こんにちは。脳神経外科の片桐彰久です。
片桐の「片」は片頭痛の「片」です。
都内の病院で頭痛外来を開設しております。
https://www.ims-itabashi.jp/service/zutsuu.html
もうすぐ2月22日頭痛の日が近づいているので、テレビでも頭痛の特集が組まれたりしています。
こういう機会に少しでも頭痛への理解が深まり、頭痛外来が身近な存在になればと思っております。
さて、皆様は片頭痛の「前兆」と「予兆」という言葉、適切に使っていらっしゃいますか?
医療従事者の中にも間違えて使っている方は多いので、おさらいしましょう。
「前兆」にはキラキラとした光や線が視野に見える「閃輝暗点 せんきあんてん」や片側の痺れなどの感覚症状、珍しいものでは失語などがあります。
ただ、「前兆」のほとんど(99%くらい)は 閃輝暗点の方が多いです。
前兆に伴って、または前兆が出てから60分以内に頭痛が出ますが、中には前兆のみで頭痛を伴わないこともあります。
では「予兆」とはなんでしょうか。
予兆とは片頭痛発作の前に現れる体調の変化全てです。
焦る感じ(焦燥感しょうそうかん)や眠気が強く出たり、光を眩しく感じる、音がうるさく感じる、肩や首のこり、食欲低下または増進、疲労感など様々な症状があります。片頭痛発作の2日前くらいから続くこともあります。
「前兆」という言葉が大切になるのは、低容量ピルの処方に関することでしょう。
前兆を伴う片頭痛の場合、脳梗塞のリスクが2倍ほどあり、さらに血栓症の合併症がある低容量ピルを内服すると脳梗塞のリスクはさらに高くなると考えられています。
前兆のある片頭痛+喫煙+低容量ピルで脳梗塞のリスクは10倍になるという報告もあります。
一方、前兆を伴わない片頭痛の場合には低容量ピル内服が可能とされています。
1)Etminan et al.BMJ:330.63,2005 2)Schürks et al.BMJ:339.b3914,2009 3)Spector et al.AM J Med.123:612-24,2010
「前兆」と「予兆」よく似た言葉で、間違えて使っている方もいらっしゃいますが、低容量ピルの処方を希望する時には言葉を正しく理解して婦人科の先生にお伝えくださいね。
予兆や前兆だけではトリプタン内服のタイミングはまだです。
頭を振って痛かったらトリプタンを飲みましょう。
頭痛がなくなったら、かなえたい夢はなんですか?
頭痛治療に取り組むことは、人生に向き合うことだと思います。
頭痛のない人生を一緒に目指しましょう。
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