まず初めに書いておきたいが、筆者は男性だ。なので、今回取り上げる対バンは、参戦できないものではある。

しかしなぜ「念願」とタイトルに入っているのか。これをまずは説明しておきたいと思う。

 

まず第一に、今日、ライブアイドルは男性だけでなく女性も興味関心を持ち、愛し好んでいる存在だということだ。

 

同性アイドルに対する捉え方というのは、女性各位、様々だろう。

普段会わないけど友達の延長とか、偶像的な憧れとか、他エンタメ同様の享楽の一つだとか。

いずれにしろ事実、事務所で偏りなどはあるものの、様々なアイドル現場で、女性ファンは散見される今日だ。

 

運営目線としては、収益面でも到底無視できない、として捉えることも可能ではある。

しかし、ライブアイドルとしての価値の根本、ファンがアイドルに会いに行ける機会の創製、これを決して忘れてはいけない。忘却してしまえば、客目線でのイベント設計ができなくなってしまう。それは、せっかく足を運んでいただいた方々に、当イベントへの不満を感じさせるだけではなく、イベンターやアイドル運営への不信感を生じさせ得るものだ。

 

日時、会場、他出演者、出番順、並行物販、など、配慮すべき要素は数多い。決して簡単ではない。

だからこそ今日、女性ファンが現場に居るというのは、質高くプロデュース推進できる運営の多さをも意味すると考える。

 

 

 

次いで、アイドル側からすれば、同性から応援されることは、対異性とは違ったモチベーション獲得に繋がるからだ。

 

やはり対異性よりも同性の方が、物販などではアイドルからすれば話しやすいし、安心できる。また、ライブ中であれば、より自然な表情になれるし、馴染みとなれば一層である。ただ、同性からも、となれば、たとえばメイクやファッション、SNS活用だとか、関心や好意を「自然と」維持させる努力が必要だ。厳密に言えば、努力、と著すのは不適切だろう。今日のライブアイドル各位、極めて自然にこうした努力ができている。好きなことだから、たくさん時間をかけて頑張れる。素晴らしいことだ。

 

もっとも今日、ナチュラル系や等身大、親近感や人間味などの要素が、地上などを見ても、アイドルにおいて重視されるものではある。そのため、対同性に限らずかもしれないが、そこはアイドル界全体の多様性を考えれば画一的でない方が望ましいだろう。具体的に言ってしまえば、コロナ前などよく見られていた、中年男性ヲタクの生き場所が無くなってしまう。

 

そう考えれば、同性から応援されることがモチベーションとなるアイドル、こそがその方向での一層の努力を自然と実現させられているに違いない。となれば、そういったベクトルでのアイドル活動を望む者がアイドルへと就き、かつサポートに限らず魅力発掘含めてプロデュースに勤しみたいと願う者が運営へと就き、今日のライブアイドル、特に女性ファン獲得に強いアイドルが持続できている、と考えるべきだろう。故に、今日のアイドル業界というのは、5年後や10年後、さらにはもっと先のアイドル界の運命を握っていると言っても、全く過言ではないだろう。筆者も一層と士気が高まるものだ。

 

 

 

さて、そろそろ本題に移りたいが、上記のような理由から「念願」であった、女性限定の対バンイベント。

 

『Queen & Princess』という、どこかのアイドルグループを思い出してしまうようなイベントタイトルではあるが、女性からの支持が強いアイドルを集めたという自信もどこか感じられるものだ。ただ、あまりにも出演者が強いので、本記事公開時点で既に完売してしまっている可能性も十分あるので、その場合はご容赦いただきたい。

 

 

 

まずは、4月19日、水曜日から。執筆時点のタイテで、各出演者やその並びについて徒然と書いてみたい。

 

初手は、TENRIN、マーキュロ、ガガピと固めてくる。マーキュロやガガピは観賞特化な現場が濃厚なので、平日の早帯でもそこまでモチベ低下には繋がらないだろうが、問題はTENRINだ。普段であれば、若い男性ファンの活気によって、世界観とシンクロして昇華させている感じなので、Veats渋谷という座席無し兼好立地な会場と言えど、苦戦を強いられるだろう。

 

続いて、NANIMONO、よーよーよー、AdamLilithと続くわけだが、相変わらずNANIMONO、対女性イベントに特化しているじゃないか。素晴らしいことだ。どのメンバーもフォロワー数はかなり多いし、アイドル好きよりかはそのメンバー自体が好き、要はアイドルという枠組みに囚われずにインフルエンサーを推す、なファンをしっかり掴んでいるのは、本当に凄いことだと思う。となると、その直後のよーよーよーが極めて心配だ。昨年観た竹芝でのパフォーマンスを思い返しても、パフォーマンスで戦うのはしんどいし、直後のAdamLilithと挟まれてのアウェー予想だ。自己肯定喪失に陥らないことを願いたい。

 

そこからは、グサリ、のんふぃく、きゅるして、ツインペイル、#2i2、あいらいふ、という並びだが、こうして見ると、ヒロインズアイドルが見事に他アイドルを挟んでいるような感じだ。きゅるしても#2i2も、正直心配だ。きゅるしては兎遊たおの卒業あったし、活動しているのか疑わしくなるほどにツイート頻度は低い。#2i2はよーよーよーとは違って、現場依存性が強い。特に、中年男性ヲタクの力強いサイリウムや熱気などが印象的だ。それが皆無でフロアは女性のみ、となれば、確実に普段とは違ったライブ心情にはなるだろうし、それがマイナスへと転んでしまわないかが極めて心配である。

 

そんな感じで考えてみると、結局はヒロインズの一人勝ちみたいな感じにも思えてくるが、もはやアイドル戦国時代とも言われなくなるほどに激しさを増す、今日のライブアイドルの競争である。主催優勢に組むのが当然と言えば当然だろう。

 

 

 

続いて、5月29日、月曜日。こちらも平日だが、開演が12時半と、かなり攻めたイベント設計である。

 

初手については、TENRIN、マーキュロ、よーよーよー、NANIMONO、ガガピと変わらない様子だが、ここにアイマイが挟まっている。ライズプロといえばしろもんもいるが、この対バンには出演しない。かつ、この2組は動員傾向が違うので、しろもんで女性ファン動員が顕著だからと楽観視することは難しい。先日、高槻などアイドル経験者の卒業発表もされた。そんな最中での本対バン出演、普段の沸き現場な攻めが対女性でも通用するかが見所だろう。

 

そして続いてが、なんキニ、ネコプラ、AdamLilith、ナナランドと、本対バン限定の出演者が目立つ。なんキニは確かに、女専イベントは良いだろう。GARDEN新木場FACTORYでの某対バンでは、声出しOKではあったがマスク着用必須の中、マスクを下げる者も散見された。さすがにコロナ前ほどとはいかないだろうが、ルールやマナーを遵守しないファンによって現場が荒れるのは避けたい。なので、もし今回の対バン出演でアイドル側の精神面だけでなく動員面でも好感触であれば、女専イベント特化なプロデュース路線変更も全然アリだろう。そしてネコプラ、旧メンバーによる風評被害はもう過去のものと言っていいだろう。イメージ刷新という点でも、今回の対バン出演はどこか特別なものに感じられる。次いでナナランド、コレットプロモーションの中でまねきに次ぐ超知名度アイドルだ、ただ、そんな感じで、誰もが知っているアイドルを招くというのは、イベンター視点としては非常に粋だと思う。アイドル側のモチベ云々などは考える必要は無いだろう。思いっきり楽しんでほしい。

 

17時頃からのラインナップとしては、ツインペイル、#2i2、のんふぃく、シン宣、夜アミという並びだ。またもやヒロインズアイドルで他アイドルを挟むという構成だが、特筆すべきなのは、のんふぃくと夜アミに挟まれたシン宣である。女子ファン率の圧倒的な高さを誇る、超人気アイドルだ。先日参戦したひなまちゅりfesでは、パフォーマンス技術の高さに幾度と驚かされた。一方で、のんふぃくは結束力強く順調に成長および知名度上昇を遂げているアイドル、夜アミは個々人のオーバースペックによって異次元のパフォーマンスおよび現場を実現させるアイドル。17:30~18:45の計75分間だけでも、十分元が取れそうな贅沢ぶりなので、半休取ってでも観る価値がある。しかし、ここで気になるのが、Veats渋谷という会場の狭さである。確かに一体感はあるだろうし、女性同士なのでソーシャルディスタンスがそこまで重要じゃないとも言える。だとしても、出演者の強さからすればやはり狭いだろう。縦長なフロアなので、後方の客が観えるかという心配もある。まあ百歩譲ってこのあたりはクリアしても、のんふぃく、シン宣、共に並行物販である。あの会場はそこまで物販スペースが広くない。待機列によって動線が消えてしまわないかが心配である。渋谷で物販スペースも配慮するとなると、かなり限られてくるので、理想論で留めておこう。

 

そして、トリ3組はというと、chuLa、ジャムズ、あいらいふである。chuLaがどう転ぶかが非常に気になる。メンバースペック的には女子ウケも全然あるが、FreeKの中でも沸き鉄板なライブ設計スタイルであり、FreeK全体としても外部イベ出演にかなり弱い。市場開拓で跳ねるか、アウェー雰囲気で詰むか。この日のツイートはチェックしておきたい。そして圧倒的女子支持であるジャムズが出てきて、締めに再びあいらいふ。と見てみれば、アキシブやマイディアとかは呼ばなかったのかが感が凄いが、終演後物販待ちであいらいふ以外は静かな現場と予想する。あいらいふ単推しなファンもすっかり増えたし、トリ待ちで地蔵と考えれば、ジャムズにとっては普段無いような試練の時間と化すに違いない。25分間、健闘を祈りたい。

 

 

 

 

 

ということで、両日の対バンの流れを徒然書いてみたが、やはり全体所感としては、ヒロインズ主催ということで、緻密な計算でタイテ組まれているような印象を受けた。一方で、シン宣など、認めざるを得ない実力者に対しては、こちらも鉄壁の布陣で、という敬意をも感じられた。Twitterだけでもかなり宣伝しているので、気合の入れっぷりはひとしおに違いない。

 

何はともあれ、やはり女性限定となれば、男性の存在皆無故に、女性は安心してライブを観て、楽しめる。これが肝心だ。

 

以前、某記事で軽く書いたことではある。仮に女性限定対バンを組んだとしても、ヒロインズに限らず、特定のアイドルについては女性動員だって十分だし、女性なら猶更、ライブだけ観て物販は行かないケースは稀だし、物販込みで収益は堅いんじゃないか、じゃあどうしてもっと女専イベントをやらないのか、と。

 

とはいえ、机上の空論だ。成功を願って執筆を終えるとしよう。(4444字)