今日は朝からジムに行った。私えらい。
今や筋肉は萎え、脂肪も適度に落ちた40歳。
本当につまんねえカラダになったものだと思う。

先日KTGくんと話していた(ちょっと情けない)内容が
そのまま私にも当てはまると思えた。

”休みの日にすることが何もない。”

環境こそ違えど、私も同じ穴のムジナには変わりない。
先立つものも無ければ予定されているものも無い、
ただ無心に時間をやり過ごすだけ。

彼は休みの日の起床時間は10時頃になるという。
実家暮らしだから家のことは母親がやってくれるとして、
自分自身はネットサーフィンとYouTube閲覧に休みの日の時間の多くを費やすらしい。

彼は変わりたい、と言っていたな。

自分を変えたいと。

変わりたいその背中を、もしできることなら、私が押したい。
なぜなら、彼は私に似ていると感じるから。

彼は結構な黒歴史をたどってきた模様。
少なくとも話を聞く限り、私には「黒歴史」だと思えた。

まず、高校3年生の大半は出席できていないらしい。
修学旅行は親に黙ってブッチした。
(親は共働きだったそうな。)
出席日数ぎりぎりで高校を卒業する事態だったくらいだから、当然大学受験もできず、
浪人したが気持ちが乗らず予備校をリタイア、そのあと引きこもりの末、何ぞの劇団に所属し、そこへ入社。
2~3年の後、薄給に耐えかねて退社し、その後OHR簿記専門学校で会計士の資格に挑戦。
ちなみに会計士の資格は、会計士試験の直前に父親と大喧嘩して椅子で窓ガラスを割るという奇行に走り、
結局不合格、もしくは敵前逃亡の末、資格取得は断念したようなことを言っていた。
その後、会計士事務所で働いていたのかどうか定かではない(ちゃんと聞いていないし、ちゃんと言わなかった)が、
紆余曲折を経て、当社に入社するに至ったそうだ。

当社のYG事業所で7年間経理担当として勤め、
直属のTYMさんと不仲でやや孤立、一昨年に入社した総合職のギャルと犬猿の仲となり退職まで考えたが、
もともと会計知識もあり、頭の良い子だったのもあって本社監査部に引き取ってもらうに至った。

結構な、黒歴史。
私も大概だけど、彼は本当にレールを外れてしまっているからすごい。

そんなKTGくんに、私は最近恋してる。
どう考えてもおかしいけど。

彼は彼なりに恋もしてきたらしい。
21歳の時に劇団の年上の女性(当時27歳)に恋をした。
彼が職場を去る時に、最後にデートに誘ったという。
車でUSJに行き、生涯忘れることのできないほどの楽しいデートをした。
アトラクションの待ち時間自体が楽しかったと言っていたのだから、多分本物だ。
後にも先にも、あの時ほど楽しいデートは無い、と言っていた彼の言葉が無性に甘酸っぱかった。

帰り道の車の中で、人生初めてのキスをした。
(しかも大人のキス!!)
それが恋焦がれた人だったということに、心底羨ましいと思えた。
ちなみに、キスのその先は後にも先にもなかったと言っていた。多分本当になかったのだと思う。
彼は過去回想として「彼女と一線を越えたかった」と言った。
と言うか、実際に彼女本人に伝えた言葉らしい。
でもそれは、叶わなかった。

恐らく、永遠に叶わないのだろう。知らんけど。

なんてきれいな記憶なんだろう。
なんて心温まる記憶なんだろう。
KTGくんのその記憶だけで、この冬を越せそうなくらい心温まる。

普通はね、というか、大半の人は、
大恋愛が悲願の末に成就した相手とかではなく、
なんとなくのノリで付き合った、嫌いではないけど好きでもない相手に
人生初のセレモニーを差し出してしまうものなのだよ。

私も例にもれず、その口だった。
22歳に初めて付き合った彼氏のことは、たいして好きではなかった。
それなりに良い子だったから、嫌いになる理由もなかったけど。
別れ話の時に言われたセリフは、「ひみちゃんに愛されている気がしない」だった。
ほほう、よく気づいたね。と思った記憶が今でも残っている。

別れは悲しかったけど、たいした傷にはならなかったな。
同時進行で、私は職場の上司(今の旦那さん)のことが好きだったから。
それに仕事も頑張りたかったし。


そんな雨上がりの水たまりのように淡い恋をしていたKTGくんも、今や40歳のおじさん。
(3月生まれだから、正確にはまだ39歳だけど。)

例えばKTGくんは今この時に、何をして過ごしているのかな。
いつもの休みと同じ過ごし方をしているとすれば、
ちょうど今頃ブランチを食べ終わってネットサーフィンを開始した頃だろうか。
それとも自分を変えたいという原動力がうっかり実は本物で、(私は偽物だとおもっていたが!)
朝6時頃に起床し、そのまま近隣で数キロのランニングをこなし、
今頃、職場で課題として与えられている英語の学習に励んでいるかもしれない。

もしそうだったとしたら、かっこいいしリスペクトする反面、
私はちょっと寂しく感じてしまうかもしれない。
だって、私はちょっと残念な感じのKTGくんが好きだから。

そんなこんなで、私は大して男前でもなく、人となりも微妙で人付き合いも不器用、
人生の歴史を黒く染め上げてきたKTGくんとの奇妙なコミュニケーションがスタートしたわけだけれども、
私はこの先末永くKTGくんのことを好きでいるつもりなのかな?笑

職場にね、好きな子がいると、それだけで月曜日が楽しみになるでしょ?
私は10年以上前に結婚をして、今も旦那さんと面白おかしくマイルドに暮らしているけど、
愛着と恋はまた別のものだから。

恋は人生に彩を与えてくれる。
結婚しているんだったらあまり褒められたことじゃないのかもしれないけど、
私は恋すること自体は「アリ」だと思っている。
別に良いんじゃない?心の中だけで留めておく分には問題ないでしょ?
それこそ、一線を越えたい、などと考えてしまい、それを実行してしまっては問題だけれども。

それでも私は自分の人生で本当の本当には遠慮しなくても良いと思っている。
”その異常な関係”が常習的なものになってしまうのは、恐らく良くない。
でも、例えばもう二度と会えないという局面が今後来たとしたら、
その時私は迷わず一線を越えると思う。最初で最後の一線。
繋がりたいと思ってしまうのは、生物の性でしょ?
そしてその思い出は、責任をもって墓場まで持っていく。

私はそんな蠍座の女なのです。