大阪スワップ選挙、誤魔化しを許してのW維新当選。結果は大阪市民に降りかかる | ずるずると道・郷・話を愛でる

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ノリとお笑いで大阪市の死を選ぶ

 

【速報】大阪府知事・市長選 維新がいずれも勝利 知事に吉村洋文氏(43) 市長に松井一郎氏(55) 当選確実 ★4

 
大阪維新が大阪市長・府知事とも当選。
明らかに、通常の選挙とは異なる趣旨の選挙であったが、それに対して、結局新しい物好き、お笑い好きの性分がまさってしまったのか、維新が勝利し、死んだはずの「大阪都構想」が再起動する。それまでの市政、府政に対して、うまくやっている!と見えるグラフでいろいろとごまかしながら、自分たちの成果をアピールするという、通常考えれば住民も起るのではないか、と思ってしまう所業も見事にスルーし、維新を大阪市民・府民は選んだということだろう。
 
お笑い好きの大阪人は、維新をおもろいことやってくれる連中と思って信頼しているのだろうか。

 

小さな地方政府、異常な民間移譲

 

彼らのやってきたことは、橋下徹が、府知事・大阪市長をやっていた時からは変わらず、例の高橋洋一や故堺屋太一がブレーンに入って、改革と称するものを進めてきた。それは基本的には、地方政府を小さくするもので、新自由主義的な考え方に基づくものである。二重行政の無駄を省く!といって、府と市の似たような機関を合併したりした。その中には、歴史ある大阪市立大学と府立大学の合併も含まれている。都立大学もとい、首都大学東京のまねっこだろう。

 

大阪都構想が東京都制の真似っこであり、相手は、首都と名の付く場所になっているから、さぞや制度も首都らしいものだろうと思ってのことである。大阪都構想も、実現した時には別に大阪都になるわけでもなく、大阪府にしかならないのであるが、そういう改革好きの政府や国会議員が多ければ、そのうち、法律を作って、本当に大阪都にしてくれるのではないだろうか。

 

大阪市は関西の中心地区ではなくなる

 

この構想が実現すれば、大阪市はなくなり、より小さな4つの特別区に変わる。それは当然、政令指定都市の様な権限はなく、東京都の特別区のことを考えれば、通常の市と同じかそれ以下の権限しかないのである。大阪市という区域に対する特別な行政は現在よりも薄れ、大阪府全体に分散していくことになるだろう。

 

もしかして、やり方によっては、大阪府を巨大大阪市として活躍させるというやり方もあるだろうが、維新のやり方から見えるのは、ブレーンの新自由主義者高橋洋一の考え方をみれば、基本的に民間にいろいろ委譲して、小さくなる方向に進んでいくだろう。ただでさえ衰退の一途をたどっている大阪市に対して、権限が少なくなり、予算配分も事業内容も少なくなっていく状況は、おそらく、さらに経済活動を冷やしていくことだろう。そして、これまでも進んできたように、民間そのものも別の都市圏に移っていくことが予想されるのである。

 

大大阪の夢は真逆で消える

 

昭和の初期に、大大阪と称して、日本一の年になった大阪市は、戦後の高度成長時代はともかく、バブル崩壊後、日本が衰退しながら、首都圏にいろいろなものが吸い寄せられていく中、本社を置く大企業が大幅に減って、経済も、名古屋圏に第2位を奪われ第3位となり衰退し続けている。そんなときの焦りと、お笑い好きの性格から、調子のいい法螺話にのせられて、何か変わるのではないかという期待感で推し進められてきているのが、大阪維新の動きだろう。

 

まだ何も行われていない、大きな被害はまだ目に見えていないというこの状態において、その期待はしばらく続くのかもしれない。ただ、日本経済が衰退しているのに、「不景気なのですか?」ととぼけていられる自称リベラル政経学者もいるようなので、本当に痛い目に合うまでは気が付かないのかもしれない。

 

地域解体、日本解体の空気

 

ただ、痛い目にあってからでは、本当につらい目にあって、人生をめちゃくちゃにされる人が続出する中での、改革の音頭をとってきた連中に対するルサンチマンの爆発という形なので、決してきれいごとで済まされることはない。残したかった、文化などは、橋下以来の維新の文化軽視もあって、すさんだ状態で、取り戻すこともままならない状態になっているかもしれない。融資が細々とでも残していることを期待するが、公共から無視されたその個人負担は相当なものである。

 

世のなかは、日本解体の空気が「正しい」という流れになっているようだ。

しかも、維新の勝利に喜んでいる”ノイジーマイノリティー”たちの後ろにいるサイレントマジョリティーは、無関心を決め込んでいるが、これまでの制度が崩されて、再構築するべき制度がどのようなものになるかは不透明で、おそらく、維新のこれまでの実績を考えると、前よりもひどいものが構築されるだろう。それの被害に徐々にあっていく中で、サイレントマジョリティーのルサンチマンがたまっていくのだ。それは、大阪市民が期待したことなのか、おそらく、その認識は今の時点ではできていないだろう。しかし、確実に引き受けなければならないのは、大部分のサイレントマジョリティーである。

 

地方も国全体も地獄の道

 

その消極的な支持がどういう結果になるかは、深く考えるまでもなく十中八九地獄である。

お笑いやノリでやったにしてはずいぶんな責任の取らされ方になってしまうだろう。しかも責任者は決して誤らないタイプの人間たちである。(高橋洋一をはじめとするリフレ派の逃げ口上を調べることはその予習になるだろう。)その愚かしい姿を見ながら、血のにじむような生活の中で恨みをぶつける醜態をさらすことになるだ。

 

しかし、東京都の例を見るように、大阪市の復活に対するラチェット(逆流防止)は思いのほか強いものである。TPPもFTAも交渉あるいは批准までいってしまえば、それを事実上断ること、やめることができないのは、EUのブレグジットのややこしい状況を見るまでもなく、実体験しているはずである。日本衰退に手を貸しているのに見直しの議論すら起こらない。

 

このことは、国政でもほとんど似たような構図になってしまうだろう。消費税10%増税後の、五輪終了不況や中国失速による世界不況など、内需拡大でしか乗り切れない日本経済は今のままではとんでもないひどい目にあってしまうのだ。政局で遊んでいる場合ではないのである。

 

追記、最終的に市長市議会はねじれたが

 

【号外】大阪市議選で大阪維新の会過半数届かず。都構想の住民投票、単独で実施不可能(01:00)https://asahi.5ch.net/test/read.cgi/newsplus/1554654638/

 

議会選挙の結果は、府は維新、市はねじれという結果になったようである。

前回の住民投票のときのように、公明党がどうするかで住民投票になるかがまた決まる。住民投票になるか、その住民投票の結果を市民府民がどうするのか。まだ分岐点は用意されてはいるが、この空気に伸るか反るかは当事者の選択でありその責任も当事者のものだろう。しかし、その結果を見る国民に与える心理的影響も大きいと思われる。国民も注目するところである。何が起こっているかを我々は見て、それを知らなければならないのは間違いない。