ミアの心臓は生まれつき機械によって鼓動する。疾患がありピースメーカーを利用している訳でなく、彼女の身体の一部は機械で出来ているのだが、ロボットなわけでもなく。胸に耳を当てればカチカチと歯車の音が聞こえ、お腹に耳を当てればぐぅと胃袋の音がなるー
(お腹空いたなぁ…)
胃袋も機械ならば空腹感がないのだろうか、そしたら便利なのか食べる楽しみがなくてつまらないのか、ミアはそんなことを考えながら何十人分かのご飯を作っていた。
街の外れにある小さな孤児院。戦争で親を亡くした子達が身を寄せ合い生きていた。ミアはその子らの中で最年長であり、自分より小さな子達の世話をしていた。彼女もまた親をなくした一人の少女だ。
「なにか、おてつだいできる?」
小さな女の子がミアを見上げる。手伝うにしてはまだ幼く、机に背が届かない。少し考えると、ミアは膝を曲げ少女と目線を合わせ、頭を撫でながら
「もうすぐご飯が出来るから、みんなを呼んできてくれる?」
これは重要な任務です!と言うと少女は、目を輝かせながら、はりきり走っていった。少女が声をかけみんなが集まるまでに、まだ10分はかかるだろう、時計を見ながらミアは盛り付け始めた。
「美味しそう〜いただきまー」
「あんたは手伝え!」
つまみ食いの手を叩く、少しぐらいいいじゃないかと不貞腐れるナスタはミアと同い年の女の子。この孤児院はこの二人で成り立っている。
こんな穏やかな日がずっと続けばいいのにー
「ミア!ナスタ!敵襲!」
今日も日常が崩れる音がする。
大切な物を護り、大切な物を取り替えすその日まで私達に穏やかな日常は来ない。