せっかちな私は、PX4アンプの不具合個所を見つけたくて、テスターでシャーシ裏を当たってみました。
シャーシ内部は余り変わってないようです。ところどころ黄色いフィルムコンデンサーがパラに接続されています。
これで音が変わるとか、周波数特性に変化がでるとか、期待してのことでしょうが、あまり効果はないと思います。
DC点火回路部分が並ばずに90度の角度で向かい合っています。整然としていません。今ならやらないレイアウトです。
ここでシャーシ内に当時私が貼り付けたシールを発見しました。完成時の日付と製作した場所の記録です。
アンプの名前は#T96S1(PX4)ですね。1996年10月に作ったシングルアンプの1台目という意味でしょうか。Tは何かな、覚えていません。ひょっとして3極管の意味かも。倉敷にいるときに作ったことが分かります。そして私の英文の名前。30年前と言っていましたが、正しくはちょうど29年前です。当時38歳でした。
チェックに入ります。ヒューズが飛んでいますので、通電はせずにテスターで電源トランスの巻線とケースとの絶縁をみました。ショートはしていないようです。二次高圧巻線のセンター端子から両端との間の抵抗値をみました。ほぼ同等の抵抗値で荷重の影響はトランス内には及んでいないようです。他の端子も特に、断線や抵抗異常はありません。
パートリッジのOPTも断線していないことが分かりました。
今度は基本的なことですが、B電圧端子とアース間の絶縁をみました。50KΩ程度に触れて、徐々に無限大に向かって変化しています。ここも問題ありません。
何でヒューズが飛んだのでしょうか。意を決して5Aの新しいヒューズに取り替えて、AC電圧を60Vに低く設定してトランス一次側に印加しました。真空管は何も挿していません。
結果ヒューズは飛びませんでした。さらに電圧を100Vまで上げました。トランスの電圧も表示通りです。DC点火の電圧も正常です。整流管は挿していないので、まだB電圧は出ていません。
このまま球を挿せば鳴るかもしれません。今日は球もしまい込んだので鳴るかどうかは明日です。
ヒューズが飛んだ原因ですが。過去の経験からヒューズも疲労して、定格以下の電流でも溶断することがありました。
とくにアンプの性格上(回路構成上)、ラッシュカレントが多ければ、ヒューズが受けるダメージも大きくなります。何度か繰り返すうちに切れてしまうこともあるようです。今回はそうじゃないかと踏んでいます。対策はスローブロータイプへの交換などでしょうか。
ここでも知識のない一般の方は可哀そうだと思ってしまいます。ヒューズのスペアを、譲渡するときに付属させなかったのが悔やまれます。付属させるか、シャーシ内にスペアとして、袋に入れて貼りつけておけばよかったかなと思います。
ヒューズが飛んだ時に、ユーザーの方が新たに5Aのガラス管ヒューズをどこかで購入して、再度交換してみるという発想に至ることは殆ど不可能だろうと思います。
アンプはどこも悪く無い、ただヒューズが疲弊していたという状況。
管球アンプを使う場合、知識を持っておくか、近くに相談できる方を確保しておくことが重要だと思います。
さてさて、このアンプを眺めながら、やたらでかいし、パートリッジのOPTを取り出してもっとコンパクトに新しいアンプに変身させようかなと考えていたのですが、鳴ったらどうしましょうか。解体も可哀そうですね。
悩みますが、明日のトライの結果次第です。