月組東京公演「応天の門-若き日の菅原道真の事-」(脚本・演出/田渕大輔)「Deep Sea -海神たちのカルナバル-」(作・演出/稲葉太地)を見てきました!

月組は月城かなとがトップになってから、れいこ(月城)主演の作品は「華麗なるギャツビー」以外はすべて配信視聴しているのですが、生観劇は1年半前の帰国後、初めてとなりました。当初、劇場への外出を控えていたり、友の会でチケット外れたりとかで…。

いや~、月城さん、とにかく眼福!!「ルッキズム」とか批判されそうですが、やはり真ん中がことさら美しいと見応え増しますよね。「応天の門」は原作を読んでいくかどうしようか迷いつつ、例によってww読まずに観劇。それでも楽しめました。登場人物が一部かぶる2001年の星組公演「花の業平-忍ぶの乱れ-」(作・柴田侑宏)を思い出しながらの観劇でした。私、「業平」はタカラヅカの日本物で1、2を争うぐらい好きな作品なんですよね。

ただ、トップコンビのラブロマンス要素が薄いと、どうもカタルシスに欠けるな…。今回、娘1の海乃美月が演じた昭姫は遊技場の女主人で、道真(月城)と在原業平(鳳月杏)による事件解決チームにかり出される役どころで、れいことの恋愛はなし。そもそも道真より相当年上の設定のもよう。最後、何となく今後恋愛に発展するかも、という匂わせもありつつ、「いや、でもないよなw」という感じでした。トップコンビに恋愛がなかった代わりに、サブストーリー的に「花の業平」のテーマでもあった、業平と藤原高子の道ならぬ恋が描かれていましたが、どうもコレジャナイ感…。やっぱりトップコンビの恋愛がないとどうにも…。原作は道真と業平のバディ感が売りのようですが、途中、藤原家に忖度する業平がチームを一時離脱することもあり、そのバディ感も希薄になってしまったのも残念でした。

…ということで、実はタカラヅカの芝居としては結構珍しい形態だったかも。

とはいえ、鬼を捉えて帝に突き出す、みたいなありきたりな結末にしなかったのは、とてもよかったと思いました。

れいこはさすがの演技力で知的でツンデレな秀才を好演。やっぱり、声とかちょっとしたセリフ回しが元月組トップの天海祐希に似てますよね。配信視聴でも感じてきたことですが、生観劇だと一層。口跡も間もよく、唸りました。歌っても歌詞が明瞭。あとは隙のない美しさですよね…。どの瞬間を切っても美しい…。

海乃さんは、「ブラック・ジャック~危険な賭け~」のアイリスでも思いましたが、硬質なタイプのヒロインにはハマりますよね。今回もそういう意味ではよくやれていたと思います。でもなんかずっとそこで勝負している印象。もうちょいしっとりした色気みたいなものがほしいところ。もう結構な学年なんだし、「仮面のロマネスク」のトゥールベル夫人みたいなよろめき系みたいなのもできないといけないと思うんですよ。すでに可憐なヒロインをするにはトウがたちすぎているし、星組の有沙瞳ぐらいの貫禄を身につけていればそれはそれで面白いのですが、そういう感じでもなく、なんとなくフツーに年齢重ねちゃったよね、的なところが残念…。

業平の鳳月杏はここまで匂い立つような色気を感じさせる男役になるとは…。素顔はどちらかというと地味でふにゃっとした印象さえありますが、舞台でのスイッチの入り方が恐ろしいほど。

悪役・藤原基経を演じたのは風間柚乃。「花の業平」であまりに憎々しく素晴らしい出来だった同役の香寿たつきを思い出すにつけ、もう一パンチあってもよかったかなーとも思うけど、当時のタータン(香寿)が研15だったのに対し、風間は研9。それを思えばよくやってい
たと言ってもよいのかと。

白梅の彩みちるは「るろうに剣心」の弥彦かwwっていう…。ちなつ(鳳月)主演の「ELPIDIO」では淑女に成長した姿を見られましたが、研10すぎてなおおきゃんな役も嫌みなくこなせるのがなかなかすごいな、と。3学年下の彩海せら演じる長谷雄とワチャワチャしている姿は新人公演内の娘役かと見紛うほど。みちる(彩)はやっぱり役者として面白い存在ですね。れいこ、あみ(彩海)と3人でいる場面は、「わっ!雪組!」と思っちゃいました。

意外と健闘しているなと思ったのが藤原常行を演じた礼華はる。私、記事にしたこともある通り、これまで彼女の魅力がさっぱり分からなかったのですが(汗)、今回初めて「いいかも」と思えました。今までは芸名に「華」があるのに、華は感じられないし、芝居も淡泊だし…と思っていたいたのですが、今回は妹(多美子)の代わりに毒を飲むという見せ場のある役だったことにも助けられ、空間をきちんと支配できるようになってきたなーと思いました。

今公演はショーを含め、退団者に見せ場が多かったのも特記すべきかと。藤原良房の光月るうはともかく、13歳の清和帝を演じた千海華蘭は破格の扱いだったかと。それだけ重宝がられていたということですよね。大師の結愛かれんも月娘のお色気担当として有終の舞を見せて
くれました。彼女はまだまだ惜しいなー。

あと目立ったのは、昭姫の店の用心棒、大拙の大楠てら!!身長180㌢のスキンヘッドってインパクトありすぎ!!雪組「シティハンター」で縣千が演じた海坊主もなかなかのインパクトでしたが、さらにタッパがあり迫力満点!度肝を抜かれました。

ショーはまた追って。