「また、父さん

 ベッドから落ちたな」

 

夜中に

ベッドから起き出して

 

洋服を着だした夫。

 

遠くで聞こえた

サイレンが

 

うちの通りに

入ってきたという。

 

義父は結構な体格で

その上車椅子

 

一度転ぶと

自分で起き上がるのは

厳しい。

 

家族総出で

起こすこともあるけれど

 

緊急の時は

救急車を呼ぶと

起こしに来てくれる。

 

その後

病院に行く必要は

ありません

 

という書類にサインすれば

それで完了。

 

起き上がれなくなる人が

多い

 

アメリカチックな

サービスなのかも。

 

多分

それだと思った夫。

 

でも

それにしては

外が赤すぎる。

 

カーテンから覗いて

びっくり

 

救急車もいるけど

消防車が

うちの小さな通りを

埋めている。

 

ざっとみても

5、6台くらい。

 

その上

まだまだ

ゾクゾク入ってくる。

 

ただ

倒れただけなのに?

 

窓から見てると

イノのいる

お隣さんの前に

 

集まってるように

見える。

 

身支度を終えて

外に出た夫が

 

興奮しながら

戻ってきた。

 

隣が火事!

 

心臓が

止まりそうになりながら

外に出てみると

 

二階建ての家が

派手に燃えてる。

 

動けず

しばらく

見続けているうちにも

 

どんどん

火が大きくなっていく。

 

二階建ての家の

2倍くらいの高さまで

火が上がってる。

 

これ

ダメなやつかもしれないガーン

 

お隣さんは

ログハウス風の

おしゃれな家。

 

木を使った

素敵なおうちだから

よく燃える。

 

うちとの距離は

まぁまぁあるけど

 

お互いの周りは

よく燃えそうな木に

囲まれている。

 

もしかしたら

燃え移るかも。

 

とりあえず

家族全員のパスポートと

私のグリーンカードを

 

持ち出せるように

まとめた。

 

今思うと

取り直すのが面倒な

GCとパスポートが

 

命の次に大切って

思う自分

 

どうなんだろう?

 

火の勢いを

確かめに

外に出ると

 

さすが

ファイヤーファイター

 

すっかり

煙だけになって

鎮火していた。

 

一生懸命消火してます

って感じは

全くなかったのに

 

魔法みたいに

消えていた。

 

その後

お隣の旦那さんに遭遇

 

奥さんも赤ちゃんもイノも

みんな無事ということが

わかり

 

抱き合って

喜び合った。

 

旦那さん曰く

 

夜中に屋根裏で物音がして

泥棒と思い

 

ファイトするつもりで

上がって行った。

 

そして

屋根裏を開けてみると

 

もう真っ赤で

泥棒じゃなくて

火事とわかったらしい。

 

午前中に

意地悪なお隣さんの方に

雷が落ちたこと

 

夜中も

酷い雷があったこと

 

原因は

まだ調査中だけど

 

この雷が

一番怪しそう。

 

夜中だから

ガスも使ってないし

 

暖炉の季節でもない

 

知らないうちに

雷が落ちていたなら

すごく怖い。

 

家に帰ってきて

早速

屋根裏部屋を

チェックする夫。

 

匂いとか

煙とか

 

異常があったら

すぐに確認することが

大切って

 

今更ながら

身に染みる。

 

ときどき

近所のバーベキューで

外が煙い時も

 

これからは火事!

なんて

過剰に反応しちゃいそう。

 

その後

鎮火しても

 

なかなか帰らない

消防車

 

くるくるキラキラ

昔のディスコみたいな

電飾がすごくて

 

カーテン閉めても

なかなか眠れない。

 

そんな夜を過ごし

遅くに起床。

 

やっぱり

ショックだったのか

 

朝になっても

サイレンの音が

聞こえる気がする。

 

消防車が

うちの通りに入ってくる音まで

してくる。

 

ん?

 

カーテン開けてみると

デジャブ?

 

また

通りに消防車が

続々集まってる。

 

また火事!

 

裏庭から覗くと

消火したはずのお隣から

白い煙がたっている。

 

今回は

5台ほどの消防車で

消火できたよう。

 

また朝に

再度燃えるなんて

 

しばらくは

お隣さんのストーカーのように

見張ってないとチュー

 

今朝の新聞には

 

火事があったけれど

家族と犬は無事

 

という見出しで

ニュースになっていた。

 

新聞に載ったイノは

これで有名犬

 

イノのことまで

ちゃんと記事にした

新聞記者

ナイスです。

 

火事になったら

どうするか

 

真剣に考えた

出来事でした。

 

怖かったけれど

みんな生きていて

本当に良かった。