本文で日本生産性本部経営コンサルタント指導者養成講座のこと、その同期会活動のことについて再三触れた。1972年3月に講座が終講して以来隔年ごとにコンスタントに同期会を開催してきているが、2019年度はたまたま定例会のない年であった。そこで幹事会では誌上同窓会—私の近況と心境を語る—を実施することにし、800字を上限に存命の同期生46名から原稿を募ることにした。
寄る年波で体調不良をかこつメンバーも少なくないが、幸いなことに46名中の26名より寄稿があり、A4サイズで19頁の冊子が出来上がった。最高齢者は83歳、最も若手で73歳、平均年齢は79歳であることを考慮すると、極めて高い参加率と言ってよさそうである。心身の健康維持、趣味、生活信条、自己啓発、投薬・闘病、孫とのコミュニケーション等に関する話題が多かったが、お互いに今後どう生きるか、暮らすかについてかなり参考となり刺激にもなった模様である。
当然私も誌上同窓会に参加したが、その内容は次のようなものであった。現在の心境なりを率直に表明しているので、そのまま紹介して締めくくりとしたい。
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2018年末でコンサルティング業務の第一線より退いた。29歳で中小企業診断士の資格を取得し、経営診断のまねごとを始めてから通算するとちょうど50年になる。このように長い歳月にわたり一線で踏ん張ることができたのは、一言でいうとさまざまな幸運に恵まれたことによる。なかでも私の場合は、JPCの経営コンサルタント指導者成講座を受講する機会を得たことが、今にして計り知れないほど大きな意味があったと思う。
第一線を退くと、さて何をすればよいかということになるが、私の場合はこの50年間の仕事に関する諸々の体験や感じたこと、考えたことについて綴り方を書いている。現役時代には書くことに塗炭の苦しみを味わったが、そのボリュームは400字詰め原稿用紙換算で恐らく2万枚近くには達したのではないかと思う。今は気楽な立場になり、毎日楽しみながらパソコンに向かい思いの丈を率直に記している。
しかし、一方で大きな問題・課題を抱えていることも否定できない。心理学でいう「becomeの目標」はあるものの、「beingの目標」設定がなかなか難しいことである。ちなみに、前者は仕事や生活のことに関する目標のことを指し、後者は人としての生き方・あり方についての目標を意味している。しかも、「beingの目標」を有している人の方が「becomeの目標」オンリーの人より伸び方がよいという。
現役時代は当然のことながら「becomeの目標」達成に懸命にならざるを得ず、その分「beingの目標」は二の次、三の次になってしまうことになる。しかし、現役を退けば両者のウエイトは変化することが望ましい。ところが、人としての生き方・あり方に関する目標設定となると、正直戸惑いを覚えざるを得ない。綴り方にエネルギーを注ぐ一方で、「beingの目標」についても思案しなければならないかと感じている今日この頃である。
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以上が誌上同窓会誌に寄せた私の近況と心境についての一文であるが、最後の最後にプロフェッショナルの心構えはこうあるべきだ、と最近ハタと膝を打った名言に遭遇することができたので、それを紹介して締め括りとしたい。その言葉とは、山中伸弥教授がアメリカ留学時代に彼の地の恩師から教示を受け、今も深く胸に刻んでいるという「ビジョン アンド ハードワーク」という表現である。プロフェッショナルを志す者にとって、これほど的を射た心構えと指針は他に見当たらないと私は思う。
少なくとも経営コンサルタントとしての私の生涯は、人事コンサルタントはどうあるのが望ましいかを懸命に模索すると共に、ご縁のあった企業の社員の働きがい追求と企業業績向上に貢献・寄与できる制度の設計・導入を行うため、ささやかながらもベストを尽くそうともがき続けた50年であったと信じている。少なくとも、「ビジョン アンド ハードワーク」に大きく悖るような行動・事実のなかったことを願うのみである。
完