ズーラシアンブラスの制作者大塚です。

このコーナーでは、ズーラシアンブラスの制作概念と演出法についてお話ししていきます。

 

 

 親子向け≠子ども向け

 ズーラシアンブラスとその仲間たちは、動物演奏家が多彩な音楽を演奏し、小さなお子様からお年寄りまで幅広く楽しんでいただいている楽団ですが、よく「子ども向けの演奏会」と勘違いされます。実は私たち制作チームは一度も「子ども向けの演奏会」とは謳っていないのです。もし、「子ども向け」と言う言葉が表現されていたとすれば、それは私たちではなく、私たちとは別の主催者であると思われます。少なくとも私たち制作チームは一度たりとも「子ども向け」とは謳っていません。わたしたちは必ず「親子向け」と謳っています。

 

 

では、「子ども向け」「親子向け」のどこがどのように違うのでしょうか。
 よく、一流の音楽家を育てるためには親子3代かかるなどと言われることがあります。モーツアルトもベートーヴェンもブラームスも音楽一家に生まれ育っています。そして幼少の頃から父親や祖父から音楽の指導を受けています。ここで肝心なことは比較的小さいうちから親と共に音楽に触れていることです。小さいうちから常に音楽に触れていると、大人になってからでは獲得しにくい音感が養われます。音感は一度や二度音楽を聴いたぐらいでは身につきません。毎日のように繰り返し音楽に親しむことで育まれていきます。こうした継続的なモチベーションを獲得するには、子どもだけの力ではなかなか難しいものがあります。どうしてもそこには親の力が必要なのです。

 

 

 親子コミュニケーションを生む体験

 親御さんの中には「そんなことを言われても私は音楽は素人ですし…」と思われる方も多いとおもいます。私たちがここで必要であると思うことは、音楽的な知識ではなく、子どもと一緒になって音楽を楽しむ体験が重要であると言うことです。子どもが音楽がとても楽しいと感じていても、それはそれは音楽そのものというより、親とのコミュニケーションを通じた音楽が楽しいはずだからです。


 私たちが期待しているシーンは、子どもが嬉しくて親を見上げた時に、目を細めて自分の顔を見つめている親の姿ではなく、自分と同様に親が舞台に釘付けになっているといったシーンなんです。親子対等の感動がとびきり楽しい親子コミュニケーションを生み出すと考えています。
 そう言った意味では、ズーラシアンブラスとその仲間たちのコンサートは子どもというより、むしろ大人に目が行っているかもしれません。
 子供は新しい概念もどんどん取り込んでいく力がありますが、大人にはありません。ですから、大人の概念を考慮したコンサート作りが必要になるためです。ズーラシアンブラスは子どもの知っている曲をあまりやらない。もっと子どもの知っている曲をやってほしいと、アンケートなどでよくお叱りを受けますが、その辺りについては次回その理由を書いていきたいとおもいます。

 

 

 

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