「たった一度の暴力」
小学校で長年、先生をしていた女性は一度だけ、担任の男の子の頬を平手で強くひっぱたいたことがありました。
「し まった……」
と思った先生はこのことを校長に正直に報告し、一緒に生徒の両親に謝りに行きました。
両親からは、それは自分の子どもが悪かったと反対に感謝されましたが、先生は感情に任せて、生徒を叩いたことを後悔していました。
20年後、先生は久しぶりに成長したその男の子に出会いました。
男の子は
「5年生の時、4階の窓際で自殺ゴッコだと言いながら、数人でふざけて、飛び降りる真似をしていた時、思いっきり頬をひっぱたかれたのを覚えています。
あの時、先生が言ってくれた、『命を軽く扱わないで、自分ひとりの命じゃないのよ』という言葉を今でもはっきり覚えています。
その時は正直、意味が分かりませんでしたが、子どもが生まれて、その意味がやっと分かりました」
と話しました。
先生はその言葉を聞いて、長年の胸のつかえが取れた気がしました。
先生の言うように命は自分ひとりのものではありません。
命を授けてくれた人がいることを忘れてはいけません。
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