シニェイ「紫のドレスの婦人」 | ひとりぼっちのウォークマン

シニェイ「紫のドレスの婦人」

今回は19世紀後半のハンガリー近代絵画に

 

先駆的な役割を果たした

 

シニェイ・メルシェ・パールを取り上げる。

 

 

この絵は初期の代表作

 

「紫のドレスの婦人」である。

 

 

 

豪華な紫のロングドレスを身に着けた

 

女性が一人、背筋をピンと立て、

 

のどかな平原の草むらに座っている。

 

 

モデルは結婚したばかりの妻ソフィアである。

 

 

それにしても、このドレスは

 

なんと強烈な色なのだろう。

 

 

紫という色は高貴な色で、

 

宮中とか、社交場であればマッチすると思うが、

 

平原の中とは・・・・。

 

 

とても違和感を感じるが・・・・。

 

 

さて、シニェイは、この絵を

 

ブダペストの展覧会に出品したのだ。

 

 

結果は多くの批判を受けてしまった。

 

 

なぜ?

 

 

草木の黄緑色とドレスの紫色の強いインパクト、

 

盛装した女性が屋外にいる、

 

などなどの理由から、ほかにもあるようだが。

 

 

彼の表現の斬新さは

 

ほとんど理解されなかったようだ。

 

 

1870年代、当時のヨーロッパの絵画界は

 

古い宗教画が多く、とても封建的で、

 

 

着飾った都会の男女が

 

野外で余暇を楽しむことなど

 

理解されていなかったのだ。

 

 

展覧会での失敗に、敏感な画家シニェイは

 

耐えることができず、数年悩んだ末、

 

ついには絵筆を折ってしまった。

 

 

これだけの絵が描けるのに、

 

とても残念だと思う。

 

 

その後の彼の生涯はどうなったのだろうか。

 

 

20年後、

 

シニェイは50歳になって、かつての作品が認められ、

 

画家としての活動を再開したのだ。

 

 

この時、彼はどんな気持ちだったのだろう。

 

 

まだ50歳と聞いて、少し安心する。

 

 

まだまだ、長く活躍できるではないか。

 

 

私の願い通り、

 

彼はのちにハンガリー画檀の大家となり、

 

60歳の時にはハンガリー芸術大学の学長に就任し、

 

ハンガリーの若い芸術家を育てた。

 

 

この彼の生き様に心から拍手を送りたい。

 

 

今晩の

 

「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、

 

シニェイのこの絵を

 

再び、じっくりと鑑賞してみたい。