うちの兄弟、おびちゃんとぶぶちゃん、二人とも誰に似たか、あんこが大好きである。
日本から荷物を送ってもらうときに、何が欲しいか聞かれたら、どらやき!と答える。
あんこが入っていて、かつ日持ちするので送れるものとなると、これしかないことを知っているのだ。
でも本当は、一番好きなのは、おはぎである。
特に、うちの実家の母が作る特大おはぎが大好物だ。
日本に帰って何する?と聞くかれると、必ず、おはぎを食べる!と答える。
お正月に何食べたい?と聞いても、おはぎ!と。
そこまでいうならというので、こちらでもなんとかおはぎを作って食べさせてやろう。
ただ、パックのあんこも便利でいいが、重量があるのでたくさん送ると高くつく。
そこで、自分で砂糖を加えて練り上げげてあんこにする、コスパの良いさらしあんをたくさん買って送ってもらった。
あんこ作りの作業自体はかなり簡単、砂糖と水を入れて弱火にかけつつ練り上げるだけ。
お米の方も、数分ホームベーカリーの捏ねプログラムで半殺しに。
半殺しとは物騒な表現だが、関西では半殺しというのは粒がまだ半分残った状態の餅のことで、おはぎにはこれをつかう。
その半殺しの餅米と、練り上げたあんこを組み合わせて子供たちに出してやったところ、、、
ぶぶちゃんの第一声は
「おばあちゃんのおはぎのほうが美味しい…」
なんと、これは聞き捨てならないことを!
ただならぬ状況を察して、ぶぶちゃんを隣から睨み付けるおびちゃん。
その目が、余計なこと言うやつ!と言っている。
そりゃあおばあちゃんが使っているのは日本産の餅米に、和菓子屋から分けてもらっているプロ仕様のあんこ。
カリフォルニア産の餅米に私が作った練り餡とは、使っている材料から違うのだから、仕方ないだろう。
「…ぶぶちゃん、きみ、そういうこと言うと、二度とマミにおはぎを作ってもらえなくなるよ…」
と脅かすと、しばらく考えた挙句にこう言った。
「このおはぎ、スイスで一番美味しい!」
スイス限定!? なんか微妙だけど、まあいいか。