「庭に犬が居るよ」

 

庭掃除をしている

夫の電話を受けて

 

慌てて

キッチンを飛び出す。

 

今日来てるのは

どちらのお犬様?

 

うちの通りでは

うち以外

ほぼ犬を飼っている。

 

散歩しているワンコを

よく見かけるし

 

あわよくば

ぱふぱふしたいので

近所の犬の動向には

敏感です。

 

ほぼ

ストーカーニヤリ

 

裏庭に出て

目がてん凝視

 

おっきな

ホワホワした

シベリアンハスキー

 

犬好きの夫でも

やっぱり大きいと

怖いらしく

 

近づけないのが

見ていて面白い。

 

それにしても

可愛いけれど

 

こんな犬

近所にいたっけ?

 

おいで!って

呼ぶとやってきて

甘える、甘える。

 

毛並みが良くて

ふわふわしてキレイ。

 

犬っぽい匂いもなくて

よく手入れされてる。

 

それに

リードを引きずっているから

飼い犬には違いないけれど

 

周りには

誰もいない。

 

電話番号が書いてないかと

首輪を見るけど

何もついてない。

 

裏口のところで

家に入りたそうな

シベリアンハスキー。

 

ごめんね

うち土足厳禁なの。

 

ちょっとはぁはぁ

してるから

水が欲しい?

 

今日は

結構暑いから

 

シベリアンハスキーには

辛そう。

 

とりあえず

捕獲を試みる。

 

名前もわからないから

勝手に

 

シベリアン蓮子ちゃん

こっちおいで!

 

捕まえようとすると

とことこ逃げる。

 

このまま逃したら

もっと

迷子犬になっちゃう。

 

家に入れて!と

今度は

玄関をクンクンしてるところで

リードをゲット。

 

これで

ひとまず安心。

 

夫と一緒に

探している人がいないか

通りを行ったり来たりしても

 

やっぱり

誰もいない。

 

もし

見つからなかったら

今夜はうちでお泊まり?

 

それもいいかも

 

シベリアンハスキーって

何を食べるんだろ。

 

大きいけれど

毛がふわっとしていて

丸っこい感じが

赤ちゃんっぽい。

 

どこに寝かせたら

いい?

 

一緒に寝たら

あったかそう。

 

もう

頭の中は

妄想でいっぱい。

 

そんなことを思いながら

通りを行ったり来たり

徘徊してると

 

一台の白いマスタングが

急ハンドルで

この通りに入ってきた。

 

マスタングで

これをやられると

ほぼ暴走族。

 

あれ?

手を振ってるように

見える。

 

急ブレーキで

車が止まって

 

泣きながら

グリーンのサンドレスの

女の人が出てきた。

 

手で顔を覆い

天を仰ぐ姿は

 

神様、ありがとう

って言ってるよう。

 

ひとつ先の通りの

豪邸に来ていた

お客さんだった。

 

犬がいない家は

フェンスがないから

 

いろんなうちの庭を通って

うちまで来たらしい。

 

泣き崩れている飼い主を横目に

喜ぶでもなく

淡々と帰っていった

シベリアンハスキー。

 

あまり喜んでないけれど

飼い主じゃなくて

犬泥棒ってことはないよね。

 

あの涙は本物だよね。

 

シベリアン蓮子ちゃんとの

添い寝が夢と消え

ちょっと、、、

いえ、すごく残念だけど

 

とにかく飼い主と会えて

よかった。

 

それにしても

迷子の犬を探す時も

アメリカじゃ

車で探すんだ。

 

私のイメージじゃ

歩きながら

犬の名前を呼ぶ!

って感じで

 

こんなところにも

お国柄を

感じました。