「01」Re:INCARNATION「ノリの薄さは一概に否定できない」12:00~12:10「NUM:04」
最終参戦:2020/10/17:『尊敬すべき背中こそ失われ難き現場の真髄:壱』
SEは前回参戦ぐらいの経験しかないので聞き覚えは無い。いや、しかし前回参戦、そんなに経っていないはずだが。
初手はしっとりとしたテイストの楽曲。間奏部分でのダンスは曲調に沿ってキレは控えめ。Aメロ時点では明瞭な発音が難しいので苦戦するのは納得。続くBメロでは完全に籠った歌唱。うーむ、このあたりやはりグループ全体で歌唱で魅了するのは難しいか、換言すれば、本楽曲のようなバラード調が難しいということを意味するので、じゃあ地下で典型的なテンポ以上の楽曲とすると、それはキャンゴー後継っぽい本グループ特有の強み、位置付けを活かしきれないこととなってしまう。ダンス面でもCメロがあまりにも甘いんじゃないかと言いたくなるキレの薄さ。とはいえ、初々しさが彼女たちの一つの魅力なので、そこに焦点を当てての観賞が求められるだろう。
MC。対バンタイトルをちゃんと込めて感謝なあたりしっかりしている。夜の部にも出演することを欠かさずに告知。
二曲目はキャンゴー色強めな鉄板曲、だけどやはり場数由来の知名度という点で今一つなので煽りは不発感が強い。かといって壇上が浮いてしまうのも避けたいところ。そういえば、前回参戦のチッタでは会場のノリは悪くなかったので、結局は対バン主催で大きく場内様相というのは変わってくるのだろう。比較すれば、声援に限らない制限の多い本イベントではあるが、逆に言えば、体力を消費する応援が求められない、もしかしたらそちらの方が原義に近いアイドルとの対峙なのかもしれない。場内のノリの薄さというのは一概に悪しきものだとは言えないだろう、地下に馴染み無い者をも参戦に結び付けられる可能性とプラスに考えるとしよう。

「02」One Next Girls「オリジナルという名の責任と自覚」12:10~12:25「NUM:04」
最終観賞:2020/7/12:『破格配信:出番順という名の賽子:1/3』
約四か月ぶりの観賞だが、彼女たちはこの期間でどこまで成長できているのか。酷な高望みかもしれないが、今回の出演者の中でも楽しみな部類に入る。って、壇上がたったの四名って。また卒業者出たのか。相変わらず攻めのプロデュースだ。
初手はシスあにのあの沸き曲。声援禁止含めて逆境でもかます勇気のあるセトリだ。広いステージがスッカスカに感じるほどに、ダンスが小振りだし、ステージ全体を使えていないパートが多い。サビでもそこまでダンスや歌唱に変化が出ているとは思えない。やはり生執筆で一層と酷に映ってしまうものなのだろうか。虚しさすら感じられる。楽曲的に致し方ないとはいえ、2番でも1番の繰り返し程度な壇上様相であって、当時渡辺を想って参戦した頃のライブ中に暇を感じてしまっていたのも、今なら納得できてしまう。緊張なのか、壇上の当事者意識というものが薄いのか、とにかく自分自身を出し切れていない感が強い。
時間的にはもう一曲やるなど許されないのだが。まあいい。TEARSのこの沸き曲で成長の本質を見出したいところ。Aメロでのフォーメーション移動が軽やかで、それ以外のメンバーのダンスも自信に満ちている感じ。サビでもうまく踊れている感じ。ただ、一曲目と比べれば確かに難度は低いものではある。現時点での彼女たちの実力考えれば、やはりONE全体での初期楽曲をやるのが上手く見える活路のように感じられる。さっきよりもスッカスカ感が薄いし、やはり慣れた楽曲、比較的難度の低い曲で着実に場数、そして自信を生むのがプロデュース的に正攻法な気がする。セトリ上でも挑戦するのはまだ早いだろう。
三曲目は初見曲。ワンネクオリジナルか。いやさすがにそれは早計なプロデュースなはずだ。いやでもAメロだけでもダンスの安定感が別格。となると、やはりオリジナル曲とみなすべきだろう。サビでのキレは有り余るほどで、そこに初々しさ特有のエネルギーが込められている。加えて、代替し難い持ち曲としての幸福感に溢れている。2番Aメロは1番と差異つけられているし、やはりオリジナルか。楽曲的にはキャッチーながらもONE色があって、今までできそうでできなかった曲調。新たな拡張性という面で彼女たちを活かせるか、それはやはり三曲だけでもパフォーマンス比較すれば自明な気がする。オリジナルという名の適度な責任と自覚を与えることの大切さ、と議論してみたものの、あくまでオリジナル曲という仮定なので、これがもし間違っていたら、それこそ愚の骨頂というものである。
MC。んー、タイテ変更されたのかな。持ち時間十分に与えるのは、三曲目へのパフォーマンス導出と考えれば正しい選択だった気がする。理想的にはカバー含めて、全曲彼女たちらしさを押し出したパフォーマンスが観たいところではあるが。

 

「03」TEARS「少人数化こそ現体制の活路」12:25~12:40「NUM:04」
最終参戦:2020/10/10:『六彩最適:喪った逸材に想いを馳せて:前半』
beginner体制になって微妙にSEを変えて戦略がどう転ぶか気になるところ。少人数体制となったわけだが、果たして。
初手はsecretなあの曲。当然コール無し。やはり人数による華やかさというのは無くなった感じである。ただスタンディングが多いので、これはリンカネやワンネクとは明らかに違った知名度の高さである。ただ、現在の四人体制での人気がどこまで続くかというのが将来的に多少危うく感じられてしまう。衣装のせいもあるかもしれないが、冷静に観ると やはり総じて上手い。歌唱面では2番Bメロ終盤での高音で声量、歌詞発音共に成長が求められるところ。ただ、全体的な声色、テクノ的甘声な特徴を考えると、「あえて」凡々な歌唱力、というのがアイドルとして愛される一つの戦法なのかもしれない。今後の展開が気になるところ。
フォーメーション移動で多少粗が出た二曲目。Aメロ終盤でのダンスを浮遊感出してアレンジ昇華しているところが上手い。もしかしたら、旧体制での大人数では、あまりにも纏まりが薄くなってしまったのだろうか。いや、そうではなく、個々がTEARSとして勤めるというのが難しくなっていったように感じられる。言い換えれば、人気の奪い合いというのが人数的にコスパの悪いもので、旧体制での終盤では特に、大人数であることの旨味がかなり薄まってしまったのかもしれない。つまりは、現体制、四人ぐらいが1グループとしての構成人数としてむしろ改善とも言えるのではないだろうか。個々が推されている空間は確かな好転だ。
三曲目は清楚感強めな曲調。四人を静観してみると、前述の延長ではあるが、個性の衝突というのが払拭とまではいかないかもしれないが、大きく改善されたように感じられる。一つの結論を見出したところで、一旦小休憩をとって次に備えていこう。それにしても、安心させられた、良き新体制であった。ある意味、次に待つ同事務所アイドルに良いプレッシャーとなっただろう。

「04」Neat.and.clean「集団としてのまとまりは暫定トップ」12:40~12:55「NUM:06」
最終参戦:2020/10/10:『六彩最適:喪った逸材に想いを馳せて:前半』
特にSE変更無し。それはそう感。それにしても、ニトクリもまた推され強い場内様相。土日を活かしてONEを堪能するには確かに極めて有効な対バンだと言えるだろう。コスパは良いとは言えないものの、二部制で終日楽しめる構成である。
初手は馴染み深いあの楽曲。前奏でのダンスはTEARS beginnerと比較できるほどには上手い。ちなみに本グループも昔と比べれば減員しており、六人体制である。おそらく人数的にこれぐらいがちょうどいいのでは。サビでは大振りな振りということもあって躍動感ありながらも、曲調から外れること無いクールな清楚感でパフォーマンスできている。Bメロのダンスの完成度も確かに上がっている。しかも個性も残した上で仕上げられているので、これは実力如何はさておき、地下アイドルとしての戦い方としては極めて秀逸だ。ラスサビでのターンも自然に力み無くできている。個人としても、集団としても総じてアイドル力強く、観賞の価値が深い。
二曲目は刹那なあの楽曲です。初手でのターンが一曲目とのターンと変えたテイストで仕上げていて驚かされるほど。Aメロの歌唱混ざりは改善の余地あるけど、これも以前よりも確かに上手くなっている。Bメロでの集団的な左右移動も遜色ない。サビではこれも一曲目とは違った円を描く振りで、そこに違いを認識してパフォーマンスできているのが良い。Bメロ、2番ではまた違った移動様相で、ここも場ミリ調整まで拡張させても問題ないほどには仕上がっている。落ちでの花宮による一任歌唱は実力的にはたとえばPRPのLULUなどの高歌唱力アイドルと比較すると劣るとはいえ、ニトクリとしての実力如何を考えると良いバランスに留まっていてとても良い。
三曲目は爽快感良きな楽曲。Aメロで高く足上げてステップ的ダンスしていて余念の無さが高く評価できる。六人で比較するとAメロ、Bメロ共に個性による違いも見えてきて上手い。なんだろう、既出ONEグループと比較すると本当に好くまとまっている。2番Bメロでの難し目な横移動も清楚的方向性に合致しすぎていると感じるほどに魅せてくる。これはもはや筆者を困らせるほどの域と言いたい。落ちでの全員歌唱では会場全体に腕を振るところが良い。キャパ的には確かに広い会場とはいえ、普通の地下アイドルはどうしても前 方の内輪ファンに留まった対応になってしまうので、このあたりも現状では満足しない飽く無き向上心が感じられるのである。
MCでは自己紹介を丁寧に行い、夜の部もしっかり告知。去り際での最後まで手を振っているところも良きポイントである。満足感高めなライブであった。それにしても、新メンバーへの知見が浅い筆者である。平日の過ごし方も工夫する必要があるだろう。

 

「05」Sistersあにま「逆V字なセトリ展開」12:55~13:15「NUM:08」
最終参戦:2020/10/10:『六彩最適:喪った逸材に想いを馳せて:前半』
こちらも特にSE変更無し。ニトクリ出番時と大差ないスタンディング量で同様に人気高い。方向性で成功を感じるグループである。
新曲なあの楽曲を初手に。衣装が統一、いや、それならニトクリでも言えるが、ダンスの実力ではニトクリを初手数秒で超えるぐらいに巧みな域。に見えてくるが、おそらく方向性依存と言えるだろう。サビで後方で表情が乏しいのがひどく残念ではあるけど曲調的にかなり難しい。逆に言えば、そこまで高く望みを抱けるほどに、現時点でのレベルが高いということだろうか。ちなみに、サビでは4:4で分ける構成ではなく3:5としているところも工夫が感じられる。初手は本当に良いと感じたものの、続く展開で醒まされた感じが非常に勿体無い。ラスサビでは横一列での歌唱に転じるがここまでの導出が難ありだったので既に関心は次曲に向かっている感じで。
そんな二曲目は古参寄りな楽曲。いや、前奏時点でのダンスは上手いんだけど、総合的、特に一体感を考えると、やはり人数が多い故にどうしようもないのか、まとまりが薄く感じられてしまう。妄想に終わってほしいが、古参メンバーと新規メンバーの精神的な隔たりというのが拭えていないということなのだろうか。なんだろう、2番Aメロを静観すると、ワンネクで感じたような他人事感が漂ってくる。ライブという、アイドルとしてステージに立っている今という瞬間を心の底から楽しめていないような雰囲気があって、どこかアイドル、特に地下というフィールドでの意義、醍醐味というものを見失っている感じすらある。なんだか可哀想になってくる洗練性である。
MC。一体感かぁ。類友からすればフロアもまとまり薄いように連想されるが、そこは他グループで悪影響を補填しているということだろうか。筆者もかつてはソロプレイヤーとして愛を貫いたがために、とやかく言える立場ではないだろう。
三曲目は新曲。なるほど、それならここまで心どこかここにあらずな壇上様相も納得できてしまう。確かに楽しそうな様子が明らかに違う。やっとアイドルな面が見えてきた感じだ。既存楽曲や方向性とは違った晴天感ある曲調だが、いくらアニソン方向性でも人間味を補填しないのは地下としては危険な戦略だろう。その影響もあって今までメンバー卒業が多かったのもあるだろうし、ある意味、方向性からすれば本楽曲の方が本グループにとっては良きスパイスと転じるわけであって、欅坂46での平手などといった過激な方向性というのは精神的な抹殺すら生んでしまうほどに、アイドルとは難しい職業なのである。プロデュース面では、特に。
最後はあれ初見。って、あれか!前回参戦で聴きたいと思っていた沸き曲か!なるほど、最後の最後に楽曲で巻き返してくるあたりさすがONEといったところだろうか。駆けるようなAメロ、Bメロでサビに展開。ここは平均年齢の低さで成立しているのだろうが、サビでまさかのサークル一任展開。嘘だろ。楽曲的にはダンスで魅せることも可能だというのに、ここをまさかの手抜き感すらあるステージ展開。その直後なんかは超単純な下半身の振りであって、いや、本当に勿体無い。逆V字な高揚感展開で、確かに印象に残りやすい戦術ではあるものの、プロデュース的な観点で対峙してしまっては本当に頭を抱えたくなる。ラスサビでも拳回す感じで、後方エリアは見事に冷めていた。納得。もはや時間や体力捧げて執筆に励んだことにも半ば後悔を覚えてしまう。

 

「06」綺星★フィオレナード「完成度という巧みな差分と挑戦的高難度プロデュース」13:15~13:35「NUM:06」
最終観賞:2020/6/7:『在宅期間で生じた実力差:後編』
生でライブ観るのは初めてに近い。最前管理が仕事してくれそうで楽しみ。どうかフロアの高揚感でも魅せてほしい。
初手で俺得な楽曲。YouTubeのライブ映像と遜色ない仕上がり。Bメロ終盤での振りの激しさ、献身ぶりが素晴らしい。サビでの多彩な振りも見事。置きにいく歌唱でBメロ魅せる感じも良き。やっぱり生で観る価値があるライブって素晴らしい。ここまでくると執筆の思考力をも観賞の奇跡に捧げたくなるぐらい。間奏部分のカノンも見事。やはり六人という人数も良いのだろう。ラスサビでのサークルからのかごめ的振り展開も圧倒されてしまう。

二曲目は初見だけど、本事務所特有の沸き楽曲展開が読めて、もはや開始数秒で歓喜してしまう。しかし展開されるメロディーはキラフォレの繰り返しではないクールさが強く、この差分保ったプロデュースは巧みなものである。サビでは曲調的に程々な振りで留まるかと思っていたが、観賞すると決して休めない凝った振りとなっていて、これにメンバー各位確かに応えているところも自意識の高さが窺えるのである。こちらも観察すれば個性による差分が見えてくるが、前述のニトクリとは違った揃いようであって、この統一感の美しさというのも、方向性に合致した良き微細な調整というもので、そこまで凝った自己昇華というのが素晴らしい。

MC。12月14日にO-EASTで3周年記念ワンマン。たぶん間違いないはず。
タイピング音すら憚れるほどの初手な三曲目。Aメロ初手のドア開け放つ振りが見事な仕上がり。Bメロでの小刻みな脚の動きからの普通テンポでのステップとダンスに限っても抑揚激しく、故に完成度の高さというのがここまでの出演者との比較も躊躇われるほどである。にしても、そこまでメンバー個々の知識が無い中でも個性良く見えてくるので、きっ とTwitterなどでちゃんと情報収集できていればもっと楽しく、個性の惜しみない表出に感動できるのかと思うと、少なくとも、今日帰宅した際に個垢を確認しておきたいと自然に思えるものだ。そうだ、これこそアイドルを推す本来のモチベーションのはずだ。そう浸っていると、落ち直後のラスサビ開始時の歌唱、第一声の揃いの美しさに驚かされる。なんだ、このアイドルグループは。改めて、その実力の高さというのが認識させられる。
ラストはここまでの集約感すらある清楚ながらも散りばめられた難度の高いダンス、そして歌唱であって、サビでは腕振るところからもはや執筆しきれないほどのテクニカルなダ ンス展開を数秒に閉じ込めてくる。Bメロは2番で際立たせる感じで展開してくる。個々の歌唱力の高さなくしてはできない挑戦的なプロデュース展開。間奏からのダンス展開と落ちでの独唱繋ぐ展開でラスサビに高揚感強めで繋げる。そして締めのダンスでは余念なく仕上げてくる。

 

「07」ラブアグレッション「全力さで前半と後半を変えてくる魅力とは」13:45~14:05「NUM:07」
最終参戦:2020/10/10:『六彩最適:喪った逸材に想いを馳せて:後半』
最近参戦したグループではあるが、ブログタイトルにまで影響するほどの成功を覚えるアイドルグループである。推薦したい一組である。
初手で元気溢れる感じの曲調。ただメンバー総じてめちゃくちゃ若いわけではないので普通ならまず提供しない楽曲の方向性にはなるが、そこをアグレッシブなダンスで見事にク リアしてくる。壇上でアイドルに化ける、職業や立場を全うする覚悟というものが彼女たち、メンバー問わず感じられる。その原動力こそ、地上地下問わずアイドルをこよなく愛してしまうファンと似て、アイドルを心底愛し、執着に近いレベルまで価値を見出せる「天性」というものではないだろうか。言い換えれば、根本が成っているということである。当然、そういった財を揃えるのは決して簡単ではなく、確かに多々変遷あって現体制に至るが、今日までどうにか保たせてきたプロデュースにも飽くなき姿勢、というものが欠かせないのではないだろうか。もはやプロデュース面でも強い尊敬の念が生じるのである。

二曲目はさらに激しさ増してエネルギーがもってかれる、他グループとは違った困難性の敷かれた楽曲である。Aメロはまだ単調に見えるが、Bメロの全身運動にも似る振りを超えてサビでも増すその難度。もっとも、これは1番だけの話であって、同様に2番でも展開されるわけで、消費されるエネルギーというのは相当なもので、当然体力面での鍛錬は欠かせないものの、ステージを見据えた地道なレッスンの日々、恒常的にアイドルを愛する想いというのが彼女たちの代え難い魅力の一つである。間奏後半での工夫ある振りが振りコピだと初見殺し食らうだろうともはや痛快さすら味わえるほどで、あとはラスサビだ。ここも力強く突破してくるとは。最後は赤センターか。なるほど。
MC。自己紹介と初見をも巻き込むトーク展開。会場全体に関心を誘って次曲へ。
三曲目は今度はかっこよいテイストで展開。当然テイスト違った歌唱など求められるものの、そこをあえて大きく変えること無くもはや強引に突破する、そんな強行突破をも本グループを前にするとどうしてだか一つの有効な戦略に思えてくるのである。Bメロでの左右移動も微塵も疲れている素振りが無い。そういえばMC時点でも少しも声上がったり呼吸乱れていた理など無かったので、その実力というのが驚かされるものだ。気付けば間奏ダンスで、ここではピンクを中心に据えてピンク特有の王道とか正統派とかいったアレンジを加えてくる。筆者だったらここに青を定石的に当て嵌めてしまうので、この予想を覆すプロデュースもまた敬服の意が強い。
最後の曲では初手でカノンからの揃えて腕を引く。この揃いがまた見事なのだが、人間味以て魅せているところが直前のスタフィオと良き差分展開で、共通される完成度の高さを違うベクトルで仕上げてくるのが、異種アイドル織り交ざった対バンならでは味わい方で、もはや贅沢感すらある。しかもその奇跡を生執筆できるほどにキャパ的に余裕あるのだ から、曳舟文化センターという会場には大いに感謝したい。サビでは多少疲労っぽい素振りが垣間見えるが、それはあくまで注視しないと見えてこないレベルで、前面に出ないほどに全力さでカバーしてきている。この泥臭さというのが、持ち時間内で味変のような効果があって非常に見応えがある。

 

「08」elsy「多様性を踏まえれば初々しさは確かなる武器」14:05~14:25「NUM:06」
最終参戦:2019/12/26:該当参戦レポ無し
約一年ぶりの参戦ということもあって、SEを変えてきている。たぶん。場内は予想に反してスタンディング多い気がする。
初手は若干不安を感じるほどに典型的な振りが続いたが、Aメロ以降でちゃんと特異的な振りを展開してきた。清楚な方向性。直前のラブアグ、そしてその前のスタフィオを考えれば、ダンスの方向性で戦うのは危険であり、実際、難易度という面でも標準レベルに見えてしまい、全力さでは方向性故に展開が許されない。となるとあとは歌唱力ぐらいで巻 き返す必要があるが、そこもアイドルの域に留まったレベルで、こればかりは出番順的な不遇さを強く覚えてしまうのである。ラスサビでは少し音程上げるあるあるな展開だが典型的に声量が下がって苦戦する感じでもはや不憫さすらある。これは二曲目以降どう戦えばいいのだろうか。

そんな二曲目ではAメロの初手歌唱が見事に音響に負けている。執筆する側も、そうマイナスなことは書きたくないので、どうにか魅力が見えてこないかと必死で探しているところである。そこでふと思い出されたリンカネである。そうか、初々しさか。今日、地下アイドルファンとして従事する誰もがこの世界に長けているとか特化しているわけではない。簡単に言えば、対地下新規に強い、親近感良きアイドルという位置付けではいかがだろうか。酷にはなるが、筆者の近くにいる様々な現場で見慣れている方々、確かに総じて見向きもしないほどに関心が無い様子である。やはり筆者の考察に誤りは無かったようだ。にしても、裏声でここまで歌唱が痩せるなんて。まあ、彼女たちには外の世界を見ないことを薦めたいところである。類似して逃避の必要がある地下アイドルは多く存在するため、彼女たちだけに課せられた試練とも言い難いものだ。
MC。六人中二人が給水で壇上を一時的に去る。そして自己紹介の入れ替わりでさらに一人。ここまでそこまで目立って給水に行くアイドルはいなかったので印象的。
と思えば、三曲目で壇上には三人だけという構成。まあまとまりとか少数精鋭とか考えれば納得ではあるけど。初手歌唱は黄色担当だが、ここは見事にスタフィオとの比較で潰え てしまうのでやはり他者との比較など彼女たちのためにならない。そういえば、ここではバラード調展開だが、どうにか歌唱で戦えるメンバーを選抜した感じだ。とはいえ、人数 減員で真っ先に挙がる問題としては、歌割りの増加だろう。これは喉への負担が大きいと予想され、理想的にはBANZAI JAPANのように完全な入れ替わりが望ましい。話を戻せば、コロナによる親近感の減少を補填している、と考えれば、本アイドルも魅力的に見えてくるに違いない。
四曲目で高歌唱力をなぜか()突破してくる初手。と思えばAメロ初手で声量不十分で予想の範疇に無事に戻ってくれる。と書くのも、やはり他のアイドルと比較した強みとしては親近感だと思うので、「あえて」実力不十分な方が戦略として望ましいためだ。完璧なアイドルなど存在しないのと同じように、地上地下関係なく、アイドルなら誰しも何かしらの魅力がある。対象に応じて魅力を見出し、伸ばすことこそ多様性に富んだこの世界で重要だと感じるからこそ、彼女たちはどうか実力的には現状維持でいてほしい。全員が初心者ではないとはいえ、その色に統一する方が方向性的、そして現状的にも賢い判断だと言えよう。そう思えば、本グループも今後が楽しみなアイドルである。

 

「09」アクアノート「現場としての美しさでは間違いなくMVP」14:25~14:45「NUM:05」
最終観賞:2020/9/6:『四情反復:多々ドラマがあってこそライブ:後半』
SEにもはや安定感が感じられるほどに聴き馴染み深いアイドルである。

初手の活気が素晴らしい一曲目。確かに制限下とはいえライブを楽しむことにもはや必死とすら見える高揚感は推せる。何度か別記事でも書いているように、筆者は純粋にアイド ルだけでなく、応援に励むファン各位をも応援の意が生じるもので、故にこの活気というのは推し甲斐があるものである。しかもサイリウム量的には暫定トップじゃないか。2番サビをまさかの独唱挟む展開で、既存曲かもしれないが、観ない間にまた一段と腕を上げたかのようなプロデュースの巧みさである。統一的衣装故に個性が見えにくいが、これも スタフィオ同様にどうにか日常的に追っていきたいところである。いやはや、在宅も休めなさそうな頼もしさがあるものだ。
締めのフォーメーションの美しさからテイスト、テンポ大きく変えてきた低音の難しい二曲目。Aメロで健闘できたメンバーが発見できて喜ばしい。Bメロで声量自然と上げてサビ 直前で抑えて、サビで一気に強める感じが、鉄板展開とはいえ、思えば、ここまでのアイドル、総じてプラスアルファな魅せ方が多かったので、いわゆるド定石な攻め方、これが対バン形式故に一層と魅力的に見えてくるのである。直前がelsyだったということもあって実力面で超ハイレベルじゃなくても物足りなさがそこまで湧かないものだ。Cメロでのピンク担当を据えての展開、からの真っ直ぐな歌唱が魅力的な白担当で楽曲を展開し、最後のサビでは終盤音程アレンジして魅せてくる。
三曲目は明らか沸きテイストな前奏展開。初手を人気強めなピンク担当で展開して、続けて歌唱力高めな黄色担当と、Aメロだけでも期待が高まる歌割り展開だ。サビではありがちなキャッチーな振り展開なものの、決して典型的振りの寄せ集めじゃない、楽曲に見合った適切な振り創製と称したいところだ。ここでロングスカート衣装を活かす振りで締め る。2番での歌割り展開はちゃんと1番と変えてきて、良き変化の創製。総合的に、楽曲中、最初から最後まで飽きない戦術だ。素晴らしい。Cメロでは全員歌唱でサイリウムが眩しい。落ちでの歌割り展開も大いに納得できるもので、なるほど、五人というメンバー構成も十分に活かせるものだと。
最後はあの沸き曲です。最後だというのに躍動感が一番強いダンス展開だ。もはや会場のボルテージは最高潮である。ファンをざっと見ると、年齢層が非常に幅広く偏りも薄く、 ただ、総じて言えるのは、この瞬間、ライブと無声援とはいえ為される現場に目頭が熱くなってしまう。やっぱり現場という空間、雰囲気が好きだ。その地下に惚れた原点で魅せてくるあたり、今一度、強く感謝の意が湧くものである。総合的にMVPレベルで美しく映ったアイドルである。

 

「10」アンダービースティー「驕らず飾らない姿勢こそ特異的な魅力」14:45~15:05「NUM:05」
最終参戦:2020/10/10:『六彩最適:喪った逸材に想いを馳せて:前半』
お馴染みのSEではあるが、直前で魅せられてしまったことが前回参戦とは大きく違うポイントである。主観的ではあるが、どうか実力で魅せてほしいところ。
YNDRな初手。最近魅せられたこともあって、あとはどこまで執筆に落とし込めるかがカギ。Aメロでの止めがアイドルの域じゃないほどに美しく魅せる。Bメロでの後ろ向きで止め を維持する箇所でも微動だにしない様相。歌割りやポジションに関係しないライブ意識が流石といったところ。間奏部分での足先でのカノンも完成度高いからこそ映えるもので、通常レベルのアイドルなら大きく見劣りしてしまう。2番サビでも遜色ない完成度の高さ。繰り返しにはなるが、本グループも個性によって微妙にダンスが違ってくる。落ちでは 植竹が女性らしくしなやかさを以て締めて最後に繋げる。サビ終盤でのダンスの完成度が一層と増してもはや末恐ろしい域である。
二曲目は定番なあの楽曲。観察するとここのエネルギー消費がえげつないことに気付く。Aメロでは比較的休めるポイントではあるが、これも一般的な地下アイドルからすれば十分に通常ダンスのレベルで、全体的なスタミナ消費の激しさというものが見えてくる。2番Aメロも観察すると、今度は上半身の細かな振り展開。それでも他と焦りや乱れなど無く余裕で突破してくる実力の高さである。間奏での今井の滑らかな腕運びといい、グループ全体での調子というのも絶好調に見える。最後のサビでも問題無く突破。相変わらずの実力の高さ、こればかりは執筆という使命無ければ確実に煽りに釣られていただろう。
三曲目は今井のソロダンスで開始する楽曲だが、非常に調子が良い。高揚感の空振りも無ければテンションが低いわけでもない、精神面、実力面、共に調子が良い。きっとその人間味というのは彼女が加入したことによってグループ全体に伝播し、方向性や完成度の高さ故に枯渇しがちな人間性というのも見事に補填されていると言えるだろう。2番Bメロでの植竹との歌唱も対等にパフォーマンスできているように感じられる。間奏でのダンスもまた今井がセンターなので、本当に今回は素晴らしい仕上がりに見える。煽り部分では 場内の一体感素晴らしく、声援禁止でも動かせているあたり、やはり知名度、そしてそれに伴う実力の高さの証と言えるだろう。
四曲目は古参曲に戻る。こちらも声援煽りが通常あるので、いつもとは違った魅力が見えてくるに違いない。三曲目の影響もあるのか、1番Aメロの植竹の歌唱に人間味が程よく増されてライブならではの魅力が一層と増している。2番Aメロではその優しさのようなものと対比するかのように激しく振り払う振りで楽曲終盤まで関心を維持する効果があると考えられる。2番サビ直後のフォーメーション移動、移動量考えれば明らか難しいのに、しなやかにこなすところがこれも場数由来の実力でかっこよく仕上げてきている。今更かもしれないが、この飾らない姿勢というのがまた他のアイドルではそう見られないような、特異的な魅力と言えるのかもしれない。

 

「11」全力少女R「死力で完走するプロとしての底意地」15:05~15:25「NUM:05」
最終参戦:2020/8/1:『堕落的勝算:静に表れる活気を以て』
ここまで素晴らしいアイドル、ライブが続くと感覚が麻痺してしまいそうだ。残り二組、しっかり執筆していきましょう。
初手から活気良くエネルギッシュに踊ってくる。やっぱりこの元気さは真似できないレベルだ。今回は到底無理だが、振りコピしようとするのは振りコピ慣れしていないと筆者でも難しいほどに難易度は高い。純粋に特異的な振りが多いだけでなく、キャッチーとも言える全身での振りが中心であるためだ。PRPなどとは違ったダンスの難しさと言えるだろう。先ほどキャッチーと書いたが、止めやキレなど端々の最終的な仕上げというのが、確かにアイドルの範疇であり、しかし余念無く全力で仕上げてきているのだ。その視覚的な エンターテインメント性こそ、本アイドルの代替し難い魅力と言えるだろう。結果として自然と最後の曲まで観てしまうのだ。

YouTubeのMVが独自の世界観を展開している二曲目。故にダンスを軸として表現力は一層と難度が増すもので、当然、一曲目よりも多くのスタミナを消費する。そのため、十数秒ほど観察すればごくわずかではあるが乱れが見えてくるものだ。しかし、それが「乱れ」というマイナスな終着ではないあたり、前述のラブアグ同様に、全力さで補填しているのだ。前述に倣えば「泥臭さ」と表現できるかもしれないが、もはやその表現すら不十分に感じられるほどの、超越したエネルギーというのが特に眩しく映るものだ。ついセンセーションの箇所で拳でリズム良く煽りに釣られてしまうほどに、その全力さ、ひたむきさは静観し難いものだ。
三曲目のチャンスなあの曲では手拍子したくなることを必死に抑えて観察に徹すると、ここまでの二曲と比べると確かに動きの少ない楽曲だが、その分歌唱が求められる。1番サ ビ直前での百川の独唱がどこか不調に感じられるもので、彼女にしては珍しい守りのパフォーマンスであった。もしかしたら、他のメンバーに合わせて実力調整したということなのか。それほどに、彼女の中で、個人として、よりも、全力少女Rというアイドルグループとして観客を魅了したいという集団意識が強まった証拠なのだろうか。確かに、妹グループであるぐりぴは本楽曲を定番曲としており、姉妹での微妙な、しかし確かな方向性の違いというのは、確かに本グループにとってはマイナスとも言えるかもしれない。しかし 、姉グループとしての貫禄というか、安定感良きパフォーマンスで魅せられるはずだ。加えてつい期待してしまう。実力の高さというものを。
最後はパラレル。明らかな一二を争うダンス曲。同時に歌唱での痩せが懸念される。そこをラブアグ比較すれば、如何に最後まで食らいつけるか、ライブ特有のアドレナリンで戦 えるかがポイントであろう。間奏直前の百川の歌唱アレンジはその酷な現実に抗う底意地が感じられて、これぞプロの貫禄と舌を巻くほどであった。さて、2番サビではどうにか 持続できているように見えるが、問題はこの後だ。落ちもどうにか突破。ラスサビもどうにか突破した。めげない意地。素晴らしい。

 

「12」CANDY GO! GO!「唯一無二の持ち駒を活かす楽曲提供」15:25~15:45「NUM:07」
最終参戦:2020/10/17:『尊敬すべき背中こそ失われ難き現場の真髄:参』
さて、最後はキャンゴーだが、明らかに場内が過疎である。まあ確かに、今回の対バンは制限多いし、アイドルCAMPなど緩い対バンにもそこそこ出演しているし。
一曲目はどうにか専ヲタ各位健闘しているように見える初手。壇上としての完成度に関しては、やはりここまで優れたアイドルが多かったように、同じ土俵での勝負は難しいだろう。前述のelsyと同様に、どうにか本グループ特有の魅力を見出したいところである。大いに悩みはしたが、やはりリンカネを想起すれば、本グループ特有の楽曲、が魅力といい ことになるだろうか。もちろん、それなら他のグループでも言えることじゃないか、となるのだが、とはいえ、典型的な楽曲を提供するような地下アイドル運営も確かに存在する 。それを踏まえれば、事務所特有の楽曲提供というのは、重複する要素とはいえ、特有の魅力として挙げられると思うのである。
二曲目はベースなロックサウンドにどこか女性としての強さを体現するかのような魅せ方が良い。当然、これは男性の力強さとは違った、女性ならではの妖艶さや嫋やかさが秘められているもので、絶妙な楽曲昇華というのが、逆算すれば、見合ったメンバー無くしては実現し得ないものだ。筆者の妄想としては、オーディションで本楽曲でセンター的な存 在を前にしたときに、楽曲としての方向性が降ってきたように浮かばれたのではと思うのだ。楽曲でアイドルを活かすプロデュース力か、なるほど。
MC。遠征やワンマンなどの告知。ここも安定感が強く、しかし新メンバー故に初々しさ、人間味もあって素晴らしい。
三曲目はダンスチューンに転じる。振りに着目すれば他でも散見されるものではあるが、仕上げるレベルの高さ、そしてただ純粋に上手く踊ることだけが正解ではないと証明させてくる絶妙な人間味というのが、どこか本アイドルの出演に安堵すら抱いてしまう、失われること無きアイドルライブの原点を再認識させてくれる、そんな魅せ方が彼女たちのライブにはあって、今回の執筆でこの魅力を再認識できたのは確かな収穫であった。大事な原点回帰、今後も思い出させてくれるだろう。
本対バンラストの楽曲は、それこそアイドルのライブでの戦法を詰め込んだかのような展開ぶりである。高実力者のセンター配置、Bメロでのフォーメーション変更、そしてサビでの引き続きの歌唱一任スタイル。各メロディーで確かに役割を分けて、かつ1番と2番でちゃんと差分を設ける。歌割り比重やダンスの方向性など同じものは一つとして存在しないが、抽象化して共通されるプロデュース戦術の大切さというものを示してくれる模範的な楽曲と言えるはずだ。そして、各事務所、各グループで選ばれた調整された細かな差異というものを魅せるためには、相応の実力が必要なのだということも。やはり、今後も学ぶことが多いようである。(15091字)

日時:2020年11月7日(土)、12時~15時45分
会場:曳舟文化センター
タイトル:Legend Girls FESTIVAL Vol.3
出演組数:12組
出演者数:67名