楽しみにしていた
"100分de宗教論"を観た感想は
一言で言えば
"とても疲れた"
…です。



日本人は"無宗教"というけれど
大方の日本人はお正月に
神社やお寺へ初詣に行きますし
自宅などでもお参りをしようと
神棚を祀ったりしている人もいます。

宗教は
人々の心にそっと寄り添うような
支えになり得る存在であるはずなのに
時に
争いを生む存在にもなり得る。

宗教とはなんなのか
どこからが宗教なのか
宗教誕生のメカニズムを知る名著として
釈徹宗氏が紹介してくれたのが
レオン・フェスティンガー
「予言がはずれるとき」



予言が外れたとき
信者たちの結束はさらに強固になり
進化し続ける事情が発生するという
認知的不協和理論の話からはじまりました。

人は
認知的不協和が起こると
その不協和を低減させようとする。
それは
矛盾する気持ちがあることによる
不快感や不安を取り除く作業であり
人としてなんらおかしなことではない。

けれど
この心理構造こそが宗教のはじまりであり
社会には
これと似た仕組みが
溢れているのだという理論です。



この認知的不協和理論の例として
紹介者である釈徹宗氏は
レオン・フェスティンガーも例に挙げている
煙草は身体に悪いと知った愛煙家の心理で
説明されていました。

煙草に対する負の事実を知ったとき
愛煙家はどうするか?

①信念・行動を変える(煙草やめる)
②協和情報を増幅させる
(やめることで返ってストレスになるから
    無理してやめない)
③不協和情報を排除する
(煙草は健康に悪いという情報に耳を貸さず
    もちろん煙草もやめない)

②と③は似て非なるものではあるが
人は不快感を取り除くために
無意識下で言い訳を探してしまう動物なんだなと
妙に納得しました。
①を選択するのは
今までの自分や自分の行いを否定するのと
ほとんど同義ですから苦しいですもんね。



他にも
片山杜秀氏はキリスト教
中島岳志氏は政治
最相葉月氏は
旧ジャニーズタレントのファンを
例に挙げて話していました。

ですが、
最相葉月氏は
いわゆるファン心理ではなくて
旧ジャニーズの性加害問題を
このテーマに絡めて話していたので
違和感を覚えましたが

私も友人との会話で
ファンにお金をつぎ込むことを
"お布施"だなんて笑いながらですが
話すこともありますので
ファン心理という視点で言えば
宗教的であることは
間違いないと思っています。

"お布施"は
強制ではなく
本人たちがしたくてしているわけですし
自分が破産するようなお金の使い方をしたり
その良さを押し付けたりしない限り
好きにやってくれて良いと思っています。

推しが神や教祖となると
途端に古参臭くなりますが
宗教も同じですよね。

強制ではなく
本人たちがしたくてしているわけですし
自分が破産するようなお金の使い方をしたり
その良さを押し付けたりしない限り
好きにやってくれて良いと思っています。



それによって
生活が枯渇するのではなく
潤いがもたらされるのであれば
健全な行いであると
言えるのではないでしょうか。



まぁでも
妄信的ではないと思っていても
彼らに負の情報があったとき
彼らがそんな悪いことをするはずはない
と思ってみてしまいますので
無意識に②③をやっている自覚はあります。
だから
釈徹宗氏が言うように
意識的に内なる老若男女を育て
多方面からの視点を持つように
気をつけなければと日々思っています。



中島岳志氏は
選民意識の話もしていましたが
③の思考になりやすい人は
そういう意識に
なっていきがちなんでしょうね。



なので
概ね皆さんが挙げた例に納得していたのだけれど
先にも述べたように
最相葉月氏が
旧ジャニーズの性加害問題を
このテーマで絡めたことは
ちょっと大分違うのでは?
と感じ次に進めなくなってしまいました。



旧ジャニーズのファンは
疑惑を持たれている社長のことが
好きだったわけではなく
その事務所にいるタレントが好きなんです。

そのタレント自身も
受け入れ難いことをやっているのに
妄信的に応援できるのか否かということであれば
今回のテーマには当てはまると思いますが
今回はあくまでも
亡くなった社長や上層部が悪いことをしていて
罪に問われている状態で
そこに所属するタレントが
知らなかったわけないのだから同罪だろうと
なんの証拠もないのに
所属タレントが謂れのない罪を背負わされ
私刑に処されている状況は
やっぱりおかしいと思うのです。

尊敬していた社長には
裏の顔があったかもしれないと知ったときの
タレントの気持ちを考えると
本当に胸が痛いし
それこそ上記の方向性①②③全てについて
無意識に
試してみたかもしれない。
それぞれのタレントが
どのように折り合いをつけたかは
私達にはわからないし
別に知らなくても良いと思う。

ただ
そんなタレントを心配し
応援しようとする気持ちが
認知の歪みであるのなら
確かに旧ジャニーズタレントのファンは
妄信的なカルト集団かもしれません。
ですが、
旧ジャニオタたちは
私の感覚からすると
平時から事務所に対して
好意的には見ている人は少ない印象です。

極端な例で例えるなら
私は以下のように分けられると思っています。

ア、悪事を働いていた社長や上層部
    →虐待する親
イ、これらを受容していた事務所や外部関係者
    →悪いことだと知っていたのに
        助けてあげたかったけど保身に走って
        手を差し伸べなかった周りの大人
ウ、所属している又はいたタレント
    →怖くて逃げた子ども
    →許せなくて訴えた子ども
    →怖くて止められなかった兄弟
    →これが当たり前だと思っていた子ども
    →他の兄弟が
        そんなことになっているなんて
        知らなかった子ども
    →知っていても止められなかった子ども
    →疑惑かあっても親を愛する子ども など



圧倒的に悪いのはアです。
イも責められて当然かも知れません。
でも
ウはどうでしょうか。
私は責めることはできませんし
そもそも
何について罰するのかがわかりません。



確かに妄信的な
旧ジャニオタはいると思います。
それは
旧ジャニオタに限ったことではなく
ファン心理が
信仰心と似通っているということであって
今回のテーマと
性加害問題を絡めるべきではないと
声を大にして言いたいです。



以降
番組での発言
(耳コピなので間違っているかもしれません)

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最相葉月氏

熱狂的なファンたちは
これ(性加害問題)を
どういう風に捉えたら良いんだろうかと
非常に混乱した中で3つの方向性の中で
もしかして分かれていったんじゃないか。
ファンをやめた人たちもいれば
逆にいやいや
タレントたちには罪はないといって
ますます彼らを応援するようになった
とかですね。




これに続く伊集院光氏の発言

ジャニーズが埋めてくれているものとか
ジャニーズにすごく憧れることは
どうして始まっているのかとか
考えてからいかないと
解体しようとかいろんな意見出てるけど
根本のところで何も終わらないって
思うんですよね。
自分が信仰してる愛好してるそういうものが
あれ?ちょっとおかしなことになってるな。
っていうのを気づけるのか。
それを知りたいですね。

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その場にいた安部アナウンサーも
その他の方々も同調されていましたし
釈徹宗氏は
"認知の歪み"の話もされていましたが
何度考えても
このテーマに
旧ジャニーズの性加害問題を当てはめるのは
おかしいと思いました。

これ、
ちょっと炎上するんじゃないの?
と思っていたら
やっぱりSNSで
燃えてる人がチラホラいますね。






しかし
"信じる"ってのは難しいです。



信じてた事柄や人の
自分の知らない、嫌な側面を
目の当たりにしても
信じていられるか。

その度合いが強いほど
①の選択肢を選ぶのは
とてもしんどいはずで

そもそも"信じる"ってなんなのか。
ただ自分に都合のよい
"期待"をしていただけじゃないのか。

「これからは
    そんなことしないって信じてるから」
というのはすなわち
「これからは
    そんなことしないって期待しているから」
と言い換えることも可能なわけで

だからこそ"裏切られた"
という思考にもなる。

ならば
最初から期待しなければ
辛い思いをしなくても済むんですよね。

でも人との関わりの中で
"信頼"や"信用"ってとても大事で
信用していない、されてない相手とは
仲良くなれない。

自分の期待通りの人なんて
そうそういないので
何かあるたびに
①の選択肢を選んでバッサリ切っていたら
周りから人はいなくなりますので
大概の人は
すぐに①を選ぶことはないと思うんです。
迷わずに①を選ぶ人は
多分あんまり友達はいないのでしょうし
そんな友達ならいらない
という思考になるんだと思います。



どちらが良いってわけでもないんでしょうけど
後者のほうが
ヤバい宗教に嵌りそうな気はしました。



最相葉月氏が例に挙げた
旧ジャニーズの性加害問題のとこだけが
私的には腑に落ちなかったために
なかなか次に進めず
疲れてしまったけれど

その組織の一部が悪事を働いていただけなのに
連帯責任だと言わんばかりに
その組織にいるってだけでバッシングを受けて
さらに
その人達を応援することが
カルト的だと考える人がいることを
受け入れなきゃいけないんですかね…。



本当に疲れちゃったので
この続きはまた改めて…。




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