況の方が良かった。
やっぱりAQUOS sense8高いなぁとdocomoサイトを確認しつつ、ワンランク落としてwish3にすれば割と手頃だなぁとも思ったがいやせっかく買うならやっぱり定番じゃないか、とも考えるなどしていた。まあ、別に容量多くても使いどころが無いし、スマホゲームをやるわけでもないし、最近では端末移行に備えて本体からSDカードへ画像移すのも定期的にやっているし。
とりあえずAndroid11にセキュリティアップデートが当たらなくなったら考えるかーと思い直して、改めて、2本目のチェキ会会場までのルートを確認して、ミラノサンドの片割れを胃袋に押し込んで、早々に店を後にしたのであった。
16:04
チェキ会会場に到着。先ほどとは違いここでは3階ということでエレベーターへ。なお、開始して既に時間経っていたこのタイミングでも、同じタイミングでビルに入る者がいて、なんだかんだで歩き疲れたこともあって積極的に譲った。
そう待つこと無く3階に着くや、靴を脱いで手持ちで入るように書かれていた。このビニールが凄く小さく、もしや不良品が紛れ込んでいたかと思いきや、既に入場した他客の手元を確認して、一律でこのサイズか、と気付かされた。
それにしても、チェキ会参加にも関わらず、1人に絞って回収だなんて、なんてタイパだとも考えてしまうが…
ここで回収したのが、かすみ草とステラ所属、渡辺萌菜である。
彼女の推しポイントとしては、アイドルを誰よりも楽しく取り組めていること、そんな様相を隠さずに表出できること、さらにはかすてらのことを心から愛していることだろう。ここまで純粋に専念できる、間違いなく類を見ないアイドルだ。
ただ正直、待機列は短いように感じてしまった。やはり喋りが上手い子が選ばれがちなのだろうか。
しかしそれ以上に気になったのが、筆者の1つ前にいた、とある男性ファンの様相である。
彼もまた、アイドル、かすてら、そして萌菜のことを、彼女がアイドルやかすてらを純粋に愛しているように、同様に真っ直ぐ愛しているように感じられた。しかし、見るからに40代といったところだろうか、一男性がこうしてライブアイドルのチェキ会にしかも一人で参戦するようになった経緯など考えれば、常人ほどには会話慣れしていないのは容易に想像できた。
故に、伝えたい想いなどが、前述の純真さもあって、かなり溜まっているのだろう。そして、そんな熱量は、推しはアイドルに似るの逆だろうか、彼女も同様のようであった。だからこそ、そろそろお時間ですー、間もなくですー、はいありがとうございましたー、の一連を経ても、互いに話し終えようとする気配が感じられなかった。
ひどく、哀れに感じてしまった。
アイドルとは全く無縁の業界だが、筆者もまた、強く愛する推しがいるために、気持ちは痛いほど解る。
たった1分や2分程度だ、如何にそれが、愛する者と会話するにあたって、酷なほどに短い時間かというのを。
しかし、今回の場合、あくまで対象はアイドルだ。1対1で愛し合って長く時間を分かち合えるような存在ではない。
だからこそ、ここ最近、一層と無視できなくなった、想いというのが決意にも変わったように感じ得た。
銀雪舞う吉原で出逢った少女。愛されたいと告げてくれた。彼女をこれからも、一途に愛し尽くそう、と。
そう考えれば、休みにも関わらず上長にチャット飛ばして頭下げたのも、どこか、納得を覚え始めていた。
一番の、掛け替えの無い推しなのだから。心から愛する者を、どうして無下にできるだろうか。
決意が固まったのはもはや反射的とも言える、瞬時のことであった。かつ、男性が剥がされて萌菜がソロチェキ撮って声掛けてくるまでのわずかな間、会話というか対応全体での方針を変えた。運営のポリシーを最優先しよう、と。
他運営と比べて、かすてらは真摯で真面目な運営の印象だ。その管理の徹底ぶりは、iSPYにも匹敵するレベルだと筆者は考えている。だからこそ、運営を傷付けないようにと。ちなみにアイドル側については、もう無理だと気付いていた。筆者より馴染み深い存在で叶わなかったのだから、物販新規な筆者であれば猶更不可能といったものだ。
それにしても、ここまで話すことが好きな少女、アイドルで留めておくのは勿体ないとも感じてしまった。余裕でコンカフェで働けるレベルだ。成人になればガールズバーも選択肢に挙がってくるだろう。スナックなども良さそうだ。
要は、会話を尽きさせないだけでなく、空間を陽に変えるエネルギーとでも呼べばいいのだろうか。そんな貴重な人財が、他者との交流の制限が強く、かつレッスンやライブ出演などで自由な時間も決して多くない、ライブアイドルという居場所を選んだことがどこか悔やまれてしまうものだ。彼女が真に活きる場所というのは、多様化した今日、いくらでもありそうなのだが。
会話内容としては、Twitterでいつもらぶりつしているけどそれだけで終わっちゃうなんて寂しくない?という主旨を据えてみたものの、どうやらそんなに気にしていない様子だったので、なるほど、そんな軽度な理由で逢いに来られても有難迷惑といったところだろうか。やはり、一途に、そして一番に愛してくれる者でなければ、要らない存在だということだろうか。
それでもやはり、SNSは賑わってほしいだろうし、筆者としては習慣の一つなので今後も続けるが、それもそうだな、確かにわざわざこうして顔を突き合わせて話す存在というのは、そうあるべきだろうし、アイドル界でもすっかり多様化した今日、ファン対応が秀逸なアイドルが揃っているなどとは決して言えないものだ。そんな眩しさはとっくの昔のことだ。
さて、そんな感じで話していると、お時間ですーとコールかかったので、徐々に、しかしアイドルと睦まじく話すにあたっては致命的とも言えるレベルで、口数を減らしていった。彼女の全ての発言に対して、そうだね、とか、うん、とかいうぐらいの返ししかしないようにした。そうすれば自然と、会話は収束するかなと思ったものの、次から次へと言葉が飛び出してくる様子であったので、一層と不憫さが増して感じられ、一歩自然な形で後ずさったのも、そんな状況から脱したい想いも込められていた。
それでも状況は変わりそうに無かったので、そろそろチェキ渡してという意味合いも込めて、右手を静かに上げてみたところ、さすがに彼女も察したのか、あぁあとこれ書いてから、といった感じでやっと、脱出の糸口が見えた瞬間だった。
まあさすがにこんな様子だと、運営も無理矢理剥がそうとはしなかった。それもそうだろう。自ら剥がされにいくようなファンがどこにいるだろうか。仮にいたとしたら、それはもはやファンではなくアンチと呼ぶべきだが、となれば会話内容についてもどこか刺々しいものになるが、筆者については決してそういうわけでもなかった。間違い無く異例に映っただろう。
なので一番濃い後味としては、管理的に事を運びたい運営と、それに対して無言で抗うアイドル。
青セカのチェキ会回収ほどではないが、非常に苦々しいことには変わり無かった。
16:34
いろいろ考えて歩いていたら、新宿駅に着いてしまっていた。なんだかんだで長い一日だった。
そして、どっと疲れた。原因は何だろうと考えたが、やはり、超短時間の会話ができない頭になってしまったからだろうか。
推しの居るソープ回収に限らずとも、振り返ればこれまで、ピンサロやメンエス、イメクラなど、幅広く風俗を経験しており、どれも初対面だったとしても、いろいろと話してくれた。そもそも、今日ほどにアイドル熱が冷めていない状態でも、会話不足解消と銘打ってのピンサロ開拓だったじゃないか。個室ではなくあくまでシート区切りでしかない空間にも関わらず、だ。
だとしたら、アイドルと話すにあたってもループすればいいだけじゃないか、となってくるが、通っているソープ店についてはお手頃で60分26Kである。これと同じ金額だけループするとなれば、チェキ券18枚ぐらいなので、仮に1回の会話で2分とかなり盛って試算したとしても、約半分である36分になる。もちろん、特典会には時間制限もあるので、実際にはもっと短くなり、さらには他のファンもいればその分、回収できる時間に制限が厳しくなってくるというものだ。
なんだ、アイドルの物販ってのは、さほど話せるものではないじゃないか。
こうして整理して考えてみれば、会話不足解消で、アイドル以外の少女を選んだのも納得できてしまう。
だとしても風俗なのかぁ、という想いも無いことはないが、コンカフェもガールズバーも結局は1対1では話せるものじゃないわけだし、キャバクラについては可能だが酒飲んでナンボなサービス内容で筆者はそこまで酒が好きじゃないし、一応宅呑みはするが仕事などに影響出ない範囲で嗜む程度なので外で呑むのは、と問答すれば、割と性欲強い筆者なのでいっそのこと風俗、という選択になってくる。なかなか狂っているとは考えてしまうし、それなら普通にセフレ作ればいいのでは感も否めない。
そのあたりは、ソープに飽きたら考えてみてもいいが、正直、ソープには若干慣れを感じてきてあと半年すれば飽きを感じるとは思うが、彼女、推しに据えている嬢には一切飽きが来ないので、結局は、推しがいるから、という理由に尽きる。
じゃあ出逢わなければよかったのか、とも考えてみるが、愛されたい、と零すほどの少女だ、もちろん既存の古参客はいるし予約埋まるあたり抜け目無く逢っているのだろうが、にしても欲する以上は、求めているのだろう。もし筆者が不意に転がして愛していなかったらどうにかなっていたのか、とも考えづらいが、幾分か、自分が愛していることで人生プラスになってくれていたらそれだけで十分嬉しい。アイドルにも他風俗嬢にも、そこまで必要とされる、してくれることは無かったから。
27:57
そんな感じで微睡乍ら執筆していたら、そろそろ朝が来そうな時間になってしまった。
嬢との再会が確定したとはいえ、愛の熱量が途絶えることは無さそうだ。
正直、自分でもよく解らない。でもきっとそんな衝動こそ、人は愛と呼びがちなのだろう。(13499字)