先祖の魂 永遠なり
北畠家の家臣吉田兼房は「大悪才」の異名を持つほどの勇猛な武将である。だがけっして勇猛なだけの武将ではない。家中では大目付の要職にありながら、隠密方の長官をも兼ねていた。その子兼宗は剣士としての才能に恵まれ、若年ながら精妙な剣を遣う。その才を認められ、八代当主北畠具教の近習を務めていた。
永禄十二年(一五六九)、尾張から擡頭した織田信長が伊勢に侵攻し、大軍を以って北畠氏を大河内城に包囲した。信長の意を受けた甲賀者が暗躍し、城方の結束を切り崩そうとする。兼房はその知勇を駆使し、信長の謀略に抵抗する。その兼房へ信長は刺客を放った。劣勢の北畠氏に味方するのは、百地清右衛門率いる腕利きの伊賀者である。伊賀流刀法を極めた清右衛門の剛剣が、甲賀者に追いつめられた兼房の危機を救う。さらに、父の危難に駆けつける兼宗の活躍も頼もしい。この兼宗に心を寄せる雪姫、そしてそれを見守る鶴姫らを交え、物語は佳境へと進んでゆく。
籠城戦が一月を過ぎた頃、長期戦を嫌った信長は城へ夜襲をかける。しかしそれは具教暗殺のための陽動作戦であった。兼房らは身を挺してそれを阻止するが、信長の計略はそれだけではなかった。
「雪姫の拉致」
それによって城内は和議に傾いてゆく。信長は雪姫の身を盾に、無理な条件を提示し、交渉を有利に押し進めてゆく。
信長の戦略の前に敗北し、兼房らは苦悩する。それでも、あくまで生の中で己の歩むべき道を模索し、そして黙然とそこへ踏み出してゆくのである。
一木 蓮さま「戦国の剣」より抜粋
吉田兼宗
主君 北畠具教さまの仇である織田信長を討ち果たすために人生半分を掛け
最後は大阪城(命の恩人である九鬼嘉隆様の仇である徳川家康との戦い)において、真田幸村(信繁)様らとともに戦い、1614年11月4日討死
北畠具教様の首塚の片隅に咲いていたリンドウ
昔から自分の大好きな花
