極上のアロマ空間とともに・・・・・。
この寒空のスーパーマーケットの前で・・・・・。
ほぼ確実に自分をまきこんで、これから何かが始まる予感・・・・・。
人生の節目となる、修羅場の始まりか・・・・・。
ハンパない、目の前のこの男・・・・・間違いない。・・・・・確信した。
現代の渇ききったアスファルト・ジャングルを、
ひとり彷徨い続ける・・・・・この男。
・・・・・真の「EXILE」=流浪者。・・・・・である。
この瞬間、誠に勝手ながら、この男を「元祖EXILE」と命名した。
でもまさかこの「元祖EXILE」は、今をときめくあのミリオンヒット連発中の・・・・・
売れっ子パフォーマー集団「EXILE」の存在すら知らないであろう。
というか、知らないでいて欲しかった。逆にもし知っているようなら、「元祖EXILE」失格だ・・・・・。
言っておくが、この「元祖EXILE」も、ある意味「パヒューマー」としては、なかなか右に出る者はいないであろう。
というか、誰も右に出れない。間違っても、「熟れっ子パヒューマー集団」を結成など、夢にも抱いて欲しくは
ない・・・・・。せめてソロのストリート・パヒューマーで頑張っていてもらいたい、と切に願うところだ・・・・・。
そんなことが我が思考回路を駆け巡っていた、次の瞬間・・・・・。
・・・・・・・・・はっきりと聞こえた。
相手が戦闘を挑んできているのであれば、第一声が勝負を決める。それが喧嘩の鉄則だ。
心の奥底から絞り出したかのような「元祖EXILE」の魂の声を・・・・・・我が鼓膜がとらえた。
「あのお・・・・・すいません・・・・・パン、おごってください・・・・・。」
「な、な、な、なんだ、そりゃ・・・・?」
思わず、逆の意味でヒザの力が抜けてガクガクになりそうだった。
それは、あまりにも、修羅場とは方向性の異なる、人生で初めて聞くセリフだった・・・・。
((なにい?すれ違いざまにいきなり、パンを、この俺におごれだと!!!
ざけんじゃねええ!!!ぶっ殺してやろうか!
てめえ!おらあああああ!)) などと・・・・・・・
どう考えても修羅場に発展するようなシーンではないことは・・・・・
・・・・・200パーセント間違いなさそうだ。
しかも「パン」である・・・・・。今さらながら、力の抜けるキーワードだ。
あまりにも、可愛いすぎるではないか・・・・・?「パン」
つい何秒前に差し出された「予測不能・・・意味不明・・・得体が知れない・・・」という
「恐怖を感じるための3点セット」は・・・・・・
この瞬間、「CHOO CHOO TRAIN」に乗って、どこか遥か遠くへ行ってしまった・・・・・。
同時に、自らのその魂の叫びを、その言葉を、すれ違いざまに、この自分に声をかけてきたという、
「元祖EXILE」の勇気ある行動に、ある意味、胸を打たれた自分・・・・・。
急に平和な安堵感と妙な幸福感に包まれた自分は「元祖EXILE」にたずねた。
「本当にパンだけでいいのかい・・・・・?どうせなら、オニギリとかの方が・・・?」
「菓子パンで・・・・いいんです・・・・・。もう7日間何も・・・食べてないん・・・です・・・・・」
声が、へニャヘニャだ・・・・・。よく歩いてきたな・・・・・。
「わかった。ここでちょっと待っててくれるかな・・・」
3分後、スーパーのパン売り場で、真剣に菓子パンを選んでいる自分の姿があった。
自分の菓子パンならそう大して悩むことは無いのだが・・・・・。
なんせ、今回のパン選びは、スーパー前で待っている「元祖EXILE」に
この先すこしでも長く生きてもらうための、菓子パンを選ばなければならないのだ。
責任重大・・・・・。違う意味で修羅場だ・・・・・。本当に的確なパンを選べるのか・・・・・?
菓子パンの前で腕組みをしながら、ここまで追い詰められたような気分になったことは、
もちろん、人生で初めてだった・・・・・。まだまだ勉強不足だ・・・。
「ジャムパン」と「北海道クリームパン」を交互に鬼の様な険しい表情でにらんでる・・・・・・
いったい自分は何者・・・・?ここで何やってんだ・・・・。
気がつくと「夕張メロンパン」の袋を持つ右手が未知なる緊張感で震えていた・・・・・。
((もう少しだけ待ってろよ・・・元祖EXILE・・・そのまま死ぬんじゃねえぞ・・・!!!))
そのとき店内の有線放送で「CHOO CHOO TRAIN」が流れてきた・・・・・・・・・・。
さて、この続きは、また今度・・・・・see you soon!
~つづく~(はず)
