認知症の種類
根本的な治療が困難な認知症と治療可能な認知症があります。
根本的な治療が困難な認知症
・アルツハイマー型認知症
・血管性認知症
・レビー小体型認知症
・前頭側頭型認知症など
⇒変性認知症が挙げられます。
・アルツハイマー型認知症などの変性認知症を完全に治す治療法はまだありません。そこで、できるだけ症状を軽くして、進行の速度を遅らせることが現在の治療目標となります。
治療法には薬物療法と非薬物療法があり、これらを組み合わせて治療を行います。
治療可能な認知症
・正常圧水頭症
・慢性硬膜下血腫
・甲状腺機能低下症などの内分泌疾患
・欠乏性疾患(VB1欠乏症・VB12欠乏症・葉酸欠乏症etc)
・神経感染症
(代謝性、自己免疫性疾患、呼吸器・肝臓・腎臓疾患etc)
・薬剤性
認知症の種類と原因、症状についてはコチラのブログを参考にしてください。
認知症の症状
中核症状への治療
・アルツハイマー型認知症の中核症状に対しては、コリンエステラーゼ阻害薬(塩酸ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)とNMDA受容体拮抗薬(メマンチン)に改善効果があることが認められています。
・レビー小体型認知症では、塩酸ドネペジルのみ保険適応が認められています。しかし、これらの薬剤の効果は一時的で、認知症の進行を完全に抑えるものではありません。
・血管性認知症に効果がある薬剤は今のところ存在しませんが、脳卒中の再発予防のために高血圧などの生活習慣病の治療が不可欠。
BPSDに対しての治療
非薬物療法を中心に適切なケアや環境調整、リハビリテーション等の非薬物療法が優先されます。
・ケアの基本は、その人らしさを尊重するパーソンセンタードケアを基本とし、認知症の人の視点や立場に立って理解しようと努めること。 (認知症の人がつじつまの合わない話をしても否定したり、叱ったりしないで耳を傾ける態度をとること)、得意なことや保たれている機能をうまく使うことが重要です。
・環境調整としては、デイサービス等の介護保険サービスの利用を検討し、認知症の人が心地よく安心して暮らせるような環境。(転倒防止のためにつまずきやすい場所は段差をなくして階段や廊下の照明を明るくする、室内は使い慣れた物を置き、模様替えはできるだけ避けるなど)介護する人が介護しやすい環境を作ることが必要です。
・リハビリテーションとしては、ウォーキングや体操などの運動療法、リアリティ・オリエンテーション(常に問いかけを行い、場所・時間・状状況・人物などの見当識を維持する)、簡単な楽器演奏などの音楽療法、過去を回想することも有効です。
BPSDのコントロールが難しく、ご本人と介護する人の苦痛が強い場合は、抗精神病薬、抗うつ薬、漢方薬などを使用することがあります。これらの薬剤を投与するにあたっては、高齢者では副作用が生じやすいこと、転倒や骨折、嚥下障害などにより生活能力が低下する可能性があること、誤嚥性肺炎や死亡のリスクが上昇することを考慮し、慎重に行う必要があります
「かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン」
BPSDに対して薬物治療が行われる際には、専門家の指導のもとで、認知症の人ご本人の反応を注意深く観察しながら進めてください。
認知症の予防法
・適度な運動
・余暇活動を楽しむ
・夜間の良好な睡眠
・バランスの良い食事
⇒生活習慣病(高血圧や糖尿病、脂質異常症、肥満etc)を治療することが重要です。
運動習慣
中年期、老年期の運動習慣や定期的な身体活動が、アルツハイマー型認知症を含む認知症の発症率を低下させることが報告されています。また、すでに発症したアルツハイマー型認知症患者の認知機能を改善する効果も少数ですが報告されています。
余暇活動
余暇活動を楽しむことで認知症発症を抑制する効果があると報告されています。
生活習慣病の予防
高血圧や糖尿病、肥満などの生活習慣病などを治療することが重要。
その他
聴力低下をケアする、抑うつを予防する、喫煙しないこと、社会的孤立を避けることなどにより、認知症の一部は予防できる可能性があるとする研究もあります。また睡眠時無呼吸症候群といった睡眠障害が、認知機能低下の発症リスクを高めるという報告もあります。
まとめ
認知症の種類、原因や症状を知り、認知症の方を理解することが出来れば、周囲のサポートが得やすくなり、よりよく生活することが出来ると考えます。
認知症の方でお困りの方、ご家族の方は、医療機関の受診や家族会などへの参加などをして情報収集やコミュニティー形成を図ることが出来ると思います。是非、ご相談してみて下さい。最後まで読んでいただきありがとうございます。参考にしていただければ幸いです。