さきほど、みちこ(北翔海莉)退団発表の記事をアップしたところですが、先に書いていた記事も上げてしまいます。でないとアップのタイミングを失ってしまいそう。コメントのお返事ものちほどさせていただきます。みちこについての記事は明日の会見を受けてまたあらためて書く予定。


スカステの「エリザベート」連続放送。24日夜は1996年雪組初演版の放送だった。


録画した1幕を見ただけですが、当時劇場(東京)で見て、その後、ビデオを購入し、すり切れるほど見て、歌も台詞も全部覚えてしまったという…。まさに「一人エリザ」ができますwww。


初演、やっぱり素晴らしかったなー。この作品によって、宝塚の歴史が塗り替えられたと言っても過言ではない、そんなパワーを感じた。もちろん、荒削りなところもある。歌詞が聞き取りにくい箇所が結構あったり。でもとにかくプロローグから引き込まれる。


タカラヅカって、やはりどこか「お嬢さん芸」とか「学芸会の延長」みたいな面もあって、そこを含めて愛でるのが正しいファンの在り方かな、なんてそれまでは思っていた。現に初演トートを演じたイチロ(一路真輝)が主演した「風と共に去りぬ~スカーレット編」の樫の木屋敷の場面で、南部貴族を演じる下級生がピーチクパーチク騒いでいる場面なんかは微笑ましいほどにヘタクソで学芸会チックだったもんなー。


でも、初演エリザベートを見たときに「お嬢さん芸、学芸会を凌駕している!」とビックリしたっけ。「今までのタカラヅカ、どこ行った?」みたいなwww。


今、思えば初演キャスト、神がかっていた。トートは歌えるトップ、イチロ(※今は歌えてると思ってません)。彼女って若い頃から抜擢続き、優等生的な芸風、キャラもあって、トップになったころは既に飽きられていたようなところもあったし、任期中に阪神大震災に見舞われたこともあり集客力も低いまま、さらには女役もそつなくこなしてしまう器用さもあって「つまらないトップ」みたいに見られていた部分が少なからずあった。実際、イチロに比べたら雑草的な育ち方をしてきたもののオスカルを当てたヤン(安寿ミラ)、アイドルのユリ(天海祐希)、正統派貴公子のシメ(紫苑ゆう)の同時代の他のトップ3人の方が人気あったと思うし。でもイチロは最後の最後、これで起死回生を果たした。


この1作でタカラヅカの歴史に大きな大きな足跡を残し、その後、東宝版では初代エリザベートを演じ、日本における「エリザベート」成功の第一人者になったことはご存じの通り。


タイトルロールのエリザベートを演じたハナ(花總まり)はこのときまだ新人公演学年。映像見てもところどころ歌が不安定だったりするけれど、1幕ラストの「鏡の間」の辺りを払う雰囲気などは特筆モノ。本人が役に食らい付く必死さと、シシィの孤独感が相まって、この作品成功の立役者の一人だったのは疑いようがない。年齢的に23、24歳だったことを思うとほんとアッパレ。上演にあたり、歌唱力を不安視されてはいたけど、トータルでここまで出来る娘1はそうそういまい。やはり不世出だと思う。


あとはルキーニをやった理事(轟悠)かな…。色気、妖気、狂気を感じさせつつのストーリーテラー。東宝含め、彼女を超えるルキーニはいまだ出ていないと思う。これ見ちゃうと、宙組で演じる愛(愛月ひかる)のルキーニが不安極まりない…www。ほんとにできるんだろうか。


トートとタータン(香寿たつき)ルドルフの「闇が広がる」も白眉だった!それまで、歌ウマのイチロとタータンが組むシーンを見てみたいなーと思いつつ、意外となかったんだよな…。そんな二人が互いにガチンコで組むこの場面も、以降の再演で超えられていないと思う。


チビソロなどでちょいちょい目立つ役があるのもこの作品のいいところかと。


そして何より、この作品は演出家・小池修一郎の名を上げた作品でもあった。もともと手腕に定評のあった人だけど、「潤色・演出」という分野で一気にトップに駆け上がり、「ベルサイユのばら」「風と共に去りぬ」に代わる財産をタカラヅカにもたらした。


今夏、上演される宙組版がタカラヅカでは9回目。初演を作り上げた雪組メンバーの苦労を思えば、多くのことがフォーマット化され、生徒の負担は少なくなっているはず。その分、クオリティの高い舞台になることを願います。