いつも、ケーキを焼くときに、心に留めていることがあります。

 
 

この時も、もちろんそれを守って焼きました。

 

 

それは、ボールにトントンです。

 

以前、ケーキ屋さんが主催する、お菓子教室に通ったことがあります。

 

先生であるシェフは、とてもこだわりがあり、フランスの材料で、そのお菓子屋さんで売ってるフランス菓子を、家庭で作るというコンセプトの教室でした。

 

フランス菓子を愛するが故に先生は、生徒さんには優しいですが、スタッフはとても厳しく、先生の言うことは絶対という雰囲気でした。

 

それでも、真剣にお菓子を習いたい人には人気で、キャンセル待ちでやっと入れた教室でした。

 

楽しいお菓子作りなのに、毎回緊張しながらケーキを作るという、相反する気持ちで通ってました。

 

それでも、完成する達成感と、美味しいケーキを2台も持って帰れることが楽しみでした。

 

ケーキ、タルト、パイ、焼き菓子、チョコレート、パン、飴細工と、

こんなにたくさん習ったのに、一番覚えていることは、お菓子のことではなく、

 

道具で、ボールや鍋を叩かないこと。

 

ホイッパーで泡立てた時、そのホイッパーについたクリームや卵白を、ボールの淵で、トントンと落とすことをしてはいけない

 

道具がゆがんでしまうので、絶対してはいけない。

 

ホイッパーについたクリームは、指で丁寧にとる。

 

お菓子作りを愛しているからこそ、道具にも愛情を持っていた先生です。

 

ケーキを作るたびに、今でも思い出します。

 

いろんなお菓子を教えていただいたのに、一番印象に残っているのが、ボールにトントン。

 

とても高価な、ボールにトントンです。

 

その頃に手に入れたマトファー社のフラワー型は、古びてしまいましたが、今も現役です。

 

 

ケーキといえば、生クリームのついたケーキが一番だった私が、地味な焼き菓子にこそ、素材の美味しさがあることを気付いたきっかけになった教室です。

 

今でも、お料理番組やYouTubeで、ボールやお鍋にトントンとしているのを見ると、なんだかお尻がムズムズします。