帰還後にCDの試聴を行いました。
ハムが大きいと感じていましたが、ふとパワーアンプとの接続コードが、パワーアンプの電源トランスの上に乗っていることに気づき、遠ざけました。
するとハムが激減したのです。それでもウーンと小さく唸り音が聴こえます。
プリアンプをパワーアンプと切り離して、プリアンプの出力端でノイズを測ると、左右ともに0.5mV程度です。
このくらいで唸るかなと不思議になりました。思い立って今度は、EL34パワーアンプをプリと切り離したままノイズを測定したところ、左右ともに1.2mV程度のノイズが出ています。
あれプリではなくこちらのノイズが原因だったのかな。もっとノイズの少ないパワーアンプをつないでみようと、足元の6V6GTシングルアンプにつないでみました。
まずこのアンプ単体のノイズを測ったところ0.3mVでした。とても優秀です。
プリにつないで音を出してみました。いい音で鳴ります。このアンプは普段3WAYマルチの高音部、ツイーターにつないでいます。こんなに豊かな低音が出るとは思っていませんでした。というか低音を出す使い方をしていませんでした。
レイセオンの6V6GTがよいのか、トランス仙人さんに巻いてもらった出力トランスが優秀なのか、おそらく両方でしょう。
CDの再生では、ほとんどノイズは気になりません。
次にレコードです。
ウーン。オッカイポさん宅ではチリチリとかサワサワという音が聴こえたとのことですがシステムの違いや条件によるのでしょう。
オッカイポさんが使用されたアルテック601Cは98dBもの能率があります。私の408Aは規格が見つかりませんが、開発当時の横並びのユニットと比べると、おそらく95dB 程度ではないかと思います。
3dBの違いは結構な差になります。この差でチリチリが明確に聞こえないのかもしれません。
但し、それ以外のいただいた試聴感想の内容はうなづけます。落ち着いた感じはしません。確かに落ち着いていないのです。
ここですでに考えていた改造を実施することにしました。
それはイコライザ前段の回路の中の、正帰還の回路を除外することです。
恐らくこの回路がこれらの原因だろうと考えていました。
実は1962年7月号のラジオ技術誌で、浅野勇さんがサイテーションⅣを改造して、ご自宅で使用されているプリアンプを発表されています。
そのイコライザ段は正帰還回路を外して負帰還だけにされていました。想像ですが浅野氏も最初はオリジナルの回路で組み立てて、その後外されたのではないかと思います。ずーっと長時間聴くのがしんどい音なのです。
そこでアンプをひっくり返して改造開始。指差したあたりです。
これが取り外したパーツたちです。
各部の電圧を見て、イコライザ段の出力部のノイズは0.3mV程度でした。
そして天と底の板を取り付けて試聴しました。
サワサワ感がなくなりました。一聴して普通のCR型イコライザの音です。なんだか明瞭度がひくいので、しばらく鳴らしっぱなしにしました。
時間がたつにつれて明確な音が確認できるようになりました。
何と言えばいいか、刺さっていたトゲが抜けて落ち着いたというか、不安定な状態が消え去ったという感じでしょうか。
うーん。これはこれでいいのでしょうが、当時音が固いとか物議を醸したサイテーション独得の音ではなくなったのは間違いないようです。
もう少し聴いてみて問題がなければ、手放そうと思っています。
これでコンテンポラリーサイテーションのシリーズは終わりといたします。お付き合いありがとうございました。