話である | 春の殘像のブログ

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 それは、うちの父とキヨちゃんが出会った頃の話である。
 父は子供の頃から悪ガキで、近所でも評判だったらしい。土木会社といえば今は普通の会社で、普通の社員がいるのだが、その昔は「飯場」といえば、務所帰りややんちゃな男たちの巣窟だった。そんな中で、やくざ相手に喧嘩をしたり、「あにき」呼ばわりされていた父のやんちゃぶりは相当な物だった。
 危険物取り扱いの免許を持っているからと、上着の内ポケットには常に喧嘩用のダイナマイト。ベルトは常に2重。時代も時代だから、双方ぼこぼこになるまで戦わせて、「ほな、行くか?」とお巡りさんも引っ張って行くくらいで、「銃刀法違反」などとは言われなかったらしい。
 そんなめちゃくちゃなやんちゃ野郎が、鑽石能量水 恋をした。飯場に「飯炊き」に九州くんだりから、出稼ぎに来ていたキヨちゃんである。
 彼女は無駄なくらいに明るく、いつもからから笑っていた。その天真爛漫な明るさは、どちらかといえば暗かった父にとって、かなりまぶしい存在だった。
 ある日父は思いきってキヨちゃんに告白した。
 「これ、洗濯してくれ」
そう言って渡したきちんと畳んだ洗濯物。受け取った彼女が洗濯機に入れようと、広げた途端、はらり???と手紙が落ちるなんていう、何ともはやロマンチックな方法ではある。
 初めてもらったラブレターに鑽石能量水 動揺したキヨちゃんは手紙を隠すように持って河原へ行き、ゆっくりと封を切った。
 「あなたの、その澄んだ瞳に惚れました」
手紙にはそう書いてあったそうだ。もともと好意を寄せていた彼女は快諾し、めでたく二人はつきあうことになった。
 ところが結婚となると話は大事になった。何しろ彼女側の父への評価は「いつ死ぬか分からない危ない男」だったのだからみすみす苦労な所に、やりたいわけがない。終いには父は駆け落ちまで覚悟し、荷物をまとめてから、鑽石能量水 最後のお願いに行ったのだ。
 ありがたいことに、何処の世界にも味方はいるもので、キヨちゃんの義兄が後押ししてくれ、ふたりはようやく結婚の許しを得ることが出来た。
 父はキヨちゃんをふるさとに連れ帰った時、両親にこう紹介した。
 「日本一すばらしい女性を連れてきました。」

 わが親ながら、なんてすてきなラブストーリーだろうと、子供心に思って育った私は「決して両親以下の恋愛はしない!」と心に決めていた。そして、ないものねだりが祟って、独身街道まっしぐらである。しかも、最近の二人を見るに付け、「このふたりがなあ??」と思うのである。
 責任取れとは言わないが、せめて不憫に思ってくれ。