ミュージカル

「KINJIRO!」

 

キャスト王冠1

鈴木裕樹 平野進一 遠藤浩子

高橋磨美 片村仁彦

小沢剛 黒木いづみ

 

作・作詞・演出/鈴木聡

 

劇団わらび座 ⇒ 公式サイト

 

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二宮金次郎

 

校庭にひっそり設置された銅像

薪を背負い勉学に励む少年

 

実直・勤勉・清廉潔白

 

彼はどんな人物だったのか?

 

裕福な農家だったが、父は苦しむ人に救いの手を差し伸べて財産を失ってしまい 病にかかって命を落す。さらに母まで倒れ亡くしてしまった。

それでも金次郎は勤勉に励み、人とは違う着眼点で財を成していき、ついに生家を再興させた。

 

金次郎の才気は とどまることなく、藩の家老・服部家の財政立て直しに成功する。

その手腕はお殿様に認められ、藩の所領・桜町の再生を託される。

 

しかし

そこで直面したのは

人との壁

 

どうしても解きほぐせない難題

失意の金次郎は 唯一人、町を離れ彷徨う。やかて不動心に出会い、己を見つめ直すうちに、今まで 人の為・世の為とやってきたことだが、実は自分の方からの視点だけで物事を捉えていたのはないかと。いろんな方面から見ることの大切さに気付く。

 

それは人間の都合だけじゃない

自然にも都合がある

 

それぞれが在ることで世界は成り立ち 回っている、それは一つの大きな円であり、自分もその中にいる一人で、なにもかもと一緒にいる。

 

歯車じゃない、それはもっと良いもの、互いに協力しあって回る円のように。

 

だから もう一度向き合おう

これからも歩き続けよう。

 

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”二宮金次郎”という人物の名前は知っていましたが、何を成し遂げた人なのかは全く知りませんでした。

 

江戸時代、飢饉などで苦しむ町に出向いて、復興事業を行い立て直し続けた立派な人物で、それは600地域に及ぶそうです。

 

この作品の中で描かれる金次郎は偉人じゃない、一人の人間。農民として生まれ、その地面を見つめ踏みしめて、しっかり歩んでいくなかで、彼が気付きを得て成長していく再生物語でした。

 

才能が認められ重宝される一方で、自分の行いに夢中になりすぎて近くにいる人の孤独に気付けなかったことなど、人としての未熟さも描かれていて、成功も失敗も、積み重ねてきた先に見えてきたものが尊い。それが歌や踊りにのってユーモラスに描かれていた。

 

作・演出は鈴木聡さん

鈴木さんが織りなす言葉の魔法が物語の随所に散りばめられていてグッと胸に刺さったり、時にはクスっと笑ったりしながら、良いテンポで進んでいく。気付きと温かみでだんだんと心が満たされていくのだ。

 

音楽は和洋折衷。ラップやジャズなどの打ち込まれた音楽にくわえて、生演奏の太鼓や琴・笛の音が響き渡りインパクトがあります。

和楽器の生演奏が良いですね。

 

セットは簡素で転換もない

すごい手作り感が漂う。

でも、だんだん物語そのものに夢中になっていき、簡素さを忘れてしまうようになっていった。

 

エネルギーが溢れています。

 

 

 

鈴木聡さんは稲垣吾郎さんの主演舞台なども手掛けられている方で、人間愛、平等な心、客観性にあふれ、温かみの中にあるホロ苦さが軽快で、そのバランスがちょうど心地良い。作品の中に漂う空気がとても好きです。

 

わらび座さんは秋田県に拠点を構え、オリジナル作品を多く製作し、全国各地で公演を展開してきた劇団です。

 

コロナという状況が演劇界に与えた打撃は大きく、今は全国の多くの興行が中止延期を余儀なくされています。

 

その中でも活動を継続していくため、わらび座さんは ホームページに”ご支援のお願い”を掲載されているのですが、その中で、1口1万の支援に対しては返礼品として過去に製作された舞台のDVDを送られることになっていて

 

詳細はコチラ↓↓

https://www.warabi.or.jp/?news=info200312#qa

 

私は わらび座さんの公演は観たことはないのですが、SNSでこの取り組みを知り、DVD作品の中に鈴木聡さんの作品が含まれていたので、鈴木さんの作品を見てみたいという気持ちから行動しました。

 

元は非売品の資料映像なので、アングルや照明の色合いなど、販売目的のDVDとして撮影された時のような加工がほぼされてないので、ほんの一瞬ですが その時に客席等で発生した音とかもそのまま収録されていて、その場の人の気配を感じる部分があります。独特の臨場感がありました。

 

貴重な映像ですねアセアセ

 

声がよく通っていてしっかり聞こえるし、アップになる時、ひいての全体像など、いろんなアングルはあるので見応えは十分で、気が付くと夢中になって見てしまっていました。

 

実際に生の舞台を見たら、和楽器の音色とかもっと凄いんでしょうね。映像でも十分インパクトがあったけど、生で見たら響きがもっと大きいんだろうなと思います。

 

いつか観に行ってみたいな。

 

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当たり前が良いんだ。

当たり前が幸せなんだ。

 

今の状況と照らし合わせられるような言葉を感じとってはドキッとしたり、金次郎の生き方を通して感じられる気付きが進行と共にジワジワと染みていきました。

 

この作品を選んで良かった。

また見たり聞いたりしよう。

 

他の作品はどんな感じなのかな

気になっています。

 

オリジナル作品って良いですね。

 

わらび座

⇒ 公式サイト