バスキア「 Cabra 」 | ひとりぼっちのウォークマン

バスキア「 Cabra 」

真っ赤な背景に、

 

 

怪しげな角を生やした、

 

これは一体、何だろう。

 

 

動物か?人の顔か?

 

 

左右の目の形が違う。

 

顔がゆがんでいる。

 

ボコボコに殴られたようにも見える。

 

 

薄暗いストリートの壁や地下鉄に

 

描かれた落書きのようにも見えてくる。

 

 

この絵はジャン・ミシェル・バスキアの

 

描いた「Cabra」である。

 

 

日本語読みでは「カブラ」といい

 

スペイン語では山羊という意味だ。

 

 

 

 

間違えてはいけない。

 

 

タイトルは「Cabra(山羊)」だが。

 

描かれているのは「Bull 〈牡牛〉」なのだ。

 

 

 

何故、牡牛を描いたのか?

 

 

バスキアはプロボクシングの元世界ヘビー級王者

 

モハメド・アリを尊敬していた。 

 

 

モハメッド・アリはベトナム戦争の際、

 

徴兵を拒否したため

 

世界チャンピオンをはく奪されていた。

 

 

その後、三年半かけて

 

チャンピオンに復帰したのだが、

 

 

その復帰戦の相手がアルゼンチンの

 

ヘビー級オスカー・ボナベナだった。

 

 

この試合でアリはノックアウト勝ちをしている。

 

 

このボナベナのニックネームが

 

「Bull 〈牡牛〉」なのだ。

 

 

つまり、アリがボコボコにした

 

ボナベナを描いたという訳だ。

 

 

その時、アリは「GOAT(山羊)」といわれていた。

 

 

つまり「山羊」と「牡牛」との戦いで

 

「山羊」が勝ったのだ。

 

これは拍手拍手の大歓声だっただろう。

 

 

そして、タイトルを「カブラ」としたのは

 

モハメッド・アリへの深い深い思いが

 

あったからではないだろうか。

 

 

 

この絵に大好きなボクサーのモハメッド・アリが

 

絡んできていることはなんとなく嬉しい。

 

 

また、この絵は1993年にオノヨーコさんが

 

購入していたとか、

 

 

このバスキアの絵に日本人が25年も前に

 

絡んできていることは、

 

驚きと共に、これもまた、嬉しくなる。

 

 

 

今晩の「ひとりぼっちのウォークマン」の旅は、

 

モハメッド・アリ 対 オスカー・ボナベナの、

 

あのノックアウト・シーンを今、一度観てみたい。