金曜日に、お友達からうれしいご招待をうけて行ってきました。
座った席は一階でしたが、頭上には二階席があり、
歌手が歌う場所によっては声の響きにムラがでてしまいました。
舞台はすごく良くみてよかったけれど、聴くにはどうかなという席でした。

このヴェルディ作曲のトロヴァトーレ。
もう30年近くも前、日本でLPレコーダーが発売になったときに、
パヴァロッティ主役レコーディングを購入して以来、この曲の大ファン。
ルナ伯爵がレオノーレを思って歌う歌なども、覚えて口ずさんだりしてました。

指揮:Paolo Carignani
演出:Olivier Py
舞台,衣装:Pierre-André Weitz

ルナ伯爵: Vitaliy Bilyy
レオノーラ: Anja Harteros
アズチェーナ:Anna Smirnova
マンリーコ: Yonghoon Lee
フェルナンド:Goran Jurić
イネス:Golda Schultz
ルイス:Francesco Petrozzi

第1幕「決闘」Il Duello:ルーナ伯爵の居城
舞台は、黒を基調としていいて、どろどろした物語をすでに表しています。

先代ルーナ伯爵が行った魔女狩りで犠牲になったジプシーのおばあちゃんが、なんといきなりすっぽんぽんで出てきます。おばあちゃんだからお肉たっぷり体系。最近のミュンヘンの流行りのよう。素っ裸でうろうろする人を舞台に出す演出・・・。
まぁそんなことはいいとして、そのルーナ伯爵の家臣フェルランドの歌う昔物語はいきなりのアリアとしてはとっても上出来。バスがガンガンと響いてきます。
そしてレオノーラを歌う期待のハルテロス嬢。あら目が見えない設定のよう。真っ黒のサングラスをかけて、手探りで登場。うん、彼女は最初から安定した声でうっとりとさせてくれます。これからの進行に期待大。

レオノーラは魔女狩りされたジプシーの孫のマンリーコと相思相愛。しかし彼女はマンリーコの敵であるルーナ伯爵からも愛されています。

さぁマンリーコ登場ぉぉぉ、っと・・・・。大丈夫かなぁ、歌い初め音程がふらふらぁっとしてちょっとコワ・・・。体がまだ温まっていないのでしょうか、聞こえてくる声もなんかなぁ、偽者テノール・・・、という声のハリ。こんなんでハルテルス嬢のお相手が勤まるのかしら?
ルーナ伯爵もスタートはいまいちで、なんとなく今日の歌手のレベルに見当つけてしまう私。


第2幕「ジプシーの女」La Gitana:ビスカヤの山中
ジプシーの有名コーラス「鍛冶屋の合唱」では、若い女性ダンサーが薄い格好をして悩ましげな踊りを踊っていたと思ったら、いきなりすっぽんぽんで踊ります(これって絶対に18禁よね)。ま、美しい女性は目の保養。私も反対しません、このごろ。(笑

ここでアズチェーナ登場、自分の母を魔女狩りされて復讐に燃えるジプシーの女。ここで実はマンリーコは自分の息子ではなく、ルーナ伯爵の弟であることを思い出して歌います。マンリーコをさらってきたとき、同い年だった自分の息子を影武者として燃やしてしまったことや、そのマンリーコを自分の息子として育てて、復讐を誓ったことなどをおどろおどろしい舞台のなかでくらーく歌うのです。

メゾソプラノのアンナ・スミルノヴァの恰幅といいドスの聞いた声といい、演技の上手さを見たら、これは彼女のはまり役に決定!!
しかしなぁ、相変わらずマンリーコ歌う韓国人ヨンフン・リーくん、うろうろと演技もいまいち・・・。声もだんだんと良くなってきているとはいえ・・・。カウフマンが歌ったときにはばっちりだった角模様の銀と黒のチョッキに黒ジャケットの衣装もリーくんが着るとなんかねぇ、どうも忍者がうろうろしているように見えてしまいます。(ごめん)

第3幕「ジプシーの息子」Il Figlio della Zingara:野営地―城の礼拝堂 
ここでの舞台は衝撃的・・・。出産シーンが出てきたり、この演目の象徴?、生まれたて真っ赤な新生児人形がいつも出てきたり・・・・。あちらこちらから笑いが漏れてくるのを耳にします。

この幕の最後にはマンリーコがレオノーラへの愛を歌ったすぐ後に、ルーナ伯爵に捕まってしまっている母を助けに行かないと行けないことになり、「戦いだ!」と威勢よく歌う二曲があります。一番盛り上がる場所。

「ああ、美しい人」Ah si, ben mio:アリアと
 「見よ、恐ろしい炎を」Di quella pira:カバレッタです。

初めの「ああ、美しい人」は、そろそろ体も温まり本調子になってきた様子が伺えて満足しましたが、カバレッタの最後・・・。歌いきれたのはいいけれど歌っている時の顔・・・、もう一生懸命、体を振り絞って顔は下向けて目はギュッとつむってしまって・・・・。しかしあーたねぇ、ここは元気にやる気満々で上を向いて「やるぞ~」って歌わないといけないでしょうにぃ・・・。私には残念でなりません・・・。まぁでも他の観客にはそんなことはどうでもいいのかなぁ。拍手喝采。

第4幕「処刑」Il Supplizio:ルーナ伯爵の居城
最後の幕、捕まった母を助けに行くつもりが、逆に捕まってしまい牢屋に入れられたマンリーコ。そのマンリーコを助けるために自分をルーナ伯爵に売って(でも密かに毒を飲んでしまう)レオノーラ。

このレオノーラって本当にソプラノが歌うの?というぐらい低音がたくさん。そのうちにお上手ハルテロス嬢も低音疲れかなぁ。しかし少し休憩すればすぐに復活。みごとに最後まで歌いきります。

舞台では毒が回ってきたから私のために祈ってください、と歌うレオノーラに対して、事情を知らないマンリーコは裏切り者~と怒りますがそのうちに事情を悟り、ごめん、悪かった~、と謝ります。
レオノーラが舞台の真ん中で半分倒れかかって歌っているところへ、マンリーコのリーくん・・・なんと手を差し伸べるだけで自分のパートを歌うのに精一杯・・・。ちょっとさぁ、もうちょっと抱き寄せるとか感情的にやさしくしてあげられないのぉ?!突っ立って手を出すだけなんて最低・・・。

そうこうするうちにオペラが終わり・・・拍手喝采。
タイトルロールのリーくん、一番長くお辞儀して観客からたくさん拍手もらってました。あんたね、ハルテロス嬢より長く拍手もらうのに突っ立ってるなんて許せんぞ!!そのうちに早く引っ込め~、という気分になった私でした。

しかし、そのご招待くださったお友達はマンリーコをとっても気に入っていた様子だったので、私はもちろん口を合わせて良かったね、と楽しく帰宅したのでした。
今回は始めてクラウス・フォークトを生で聞きました。
ミュンヘンのフィルハーモニーホール、ちょっと奮発して一番良いカテゴリー席。真ん中あたりです。
座ってみると、ちょうどソリストが目の前に見える席。前に邪魔になるような大男も座らず、ばっちりと歌っているときの表情、雰囲気などを感じ取れました。

プログラムは前半ワーグナー。
フォークトが歌う合間にはオケによって前奏曲が演奏、それだけでも”おいしい”選曲。結構楽しめました。
何よりもおもしろかったのが、その曲にまつわる彼のショートトーク。
こういうときにドイツ語が出来て良かった、と心底から思います。

マイスタージンガーの前奏曲
そのあと1幕から2曲。シュトルツィングのアリアです。
 „Fanget an“
„Am stillen Herd“

ワルキューレの騎行
ジークムントアリア
„Winterstürme wichen dem Wonnemond“

ローエングリーン第三幕への前奏曲
ローエングリーン
„In fernem Land“ (Gralserzählung)

休憩

後半はモーツアルトから始まり、あとは私の知らないオペレッタ特集。

モーツアルト・魔笛前奏曲
„Dies Bildnis ist bezaubernd schön“(1幕・タミーノ)

Flotow:
マルタ前奏曲
„Ach so fromm“

Lehár: „Gold und Silber“ – Walzer op. 79“

May: „Ein Lied geht um die Welt“ – Lied aus dem gleichnamigen Film

Lehár
フリデリーケ
 „O Mädchen, mein Mädchen“
微笑みの国
„Dein ist mein ganzes Herz“

Klaus Florian Vogt, Tenor
Staatskapelle Weimar
Stefan Solyom, Leitung

前半のプログラムでは、以前フォークトがバイロイト祝祭歌劇場でのマイスタージンガー出演時にカタリーナワーグナーがデザインした黒スーツを着用。でも結局出来上がりに不満のあったK.ワーグナーが本番用に別のものをデザインしたため、その黒スーツは不必要になったから、フォークトがもらったらしい。
襟がなく、ちょっと丈の長い、でもごく普通のスーツでした。後半には燕尾服にお着替え。オーソドックスな服装に彼の音楽に対しての生真面目さが感じられました。

始めて聞いたフォークトの声、想像していたのとは大違い。(私の好み)ワーグナーテノール特有の曇りがかった嫌味のある声かとおもいきや、モーツアルトとかそっち系に近い声質。聞いていて軽く頭の上で響く声でした。
ふーん、これでワーグナー歌うんだ・・・。
もちろん、今回歌った短いアリアは小奇麗だったし耳にはとっても心地よかったけれど、それをちょっと汚れている性格が多いワーグナーのタイトルロールには雰囲気が合わないんじゃないかなしら?という印象を持ちました。

でもとっても好感持てたのは、歌う前にかならず(笑える裏話的・私的)ショートトークを入れたこと。歌声と話し声じゃ声帯の使い方が違うだろうに・・・、大丈夫なのかなぁと少し心配しましたがその辺の心配は無用に終わりました。
こういうところで、音楽性に必ず現れる歌手の人間性というものが垣間見られます。

お風呂場フィルハーモニーホールで、フルオーケストラバックに頑張った彼。
でもやっぱりモーツアルトとかオーケストラの音が薄くなったとき、彼のよさが一番発揮されたんじゃないかなぁ、と思いました。
是非一度、オペラを聞いてみたいテノールですね。
このごろ活躍のミヒャエル・ヴォレが歌うウイリアム・テルに行ってきました。今回座った席は、カテゴリー5。最上階の最前列。中央に近い席をゲット。
とりあえずだいたいの舞台は見えました。でも歌声やオーケストラはばっちりです。お値段の割には楽しめる席の一つ。
このウイリアムテル、昨年6月にプレミエがあり話題になった演目なので、ぜひとも行ってみたかったのです。



Bayerisch Staatsoper オリジナルサイトからの映像


配役
Guillaume Tell:ウイリアム・テル Michael Volle
Arnold Melcthal:アルノール・メルクタール Yosep Kang
Walter Furst:ヴァルター・フルスト:Goran Jurić
Melcthal:メルクタール:Christoph Stephinger
Jemmy:ジェミ Evgeniya Sotnikova
Gesler:ジェスレル Günther Groissböck
Rodolphe:ロドルフ  Kevin Conners
Ruodi:リュオディ Enea Scala
Leuthold:ルートルド  Christian Rieger
Mathilde:マティルデ Krassimira Stoyanova
Hedwige:エドヴィージュ Jennifer Johnston

お話の内容は他力本願でこちらをどうぞ~(→)
簡単に言うと、14世紀ハプスブルグ家の支配に苦しんでいたスイス人とハプスブルグ国の意地悪総督(ジェスレル)隊との争い、そしてスイス人指導者メルクタールの息子アルノールとハプスブルグ家王女マティルデの身分違いの恋のお話。

真面目に聞くのは初めてだったので、やっぱり初めに予習は必要だったかも。バスがあちこちに登場して、途中??状態になりかけたりしましたが、アルノールとマティルデが時々に出てきて、話を盛り上げてくれるので救われたかも(笑

この日一番の活躍を見せたのはバイエルン歌劇場専属ソプラノ、テルの息子役ジェミを歌ったエフゲニヤ・ソトニコ(オフィシャルサイト→)
2008年にリムスキーコルサコフコンサヴァトリウムを卒業したかわいい綺麗なソプラノです。体の線が細いし、他の歌手より頭が一つ小さく小柄なので、舞台登場の際は一瞬子役が出てきたのかと思いました。しかし、歌声聞いてビックリ!! きれいな、だけでなく力強く訴えてくるものがあります。この役は彼女の当たり役。彼女のレパートリー、モーツアルトのスザンナとかパミーナとか、ここ2、3年ずっとバイエルンに出てます。私は始めて聞きましたが、これからも度々聞きたい期待の一人。ぜひレパートリーを広げてもらいたいソプラノです。

続いて低音の男性陣・・・。
主役のミヒャエル・フォレ、評判どおり聞かせてくれました。ラフな雰囲気の中にも演技も上手だし、なんともドンとした重さを感じます。
他のバスもみなさん血まみれになりながら、楽しませてくれました。あぁ、でもねぇ、やっぱりギュンター・グロイスベック・・・。 彼の低音の弱さにはいつもながらにがっくりさせられます。時々くぐもってしまう声質・・・。容姿はいいんだけれどねぇ。魔笛のサラストロも私にはちょっとパワー不足だったし・・・。

さて王女役ソプラノ、かなり長いアリアなどたくさんあり体力が求められますが、クラッシミラ・ストヤノヴァは健闘しました。最後少しパワーダウンしたけれど音質自体は崩れずに。そしてそれを受けて立つのは韓国人のヨセフ・カン。悪いテノールじゃないけれど・・・、ベルカントじゃないし、この歌手陣の中で歌うと普通のテノールな感が否めません。各アリアではそれほど拍手も起こらず・・・。でも最後のカーテンコールではもちろんたくさんお優しいブラボー拍手をもらいました。

そしてメゾソプラノのテル奥さん役のジェニファー・ジョンストン。ドスの聞いた声でウイリアムテルを支えます。髪の毛振り乱し、演技も肝っ玉母ちゃんぶり発揮で大拍手。

現代的な舞台の割には、なかなか受け入れやすい演出で違和感を感じませんでした。とはいえ、私はミュンヘンの俗に言われる”変な”現代的演出になれてしまったのかもしれません。最近では、こんなのもおもしろいな、と思うようになってしまいました。(笑

さて、今度の日曜日は待望?!フロリアンフォークトのオケバックでリサイタル、来週金曜日はトロバトーレのオペラ、土曜日はヤンソンスのコンサートと続きます。もちろん、こんな盛りだくさんなのは後にも先にも今月だけでしょう~。