日米合作ミュージカル「RENT」JAPAN TOUR 2024
ミュージカル「RENT」JAPAN TOUR 2024をシアターオーブで見てきました。1990年代から大好きだった作品。米ブロードウェイ版のサントラCD買って、日本初演を見て、ブロードウェイでも英ウエストエンドでも韓国・ソウルでも、そして赴任国でも見て、BWオリジナルキャストらのコンサートなども見て、映画版も何度も見て…と、とにかく関わりの深い作品。自分もステージで劇中曲を何曲か歌ったこともあります。赴任国ではコロナ禍に一回見て、簡単にチケット買い足せるだろうと思ったら売り切れてしまい、すさまじく残念でした。何回目かの日本公演(東宝版…)を見た時に、満足できるクオリティでなく、「もういいかな…」と思ったりもしたのですが、やはり好きな作品で、海外で見たり、映画版を見直すたびに「やっぱりいいな…」と思い直す、そんな作品です。ストーリーは…舞台は20世紀末のNY-イースト・ヴィレッジ。荒廃したアパートに住み、家賃(レント)も払えず貧しい生活を送るマークとロジャー。映像作家を目指すマークは女性弁護士ジョアンと付き合い始めた元恋人のパフォーミング・アーティスト、モーリーンに今も振り回されている。シンガーソングライターを目指すロジャーは、曲が書けず悶々とした日々を過ごしているが、ナイトクラブダンサーのミミと出会い、互いに愛し合うものの、心はすれ違う。共にHIVポジティブのエンジェルとコリンズは永遠の別れを迎える。ある日、行方不明になっていたミミが手遅れの状態で発見される。真っ直ぐな気持ちでミミに向きあうロジャーが、やっと書き上げたラブソングを捧げると…。==========================今回は日本初演でマークを演じた山本耕史がマークを、クリスタル・ケイがモーリーンを演じ、ほかは外国人キャスト。全編英語で上演され、ステージ両脇に日本語字幕が出るスタイル。今回も上演発表時から気になりつつ、すぐ見に行くとは決められなかったのですが、日本在住の外国人の友人が早い段階から「家族で見に行く」と言っていたこともあり、それに刺激されて自分もチケットを取った次第。友人は一足先に見て「とてもよかった!!!なにしろ山本耕史が」と言われ、期待して見に行きました。さすがに舞台は30年ぐらい前のNYで、時代も変わっているしな…と思うのですが、それでも作者・ジョナサンー・ラーソンの「No day but today」のメッセージが伝わり、よかったです。確かにとにかくヤマコー(山本耕史氏)めっちゃよかった!!!初演から見ているので歌唱力があるのは知っていますが、もうマークにしか見えないというか。ものすごい存在感だった。完全に舞台回してた。歌詞を英語で覚えるのはなんてことないと思うんですよ。台詞までほぼ完璧にこなしていて舌を巻きました。しかし本当に器用な俳優ですよね。映像であれ舞台であれ、どんな作品に出てきても必ず爪痕を残す。彼が初演後、コンサートで共演したマークのオリジナルキャスト、アンソニー・ラップと声質が似ているからか、サントラ聴きまくっていた身にも自然と歌声が入ってくるんですよね。芝居部分も全く隙がなく、このままワールドツアーとか出られるんじゃないか、ぐらいなレベルでした。とにかく彼自身、この作品、マーク役への思い入れが尋常じゃないんですよね。ヤマコー畏るべし…。クリケイ(クリスタル・ケイ)って今まであんまり意識して見たことなかったのですが、とても大きいんですねー。すごく圧があって、それが迫力につながっていて良かった。歌も過不足なく歌えていたと思います。もっとミュージカル出ればいいんじゃないかな。ちと残念だったのがロジャーと、ヒロイン格のミミ…。ロジャーはオリジナルキャストが私が大好きなアダム・パスカルで、実は昨年も来日ライブを見ているほど!!!アダムは男らしさ全開で、ロックなロジャーだったのですが、今回のロジャーは今時感満載の、神経質そうなどうにも覇気のないタイプ…。ロック感が希薄、芝居もどうも淡白で存在感も薄く…。いや、今までも神経質そうなタイプのロジャーは各地で複数見ているし、HIVポジティブという役であることを考えると、繊細で神経質そうなのはそれはそれで全くいいんだけど、今回の彼は歌唱のピッチが若干低いところがあり、歌声がもう一つスコーンと突き抜けないんですよね…。そこはオリキャスのアダムとか全盛期のTUBE前田亘輝氏みたいにいってほしいところ。彼がピッチ低いからヤマコーとのデュエットもサウンドしていなかいところがあったり。Finale Bの「No day but today」の前半も一人、音低かったよね???って感じ。リズム感もあんまりなかった。やたら髪かきあげるのにもイラつきましたwww。ミミもパワー・迫力不足。動いて歌うのがダメなのか、最大の見せ場のソロ「Out tonight」は息が切れ切れでした…。そんなこんなで、ロジャーとのデュエットはことごとく残念。この二人に歌われると、個人的にどうにもシラーっとしてしまって。さすがにミミはこのパフォーマンスでまさかBWのステージ立ってないよね???と思ったら案の定、到達できていませんでした。対して良かったのがコリンズ。外国人キャストで突出して良かったな。歌声も芝居もすごく響いたんですよねー。BWにも立っているし、RENT20周年記念ナショナルツアーで最初にコリンズに抜擢されたとのことで、どおりでうまいわけでした。役を完全に自分のものに出来ていて、素晴らしかった。彼のおかげで「I'll cover you」のリプライズがとても良かった。だいたいの客は長年のファンなのでしょうが、ミミが死の淵から戻るタイミングでちらほら笑い声が起きてて「え?そこ笑うとこ???」ってなりました。不思議な反応だわ。やっぱり「Seasons of love」とか「Finale B」とか本当にいい曲で、もはやスタンダード。他にも何曲も自然に歌詞が口をついて出てくる曲があり、どんだけRENT好きなん???自分、みたいな感じ。久しぶりに映画版見直そうかな、と思っています。大事なのは、未来でも過去でもない今日。それを噛みしめたいと思います。これから大阪公演があります。関西の方、ヤマコー見るだけでも十分価値ありますよ~。しかしシアターオーブの動線、ほんっっっとイヤ!!!ビルの上層階にある劇場なんてどうかしてるぜ、まったく。世界でも珍しいんじゃないかな、ラスベガスとか以外では。幕間にドーナツでも、と思ったら600円もするし。ひたすら腹立たしいことの多い劇場ですね。劇場に眺望とかいらんのよ。キャパ約2,000ですが、RENTやるには大きいのよなー。もう少し小さい箱で見たかったです。