前回

予約を消された歯科

 

今日は大丈夫

予約はあった。

 

歯のクラウンを

入れるだけだから

 

口を大きく開ける痛みだけ

我慢すれば楽勝

 

と思ったけれど

麻酔もあったことに

気がつく。

 

久しぶりの麻酔

ちょっと怖い。

 

両手をギュッと握りしめて

臨戦体制をとっていると

 

その手をポンポン

優しく叩き

 

頑張ってと

時々ギュッと

手を握ってくれる。

 

年配のおばあちゃん

歯科衛生士の方でした。

 

こんな人初めて!

 

いい大人だけど

なんだか落ちつきました。

 

それ以外にも

彼女は

稀に見る気配りの人。

 

寒くない?

ブランケットいる?

 

麻酔の最中も

あともう少しだからね

と、状況説明してくれたり

 

お決まりのリップクリームは

数えるのがわからなくなるくらい

何度も塗り直してくれる。

 

そして

クラウンができるまでの15分

 

冷たいお水いる?

 

遠慮したのに

わざわざボトルウォーターを

持ってきてくれたり

 

お手洗いは大丈夫?

 

なんだかトイレに行きたくなった私に

トイレの場所を教えてくれて

 

その後も

出口のちょっと離れたところで

待っていてくれる。

 

この歯医者さん

ちょっと迷路チックで

いつも部屋がわからなくなるから

助かるおねがい

 

極め付けは

 

何かテレビつける?

 

結構です

と言ったけれど

 Netflixをつけてくれる。

 

ただ自分じゃわからないようで

近くにいた男の人を捕まえて

 

クッキングショーつけてくれる?

 

アイアンシェフでいいですか?

と男の人。

 

アイアンシェフはだめ。

 

と言って選んでくれたのは

キッズベイキングショー

 

ケーキが生焼けで

号泣する子供を見ながら

 

どうしてアイアンシェフは

ダメだったんだろうと

考えてたら

クラウンができた。

 

とにかく

今まで会ったこともないような

いい人。

 

実は

いい人も二種類いると

思ってる。

 

ひとつは

このおばあちゃんみたいに

心からいい人。

 

もう一つは

人種差別にならないように

気をつけての

いい人。

 

このおばあちゃん

本当にいい人と思ったのは

その一週間後。

 

夫も同じ歯科で

同じクラウン治療に行った。

 

クラウン治療の

歯科衛生士は

おばあちゃんと

決まっているらしい。

 

ねぇねぇ

おばあちゃんに

手を握られた?

 

と夫に聞くと

 

うん照れと。

 

あのおばあちゃん

誰にも分け隔てなく

優しいんだ。

 

いいおっさんの夫が

手をにぎにぎされているのを

想像すると

笑えるけれど

 

この話をきいて

またまた

幸せな気持ちになれました。

 

 

歯科治療にリップクリームが必須なわけ