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アフガニスタン タリバンが大統領府を掌握(2021年8月16日)

 

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アフガニスタンで政府軍と戦闘を続けてきた反政府武装勢力、タリバンの幹部は、日本時間の16日朝早く、勝利を宣言しました。

ガニ大統領は出国し、政権は事実上、崩壊しました。

アフガニスタンでは、治安を担ってきたアメリカ軍が今月末までに撤退を進める中、
反政府武装勢力タリバンが攻勢を強め、15日までに34ある州都のうち9割余りにあたる31を支配下に置き、さらに、首都カブールに進攻しました。

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今までのアメリカのアフガニスタンでの戦闘や各国の復興支援は、何だったのか。

アフガニスタン現地の人に尽くし殺害された「ペシャワール会」の医師の中村哲さんの死は何だったのか。


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●アフガニスタン反政府武装勢力 タリバン勝利宣言 大統領は出国

アフガニスタンで政府軍と戦闘を続けてきた反政府武装勢力、タリバンの幹部は、日本時間の16日朝早く、勝利を宣言しました。

ガニ大統領は出国し、政権は事実上、崩壊しました。

アフガニスタンでは、治安を担ってきたアメリカ軍が今月末までに撤退を進める中、反政府武装勢力タリバンが攻勢を強め、15日までに34ある州都のうち9割余りにあたる31を支配下に置き、さらに、首都カブールに進攻しました。

地元メディアなどは、タリバンが中心部にある大統領府や政府庁舎を制圧したと伝えました。

中東の衛星テレビ局アルジャジーラが、大統領府に入ったタリバンの戦闘員たちを撮影したとする映像では自動小銃を手にした男たちが大統領府の執務室や会議室とみられる部屋に集まっている様子が映し出されています。

こうした中、日本時間の16日朝早くになって、タリバンのナンバー・ツーのバラダル師がビデオ声明を出し、政府に対する勝利を宣言しました。

一方、ガニ大統領はアフガニスタンから出国し、政権が事実上崩壊しました。

ガニ大統領は、フェイスブックに「流血の事態を避けるため出国することが最善だと考えた」と投稿したうえで、「タリバンが勝利した」という認識を示しました。

タリバンは、今後の政権作りを主導することになるとみられ、政府とタリバンとの停戦の行方も焦点となります。

現地記者「市民はいま恐怖の中にいる」

首都カブールで取材活動を続けているジャーナリストのアブドゥル・ハフィーズさんがNHKのインタビューに応じ、現在のカブールの状況を語りました。

ハフィーズさんは「カブールはいま無政府状態で秩序もなく、店などに盗みに入る人たちも出てきている。また、タリバンのメンバーが家々の扉をノックして住民の仕事などを聞いて回っている。市民はいま恐怖の中にいる」と話しました。

そして「今後、誰が政権をとるのかわからず、安全が維持されるのかどうかが人々のいちばんの関心事だ。市内を見渡してみても怖くて誰も外に出ておらず、みんな自分の命と家族のことだけを考えている」と話していました。

国連安保理 緊急会合で対応協議へ

アフガニスタン情勢をめぐり国連の安全保障理事会は、日本時間の16日、緊急の会合を開いて対応を協議することになりました。

緊急会合は、非常任理事国のエストニアとノルウェーの要請を受けて開かれることになり、冒頭、グテーレス事務総長が人道危機の懸念が高まっている現地の状況を報告する予定です。

アフガニスタンをめぐって国連は、グテーレス事務総長が先週、臨時の会見で「軍事力で権力を握っても内戦の長期化や完全な孤立を招くだけだ」と述べるなど、武力によって樹立した政府は認めないという姿勢を示してきました。

タリバンが攻勢を強め事態が大きく変わる中、安保理が緊急会合などを通じて国際社会に一致した姿勢を示すことができるのかが焦点です。

米国務長官「予想を上回る速さで起きた」

アフガニスタンの政権が事実上、崩壊したことについて、アメリカのバイデン政権はこれまでのところ公式な反応を出していません。

バイデン大統領は週末をワシントン郊外のキャンプ・デービッド山荘で過ごしていて、ホワイトハウスはバイデン大統領が15日の朝、NSC=国家安全保障会議の高官からアフガニスタンの最新の状況について説明を受けたとする写真をツイッターに投稿しました。

また、ブリンケン国務長官は15日午前、ABCテレビなど主要ネットワークの番組に相次いで出演し、反政府武装勢力タリバンが首都カブールに迫っていることについて「アフガニスタン軍は自国を守ることができず、それはわれわれの予想を上回る速さで起きた」と述べて、見通しが甘かったことを認めました。

一方で、番組の司会者から1975年当時、ベトナム戦争でアメリカが支援する南ベトナムの首都サイゴンが陥落したときの状況に似ていると指摘されると「そのときと状況ははっきりと違う。われわれは同時多発テロ事件の責任を問うという唯一の任務を果たすため、20年前からアフガニスタンに入っているがその任務は成功した」と反論しました。

そのうえで「われわれが政権に就いたときタリバンは2001年以降でもっとも強力だった」とし、「現地に残っている部隊を撤退させると決めたのは前の政権であり、それを引き継いだバイデン大統領は難しい決断を迫られた」と述べ、バイデン大統領の決断に問題はなかったと主張しました。

日本のアフガニスタンへの復興支援

日本政府は、アメリカが軍事作戦を始めた2001年以降、これまでにアフガニスタンへの復興支援として治安や農業、インフラ整備、それに保健・教育などを重点分野に合わせて7049億円を拠出しています。

資金額ではアメリカやイギリス、ドイツとともに主要な支援国の一つです。

ことしは、▽警察の治安能力の向上のために82億円、▽帰還民・国内避難民の支援に5億5000万円、▽麻薬取締官の研修などを通じた麻薬対策に2億5000万円余りを拠出しています。

また去年は、新型コロナウイルス対策としてマスクや人工呼吸器などの医療物資を提供するために9億5800万円を拠出しています。

アメリカのアフガニスタンでの軍事作戦

「アメリカ史上、最も長い戦争」とも言われるアフガニスタンでの軍事作戦は20年前のアメリカ同時多発テロ事件をきっかけに始まりました。

2001年9月11日に起きた事件を受けて当時のブッシュ政権は国際テロ組織「アルカイダ」を率いるオサマ・ビンラディン容疑者を事件の首謀者と断定。アメリカ側はアフガニスタンの当時のタリバン政権に対してビンラディン容疑者の身柄の引き渡しを要求しましたが、タリバン側が拒否したため軍事作戦に踏み切り、タリバン政権を崩壊させました。

しかし、政権崩壊後、タリバンは隣国パキスタンとの国境地帯に潜伏するなどして戦闘能力を増強して勢力を盛り返し、テロや襲撃を繰り返すようになります。これに対応するためアメリカ軍は現地に展開する部隊の規模を増強し、ピーク時には10万人規模の部隊が駐留していました。

その後、アメリカ側は2011年にビンラディン容疑者を殺害したことや戦費の削減を求めるアメリカ議会などの声を受け、段階的に現地の部隊の規模縮小を進めます。

さらに2017年に就任したトランプ前大統領はアフガニスタンからの撤退を目指してタリバン側と和平交渉を続け、去年2月に初めての和平合意に署名しました。アメリカ政府とタリバンの和平合意ではアフガニスタンに駐留するアメリカ軍などが合意から14か月以内に完全撤退することが盛り込まれ、ことし5月1日までという撤退の期限が示されました。

ただ現地では和平合意以降も戦闘やテロが相次ぎ、ことし1月に発足したバイデン政権は期限を4か月余り延期して同時多発テロから20年となることし9月11日までに完全撤退させると決めました。さらに先月、バイデン政権は現地のアフガニスタン政府軍には十分な力が備わっているなどとして完全撤退の時期を今月末とする方針を発表しました。

バイデン政権の高官はアフガニスタンから部隊を完全撤退させる背景について、軍事的な活動を活発化させる中国に対抗するため人員や資源を再配置する戦略の一環でもあるとの認識を示しています。また戦闘の長期化によって戦費や派遣された兵士の数も積み上がり、アメリカ国内の世論が「戦争疲れ」に傾いていったこともバイデン大統領の決定を後押ししたものとみられます。

ただアメリカ軍の撤退に伴って現地の治安情勢は急速に悪化しており、撤退を急ぐバイデン政権の対応に懸念の声が上がっています。

2021年8月16日 7時19分

 

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