「ハーイ、サンコ!元気?」
ジムの受付の
おばさんの挨拶に
ギョッと
してしまう。
挨拶は
普通だけど
いつ名前知った?
ジムの受付の人は
何人もいて
毎回受付にいる人は
違う。
その上
ジムの会員なんて
数え切れないくらい
いるのに
名前と顔が
一致してることに
びっくり超えて
尊敬。
そんなに目立つ
イケイケ会員でも
ないし
毎日せっせと通う
ヘビーユーザーでもない。
ただ
アジアンだから
自分が思うより
目につくもの?
自分で自分は
見えないから
アメリカ人の中に
いても
全然違和感を
感じないけれど
他の人から見たら
あ、アジアン!
って目立つのも
わかる。
思いつくのは
数日前に
引き落としカードを
替える手続きをした時
「あー、いつも日本に行く時
休会してくよね!」
と言われ
よく覚えてるな!
って思ったおばさんだった。
そのくらいで
名前と顔を覚えるなんて
オリビアとか
エマとか
そんな名前なら
覚えようがあるけれど
サンコを
完璧な発音で
呼べるおばさん
恐るべし。
嬉しい反面
おばさんの名前を
知らないのが
ちょっと
申し訳なく感じる。
名札もつけてないし
今更
名前も聞けない。
他の受付の人が
おばさんを呼ぶ時を
密かに狙って
気が付かれないように
耳を澄ませている。
そしていつか
名前を呼んで
びっくりした顔を
想像すると
おもしろい。
名前を呼ばれただけで
喜ぶなんて
幸せのライン
低すぎだけど
ちっちゃな幸せも
幸せの一つ。