SOCCERKINGのWEBのコラムを見ていたら興味のあるコラムがありました。
このコラムは、7月23日にサッカージャーナリスト養成講座が主催したトークショー「日本サッカーの進歩と問題点」でセルジオ越後氏が話したもの。
この記事を読んだとき本当にようだなと思いました。
「宝くじが当たると友達や親戚が増える」という喩が物語っています。
本当に女子サッカーを発展、進歩させるのならセルジオ越後氏のいうことは理にかなっていると思います。
長文ですがすみません。
なでしこJAPANがワールドカップを制覇したり、アジアカップで日本代表が優勝したり、冷静に考えてみると、本当にすごい時代になった。だけど、僕は良い部分ばかり取り上げて褒めたたえても日本サッカーが良い方向に進むとは思っていない。まだまだ足りない部分をしっかりと認識しないと。不足している部分を指摘して、さらに発展させるために提言していくのがメディアの仕事なんじゃないかな。
例えばなでしこJAPANについての報道についても僕は疑問を持っている。W杯制覇は確かに素晴らしい。でも、勝負の世界は一発勝負だから、強いということとと勝つということは必ずしもイコールじゃないことを理解しないといけない。それに、あの取り上げ方はどうなんだろうね。W杯直後は、どのメディアもなでしこに割くスペースや時間が異常とも言えるくらいすごかった。これまでは、ほとんど女子サッカーの話題なんて取り上げなかったのに。もちろん、女子サッカーが盛り上がるのは喜ばしいことだけど、その裏に東京電力のマリーゼが事実上解散した事実があることを忘れちゃいけない。ベレーザも経営難で存続危機にある。
W杯優勝後のなでしこの報道に関して、僕はものすごい違和感を持った。選手のボーイフレンドがどうだったとか、お母さんがどんなコメントをしたかとか、まさにワイドショー的だったからね。要するに日本のスポーツメディアはまだまだ未熟だということ。ワイドショーというのは基本的にニュースを消費していくものだから、長持ちしないんです。本当に女子サッカー人気を定着させるのなら、彼女たちに何が必要か、なでしこリーグをどうすべきかにもっとスポットを当てて、例えば日本サッカー協会の人間に積極的に取材などをすべきだと思う。
でも、簡単に言えば、メディアは選手個人を取り上げるだけだった。まさに芸能人的感覚で、僕は「これじゃ使い捨てじゃないか」と思ったよ。そうなったら彼女たちは本当に傷つくだろうね。今までお客さんがほとんど来てなかったのにW杯に優勝したからと言って観客席がいっぱいになって、でもこのフィーバーが過ぎてまた閑古鳥が鳴いたら……持ち上げられて見捨てられたら、なでしこたちはそれこそ裏切られた気分になるでしょう? 今はまだ宝くじが当たった時のようなものだよ。宝くじが当たると急に友達とか親戚が増えるけど、その現象と全く同じ、選挙に当選したら選挙事務所に大勢の人が現れるのと一緒だと思う。
僕は「なでしこは干されている」と何回も何回も言ってきた。だけど、日本のサッカー協会は、男子サッカーだけで、フットサルにしても、女子サッカーにしてもあまり力を入れていない。メディアもそう。本当に日本にサッカー文化を根付かせたいなら、やっぱり女子サッカーの環境がどうなっているかとか、選手たちの生活がどうなっているか、そういうところに、より焦点を合わせて報道してあげるべきじゃないかな。
なでしこリーグのほとんどの選手はアマチュアというのが現状で、プロリーグじゃない。今のブームに乗って女子サッカーをプロ化できるかと言ったら、そう簡単な話ではないと思う。まずサッカー協会もメディアもこの注目度を維持する努力をしなければいけない。男子のサッカーが良い例じゃない? 1993年にJリーグが開幕して、ものすごいフィーバーがあったけど、景気にも影響されてあんなに高まっていた熱がある程度冷めてしまった。女子サッカーもこの人気を定着させるにはいろいろな工夫が必要だ。
前にも言ったけど、Jリーグでは「企業を表に出さない」、「全部地域を中心にするんだ」という理念が薄れつつある。企業主導の形は女子サッカーも同じだよ。クラブや選手は企業のものという感じで、例えば親会社は選手たちを企業のPRに使っている。W杯後、なでしこJAPANの選手がテレビに出ていたけど、代表じゃなくてクラブのユニフォームを着ていて、僕はびっくりした。企業は利益を上げるのが最大の目的だからそれは当然のことなんだけど、それではやっぱり企業スポーツ、アマチュアスポーツからは抜け出せない。
いずれにせよ、女子のプロリーグをきちんと成立させようとしたら、土台がしっかりしていないと。つまり、男子のサッカー、プロであるJリーグだよね。僕はJリーグの成熟なくして、女子サッカーの成功はないと思っている。だって、プロであるJリーグがもたついていたら、良い見本にはならないわけだから。